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外食が苦手って言っても伝わらないんだよね


みんないろいろあるよねって思った話。


私は2年程前、パニック障害のようなものに悩まされていた。「のようなも」と付けたのは、正式な診断を受けていないからだ。

私の場合、パニック発作というよりは、しゃがみ込むほどの吐き気が頻繁に起こり、予期不安や広場恐怖という症状があった。
だから、明確にパニック障害に当てはまるわけではないので、あくまでそういう人もいるのだなという程度で読んでほしい。


これまで幸いにも基本的に健康だった私は、吐き気のせいで、何気なくできていたことが突然できなくなり、ショックだった。

まず、外食ができなくなった。当時、友達に会うとなると外食がメインだったため、割と困った。あと、アルバイトに行くのが不安で、その日は1日えずき続け、辛うじてゼリーを口に押し込んでいた。美容室も大変だった。数時間その場所から動けないのは、とてつもなく恐ろしいことだ。

その時期、大学の授業はほぼオンラインだったため、大きな問題にはならなかったが、一度講義に出たときは20分ほどで部屋を出た。


(ただ、これ程の症状が出たのは2、3カ月だったので、私は本当に軽度で済んだのだと思う。)



私の場合、外食等をせず家で友達と会う分には大丈夫なことが多かったので、自分から言わない限り周りの人にこのことが知られることはなかった。アルバイトも、不思議なもので、一度出勤するとスイッチが入り、たいていの場合問題なく働くことができた。

それくらいで済んだのは有難いことだけど、「頑張ればなんとかなる辛さ」が続く大変さもあった。

ぱっと見でわからないからこそ、打ち明けてもなかなか理解されなかった。もしかしたら、本当かよと思っていた人もいるかもしれない。
(他方で、すごく親身になって考えてくれる人もいたけど。感謝してもしきれない。)

いや、それは当たり前なんだ。「私はこんなに大変だからみんなにもちゃんと理解してほしい」なんてことは言えないし、言いたくない。
自分も当事者じゃなければ、突然友人から「ごめん外食ができなくて…」と言われても、あまりピンとこない気がする。




それにこの時私は、自分が周りの人と比べてとんでもなく困った状況にあると思っていた。けれどそれは違った。

友人や知人に自分のことを相談した時、「私もこういう経験がある」と教えてくれることがあった。目の前で私の悩みを聞いてくれてる彼女らも、それぞれ大変な時期とかトラウマとか、いろんなものを抱えていた。

私は自分のことばかりに気を取られていたみたい。深く反省した。




他人の思いや辛さを本当に理解することは、ほぼ不可能だと思っている。
だけど、人の気持ちはわからないと思っておくこと、わからないなりに寄り添ってみることが大切なのかなと思う。

自分がちょっと悩みを打ち明けたときに、真剣に聞いてくれるのが嬉しいときもあれば、あっけらかんと笑い飛ばしてくれることが救いになることもある。フォローのつもりで発した「わかるよ」とか「大丈夫だよ」とかが、相手を傷つける場合もあるかもしれない。

そんなことを考え始めると、何もできなくなってしまうけど。でもそういういろんな可能性があることを知ったうえで、自分なりに真剣に人と関わっていきたいなと思った。



具合が悪かった時期を経て、いろいろあるんだなってことを知って、少しだけ考え方が変わった。
今は随分平気に過ごしているけど、この経験のことは忘れずにいたいと思っている。

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