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雑記帳

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『鬼滅の刃』における死生観

 鬼殺隊と無惨の死生観は心憎きまでに真反対である。すなわち鬼殺隊は悪鬼滅殺のためには文字通りその生命を賭すことを厭わぬ集団であり、片や敵の首魁鬼舞辻無惨は生き長らえることを至上目的とする生命体である。  この無惨、己が命を長らえるためには他の命をこれまた文字通り歯牙にもかけずに喰らい尽くす。ある意味でこれは「生きる」「生きたい」「生きねば」という生命体が等しく有する根源的渇望であって、これを求めることそのものに異を唱えることは、ある意味で自分自身を否定することに繋がるのであ

    • 梵天勧請と「言葉」について

       梵天勧請というのがある。仏教の言葉である。菩提樹の下でさとった釈迦が、その境地をたのしんで、さ~てそんじゃあとは涅槃に入るのみ…という段になって、梵天、いわゆる神様が現れてこういうのである。「どうかあなたのさとりを他の多くの人々にも授けてください」と。これを聞いた釈迦は難色を示す。釈迦のさとりとは(私はさとってないので)ざっくりいうと、縁起の道理、すなわちあらゆることがらは因縁によって生滅変化し、固定的実体というものは存在しないとか、あらゆることがらをあるがままにうけいれる

      • 仏教的「萌え」考察

        序 「萌え」とは何か。いわゆるオタク文化の中から生じた、誠に複雑怪奇な概念である。しかし、特に何の疑問もなく用いている概念でもある。むしろ、最近はあまり声高に言及されることも少ないように思われ、「エモい」「尊い」というような新語に取って代わられた感すらある。  さりながら「萌え」とは何か。このようなことを考えるきっかけをくださったのはうえぽんさん(@s_uepon)である。事の始まりは、うえぽんさんとnowさん(@nowhereman134)によるいつ終わるとも知れぬ果てし

      『鬼滅の刃』における死生観