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私が電脳世界に見た少女達の話。

お久しぶりです。Niaです。
皆さまいかがお過ごしでしょうか。

さて、私がイラストレーターとして所属するクリエイターチーム、V/R Convertersの2ndアルバム『The Executing Points』が発売されてから約2ヶ月が経ちました。
多くの方にご購入していただいているようで、本当に嬉しいです。ありがとうございます。

ゲームを共通コンセプトとし、沢山のゲストプレイヤーを迎え入れ制作をした今作。歌物は全曲にMVがついており、YouTube、ニコニコ動画などでご覧いただけます。
追加コンテンツとして、1stアルバムのリマスター、オーディオコメンタリー、特典ブックレットなどもご用意しておりますので、ボリュームたっぷりのアルバムになっております✨
購入はこちらから↓↓

さて、今回のテーマは
『2ndアルバム各楽曲の個人的解釈まとめ』
です。

よって、ネタバレ注意⚠️(?)になりますので、まだアルバムを聴いていない方、個人の解釈でまだまだ楽しみたい方はこの先読み進めることは非推奨とさせていただきます。
是非1度、フルでお聴きになってから、こちらのnoteを読んでくださると幸いです。

私は制作の際、個人的に想像・構築したストーリーをもとにしてイラストを描いています。個人の中に留めておくのはもったいないので、皆様と共有が出来ればなぁと思い、筆を取った次第になります。
それにプラスして、全アルバムを通して改めて想像した内容、制作の裏話や楽曲の感想も交えつつ、特典ブックレットにも載せていただいたイラストキャプションと共に、MVを担当した6曲を中心について綴っていこうと思います。
音楽の知識はうちの音楽制作班ほどニッチでは無いので理解しきれない部分も多いのですが、それなりに頑張ってお話します。

ちなみに『個人的解釈』これ超大事ね。

V/R Convertersは、正解を決めつけるより、各々の解釈を楽しんでもらう作品の方が向いてるな〜って思うので。
しかも制作時、大雑把な構成は全員共有になりますが、細かいところや伏線、小ネタとかは実は音楽制作班は知らなかったりするんですよね。
なので、本当に『私の』頭の中だけで、『勝手に』解釈した世界観なので、これが正解!って感じよりは、ただひたすらに私Niaの妄想を垂れ流すnoteになります。作り手ですけど、ほぼオタク目線です。

どれくらいの長さになるか分かりませんし、勢いで書いてるので文体とかもわりとめちゃくちゃなんですけど、ただの自己満なので興味のある方はお付き合いください。


この『The Executing Points』は、コンセプト通り、ゲームの世界(以下電脳世界と呼びます)が舞台になっています。
各キャラクターは、各ゲームの主要キャラクターであったり、電脳世界で生きる住民、みたいな子であったり、形態は様々。ゲームカセットを入れ替えるみたいにコロコロと変わっていく世界観に、好奇心をくすぐられます。

Next tune

──この音の海の中を歩いた先にある、次の話。

聴く人だけでなく演奏家側すらもふるいにかけるような、高圧的で目まぐるしく変化する楽曲。実際、演奏プレイヤーに喧嘩を売るような掛け合いをする、ボーカロイドらしさが十二分に活かされるフェーズも組み込まれており、まるで聴いている私達が試されているかのような感覚を覚えます。
この子は世界を達観して見ているように見えて、実は寂しさだとか、孤独を心の中に飼っていて欲しいです。音しか無い世界にたった1人。孤独に電脳世界を歩き続けて、自分と対等な実力を持ったプレイヤー(演奏家orゲームプレイヤー、どちらの解釈も出来ます)を探し続けている…みたいな。ちょっと陰りのある子かなと感じています。

アルバムを頭から聴くと分かるんですが、もう1人のイラストレーター・ひよ子ちゃんが担当したM1『Quantum Except Dimensions』M2『Ready Steady Go!』は、世界観は比較的平和なんですよね。ゲームの世界に入ってからの、希望に向かうというか、未来に光が灯るような好奇心や探究心が感じられる中、インスト曲 M3『Trip in Cosmologic』を経てM4『Next tune』へと移り変わっていく。
聴き手が辿り着いたのは、彼女しかいない、ただひたすらに無機質な世界。この辺りから、平和だったこの世界の、ちょっとした「拗れ」が垣間見え始めます。
では、次の話へ参りましょうか。

DEar bAD ENDs

──赤と黒の堂々巡りの中で、また今日も、君を愛している。

狂気的なサウンドと映像が印象的なこの曲は、作詞・shiroくんの中で明確なストーリーが練られた状態で曲が届きました。

モチーフのゲームとしてはルート分岐・エンディング分岐多めのADV…みたいな感じなのかな…
それこそBADENDsの名にぴったりですね。
愛情と殺意の2つの感情に少年が飲み込まれ、少女を殺してしまう。殺さない結末を辿るため、何度も何度も世界のコンティニューを繰り返す少年。それでも尚、殺意は自分の心を蝕んでいく…確か大体こんな感じ。違ってたらごめんねshiroくん。

一気に世界観が暗くなってきましたね。
しかもループ物ときたらこれはもう闇深ストーリー大好物オタク大歓喜ですよ。拗れた愛情から生まれる闇、𝑩𝑰𝑮 𝑳𝑶𝑽𝑬______
タイトルはバッドエンドなのですが、個人的にはこれってほぼメリバじゃない?って思ってます。だって、最終的に殺さないエンドでもたぶん平和に終わるだろうし、殺しちゃうエンドでも愛ゆえの殺意みたいなところがあると思うんですよね。少年に取り憑く殺意ってどこから来たんだろうとか、全く別の存在が少年をターゲットにして取り憑いてるのかとか、そもそも殺意って少年の潜在意識みたいな感じなのかなとか、色々想像が膨らみます。結局は少女を自分のものだけにしたいみたいなそういうやつなんでしょうねきっと。結果どう転んでも少年は幸せじゃん??

あとこれ、仮想幻實放送(ラジオ)でも何回か話してるんですけど、私が発案者です。
Dear〈親愛なる〉は少女へ向けて。BadENDsは先述した通り何度も繰り返すことで生まれる最悪の結果たち。
そして大文字だけを読むとDEAD ENDになる…みたいな、言葉遊びが含まれています。
我ながらこれはよく考えたなと満足しています。

愛すること=殺すこと、みたいな少々残虐なストーリーですが、多くの方に刺さったようで嬉しい限りです。愛を象徴する赤、殺意を象徴する黒のみに色を限定し、感情が次々に織り成されていくMVも是非ご覧ください。

TURNING

──自我、乖離、混同… 液晶を隔てた世界で、最後に笑うのは。

アルバムの中間地点『TURNING』
抽象的でどこか不安になるような歌詞と共に世界が広がる、展開の多い楽曲です。
サムネの爽やかにっこりショタに騙された人も多いんじゃないでしょうか。それ、私の計画通りです。
映像プロット、ストーリーの大まかな構成は私が担当しています。何てったってあの情報量の少ない歌詞だけ丸投げされて絵を描けって言われたんですもん!!頑張って解釈を組み立てるしかないじゃないですか!!(泣)
なのでこれに関しては私が本家です。たぶん。

テーマは『入れ替わり』
個人的には、この曲が1番闇深いというか、怖い曲だなと思います。電脳世界の真髄にそっと触れるような気味の悪さを感じていただけると嬉しいです。
我々のチーム名、『V(irtual)/R(eal)Converters』にもなぞらえつつ、現実世界と電脳世界の2つを描いています。
ちょっとややこしいので、ストーリーボードを載せておきます。完成前のものなので、イラストの配置などが若干違うのも面白いかも。あんまり構成ちゃんと出来てないのはマジごめんなさい。割とスカスカだしボカコレ出すって言われてギリギリまで詰め込んでとりあえず描け描け描けって感じだったので許してください。

ストーリーボードと言っても、そんなに充実はしてないですし、なんなら制作期間後半は自分でも訳分からなくなってきて、「もう聴く側で勝手に解釈して〜〜!!!」って荒ぶっていました。

それはさておき。
少年とテレビさんは、中身が入れ替わっている状態でMVが始まるんですね。
記憶を持ったまま電脳世界に取り残された少年は、自分の体を器にして現実世界で生きるテレビさんを、ブラウン管テレビの向こう側、電脳世界へ連れ去ります。

こだわりとしては、このシーンがアルバムジャケットと酷似している所ですかね。私たち聴き手が電脳世界に取り込まれたように、彼も同じように現実世界から引き込まれたのでしょうか。

テレビさんは現実世界に出た時点で記憶は無くなっているので、すべてが初めて出会う世界に不安を覚えます。MVを辿ると分かるのですが、他の曲にも出てきたような場所が見えたりしていて、外側から見ている私達はそれを分かった上でその曇った表情を眺めるという、ちょっとメタな感覚にもなります。
電脳世界を巡るテレビさん(少年の姿)を横目に、少年は自分の体を取り戻す機会を伺います。
テレビさんが記憶を取り戻すのが先か、少年がトリガーを引くのが先か…

ちなみに最後の『Thanks for Praying』のシーン、横から出てくる実績解除パーツは『Ready for Adventure?』から流用したものです。実績名は『僕の体を返して』…闇深いねぇ^ ^
文字化けさせていて一見気づかないと思うので、ここに答え置いておきますね。

After the END

──世界が消えるその前に、2人で碧の中に沈んでいこう。

幻想的な空と心地よい音色に包まれるエレクトロポップ。こちらもかなりストーリーが組まれている上、解釈の幅が広い作品だなと感じます。
作詞・shiroくんには彼なりの解釈があるようですが(仮想幻實放送#7より)私はそれを受けてまたさらにオタクの妄想を繰り広げています。

こちらもDEar bAD ENDsと同じような、ループ物のADVがモチーフだと感じます。まあ実際アルバムをシンメトリーに見た時に対になる曲なので、そういうところも合わせて解釈していくと楽しいと思います。こちらの場合は、ルート選択とかそういうのよりかは、世界観や話の美しさであったり、人物の関係性に胸を締め付けられる感じ。自然豊かな田舎で繰り広げられる、感動青春SFアドベンチャーゲームってところでしょうか。
主人公は中学生くらいの女の子2人。歌詞もそれぞれの目線から書かれており、世界が消えゆく儚さを感じます。若干の暗さを残しつつも、それを昇華させる言葉の美しさが印象的です。

これ地雷な人がいたらごめんなさいなんですけど、ストーリー組み立てながら、結構百合っぽいなってずっと思ってて。絶対映えるし可愛いし切ないよね。世間の目が許されるならこの2人で百合絵とか描きたい…

この話、何がしんどいって片方だけ世界が消えるのを知ってて、もう片方は知らない(忘れている)んですよね。
夜を最後に世界は消え、ループが発動してまた消える前に戻る…そんな世界。また消えるのではないかという不安を抱えながら、夜を走る少女達。
「もう一度」
そう呟きながら迎えた初めての朝は、どの世界よりも暖かくて碧くて。繋いだ手を離さないように、2人でまた駆けていく。
最期の夜を見届けて、繰り返す物語を終わらせたその先へ。

Gate of Future 

──ここに記すのは、私が生きた存在証明。

弾けるような音の羅列と力強い言葉に元気づけられる楽曲、『Gate of future』
実はこれ、我々V/R Cの中では受験応援ソングと呼ばれており。作曲者・Helfenの音大受験の試験のために書かれた曲なので、プレイヤーも作詞家もそのつもりで全部作ってるんですよね…笑
MVイラストを描いた段階で私はその話しか聞かされていなかったので、イラストも受験応援仕様になっています。詳しいことは仮想幻實放送#7へ(noteの最後の方にリンク載せてます)

ということで、この曲に関しては明確なストーリはないんですよね。
ただこう、ボス戦前というか、強く大きな何かに立ち向かうような情景は、RPGゲームの主人公のような解釈もできるような気がします。

じゃあこの子は一体どんな子?というところあたりのお話をしていきましょうか。
MVの主人公は強気な表情が印象的なアクティブな女の子。彼女は好奇心旺盛で、誰かを引っ張ってあげられる強さと優しさを持ち合わせた子だと考えています。
何かを頑張ることってとっても難しくて、継続できなかったり、取り組んでいるうちに好きだったものが嫌いになってしまったり、一筋縄ではいかないですよね。それでも皆、何かしらに取り組んで、心が折れそうになりながらも歩いている。
何というか、何でもいい、「頑張りました」って声を大にして言えなくてもいいから、一瞬でも何かに一生懸命になれたあなたの事を認めてあげられるような子にしてあげたいと思いました。一生懸命になった経験って、その後別の何かに立ち向かう時の燃料になると思うんですね。受験とか特に、そういうものだと思います。私も実際そうだったので。
向き合っているものに負けそうになっている時、そっと手を握って、共感して、その背中を押してくれる、そんな性格をこの曲には感じます。
真っ直ぐに見つめるその瞳で、ただ、あなたの"一生懸命"に寄り添えることを願って。

Ready for Adventure?

──あの頃の小さな君に贈る、三原色の子守唄。

舞台は再び、私たちが初めて足を踏み込んだあの崖の上へ。彼女はブラウン管テレビに腰をかけ、世界をただただ見つめます。

子供心に話しかけるように優しい歌詞と、温かくて儚いサウンド、シンプルに見えて厚みのある構成が胸を打つ楽曲。
この楽曲で『The Executing Points』はフィナーレを迎えます。

歌詞的にも、個人的な解釈的にも、この曲はかなりメタな解釈になるかと。
M1『Quantum Except Dimensions』でも出会ったこの子は、それこそ電脳世界の案内人のような立ち位置なのかな、と感じます。

自分を信じて未来を描き出したあの子も
次を待ち続けて、始まりの歌を唄うあの子も
愛に取り憑かれて大切な人を失ったあの子も
頂点を目指して強い自分を求めるあの子も
仮想に迷い込んで真実を見つけたあの子も
人々の暖かさに触れ、どこまでも歩くあの子も
碧と共に物語の先を走るあの子たちも
直向きに未来と闘い続けるあの子も

ゲームの世界に住む彼女らは、自由なように見えて、実は決められたシナリオの上で生きている。それすらもこの子は分かっているのでしょうね。
そしてこの世界にはいずれ終わりがあって、故障や劣化によって二度と遊べなくなってしまうかもしれない。そんなところまで。

そして世界は遂に消滅の時を迎えてしまった。
彼女はただ、ブラウン管テレビの上に座って、抗うこともなく世界を眺めている。
初めて見る世界の消滅なら、もっと悲しんだり、驚いたりしていてもいいはずなのに…彼女は抗うことなく受け入れます。
そして私たちに語りかけるんです。私たちが好奇心や探究心に心を染めていた、幼い頃の記憶を思い出しながら。

『この先は君だけのもの』
『もう寝る時間だよ』

謳われる言葉は、まるで母のように優しく、私たちを諭すように紡がれていく。
世界と共に消えた彼女が、最後に残したトロフィーを抱えて、私たちは次のステージへと進みます。

冒険の準備を整えて。
また会う日まで、おやすみ。

Broaden Ubiquitous Glitches

エンドロールの入り口で待っていたのは、溢れるほどのグリッチの海。
遠い彼方から聴こえてくるのは、いつかどこかで会った彼女の声。

私達の一度目は此れで終わり
貴方が、何度目か解らないけど、
また、逢えるからね、左様なら
〈to be continue〉
TURNING M13『Broaden Ubiquitous Glitches』

本当のシナリオは、『私たちがこのアルバムを再生すること』から始まるのだった。

唯一世界の全てを見透かしていたあの子は、この世界がゲームであること以前に、このゲームは本当のゲームなんかではなく、繰り返し消費されるアルバム楽曲たちだということにすら、気づいていたのかもしれませんね。

世界が消滅して、彼女と聴き手以外は記憶が消える。
そしてまた、電脳世界の『一度目』が始まります。

感想まとめ

いかがでしたでしょうか。
ていうか、ここまで読んでくださった方、いるんですか?長すぎだし話訳分からんし読みにくかったらごめんなさい…
一貫したストーリー性があるようでないようである、みたいな感じなので、雰囲気だけでも共有できたら十分です。
自分が1番自分のオタクってこういうことなんですよね、きっと笑
私たちV/R Convertersって、各担当の作業に干渉しないんですよ。作曲家からプレイヤーへの指示、くらいのものはありますが、ほとんどは自由気ままに制作しています。私は、その上で生み出された化学反応みたいなものが面白いというか、物珍しいというか…とにかく素敵なものが出来上がる秘訣なんだろうなと今になって実感します。

今回は私Niaの個人的な感想や解釈、制作秘話的なものを綴らせていただきましたが、販売している特典ブックレットには、メンバー全員分のこだわりポイント、ルーツとなったアルバム、コンセプトにちなんだお気に入りゲームの話や制作7つ道具まで、盛りだくさんのコンテンツを詰め込んでおります。
気になった方は是非ご覧ください✨

長くなりましたが、お付き合いいただき誠にありがとうございました。

もしこのアルバムに満足していただけたのなら、是非もう一度、彼女たちに逢いに行ってあげてください。
電子音を鳴らしながら、貴方が訪れるのを心待ちにしているはずです。

ではまた、次のnoteで。

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