空間の把握と感情
演出をするときに、ぼくはステージ上の俳優同士の距離感を大切にします。何故なら日常のぼくらの対人関係は、そのまま距離感としてリアルに現われているからです。俳優は自分の感情にばかり意識が向いてしまい、相手との関係的距離を見落としてしまいがちです。そんな時「ちょっとまって。そこに立っていていいの?あなたが今抱えている感情と相手との距離に矛盾はありませんか?」と問いを投げかけます。そこでハッと気づいた俳優は改めて相手俳優との距離を確認し、自分の感情との乖離を埋めるように、距離を縮めたり離れたりします。そこに違和感のない相応しい場面が現れてきます。空間を把握する。設定して支配する。
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