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青海三丁目 地先の肖像「語られること」

2021.08.21 | 森藤

8月5日から2k540という山手線高架下のスペースで今回の展示が東京ビエンナーレのうちの1つの展示として始まった。
際して書きたいことはいろいろあるのだが、展示場での思いがけない話を記す。

展示会場に在廊すると、様々な方に巡り会える。
埋立地(夢の島)や沿岸部へ個人的体験をされた方が少なからずおり、その様子を聞くのが興味深い。

例えば、服飾の仕事をしていたという男性。沿岸部に事務所が多かったことから、仕事が終わると仕事仲間と海辺、すなわち埋立地に行っていたそうだ。生態系が出来上がっており、いろんな生き物を見たと。捨てられたであろう生き物もいて、大きな亀と出会ったという。ハクビシンや鳥もいたが、カラスは意外にも天敵がいたのか、見なかったそうだ。
そのころは黒いゴミ袋でゴミを出していて、都内はカラスだらけだった、と付け加えていた。

大井埠頭の方へ仕事で行っていたという方。誰に使われるわけでもない公園、コンテナを運ぶトラック、ガントリークレーン、そして夜は暗い中に遠くに都心部の灯りが見える。風景がとても似ている、と話されていた。
確かに、大井埠頭へは私も昔何とはなしに訪れたが、思い返せば、共感できる部分がある。排除感まではなかったが、人が住まうための場所ではない雰囲気は共通しているようだ。
バイクに乗って単身で来るのにふさわしい土地の様相、とも言えるかもしれない。

また、ゲストでおよびした藤浩志さんは昔は川で遊ぶのは危ない、と言われていたと。理由はなんと、頭の上からゴミが降ってくるから、だったそうだ。つまり、川はゴミ捨て場であったという。

人の記憶のもとに語られる言葉で過去の"肖像"に触れることができたのは、思わぬ出会いであった。

この頁には、いつか新たなエピソードを追記するかもしれないが、まだ展示が終わらないうちに記事を公開してしまおうと思う。

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