不思議な思い出
昔のことなので、記憶も若干曖昧だけど、覚えている範囲で書く。
結論から言うと、真相は闇の中で、本当のことはわかっていない。
ただ、なんかふと思い出したのと、やっぱり不思議だなぁと思ったので書いてみる。
高校2年の冬だったと思う。
その日は足首まで埋まるくらい雪が積もった。
そんな日に、僕は仲間が集まっている公園に徒歩で向かった。
普段は家から徒歩で20分くらいだが、雪道なので倍の時間くらいだろうか。
車や人の多いバス通りを歩くと遠回りなので、畑の脇道の農道を歩くことにした。
久しぶりの白銀世界を、静かな道を歩きながらゆっくり向かうのも悪く無いなと。
この道は、車の抜け道にもあまり使われないような農道なので、人もいない。
当時は周りに人気のある建物もほとんどなかったので、本当に静かだった。
しばらく歩いていくと、一台の軽自動車が停まっていた。
どうやらタイヤがスリップして立ち往生しているらしい。
おじいさんが1人で何とかしようと頑張っている。
さすがに見て見ぬ振りは出来ない。
おじいさんに声をかけて、おじいさんがアクセルを踏み、僕が後ろから押す。
車が轍から抜けた。
前輪駆動者なのに、後輪にチェーンを巻いているので、後輪に付け替えたほうがよいですよっとおじいさんに説明した。
おじいさんはめっちゃ笑っていた。
これからどこか行くのか?
と聞かれたので、目的地を伝える。
おじいさんもその近くまで行く予定とのことで車に乗せてもらうことになった。
この先も車の通りは少ないので、また動かなくなっても2人いれば安心だ!
僕も車で送ってもらえるのはラッキーだった。
車の中で年齢を聞かれ、答えると同い年のお孫さんがいるとのこと。
苗字を聞いたら、確かに中学校時代の同級生に同じ苗字の知り合いがいる。
お孫さんの話で盛り上がり、あっという間に目的地に到着。
おじいさんにお礼を伝え、さよならした。
仲間と合流してすぐ、いいことしたのと、ラッキーだったこと、しかも同級生のおじいさんだったことをみんなに話した。
不思議なのはこの後だ。
後日、仲間の1人がお孫さんと話す機会があり、
僕がこないだの雪の日、おじいさんに会ったことを話した。
すると、そのお孫さんのおじいさんは随分前に亡くなっているから人違いだという。
それを聞いたとき、
正直言葉が出なかった。
もちろん、同じ学校ではない同姓同名のお孫さんがいたのかもしれない。
おじいさんが何かを勘違いしていただけかもしれない。
なぜか、僕自身、おじいさんの顔を思い出せない。
これ以上、追求するのをやめた。
結局、あのおじいさんが誰のおじいさんだったのかはわかっていないし、調べる気持ちも当時と変わらず全くない。
少なくとも、困っている人を助けて、お礼に目的地まで送ってもらえた。
お孫さんのくだりを気にしなければ、何でもない話。
でも、当事者の僕にとっては、なんか不思議な話。
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