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「ChatGPT」の恐るべき可能性

2023年01月20日

「ChatGPT」チャットジーピーティ

グーグル幹部は非常事態を宣言した…ネット検索を根本から変える「ChatGPT」の恐るべき可能性

2023/1/18(水) 15:17配信プレジデントオンライン


■質問すれば何でも答えてくれる「対話型AI」が登場

 インターネット検索の常識が、近い将来、塗り替えられることになるかもしれない。昨年11月に公開された「ChatGPT」と呼ばれるサービスが、検索エンジンの常識を変えようとしている。


【画像】ChatGPTのウェブページ。下の検索窓に質問を入力すると、自動で答えてくれる。

 ChatGPTは、チャット画面に質問文を打ち込むとAIが回答してくれるサービスだ。その最大の特徴は、人間の質問文の意図をくみ取り、端的な回答を返す点にある。また、その回答文は、まるで人間とやりとりしているかのように自然な表現だ。
 AIとは思えないほどの高い回答能力が話題を呼び、公開からわずか6日後にはユーザー数が100万人を超えた。現状、ネットで調べ物をしたいときは、Googleなど検索サイトを利用することが多いだろう。その場合、検索結果にリストアップされる無数のサイトは、質の高い有用なサイトばかりとは限らない。
広告だらけで内容が薄いページや、反対に難解なページばかりを引き当て、目的の情報にスムーズにたどり着けなかったという経験は誰しもあるだろう。
 一方、ChatGPTは、質問文を投げかけるだけで、必要な情報を教えてくれる。情報を求めて、複数のサイトをさまよう必要はない。
■Google幹部は非常事態を宣言した ユーザーにとって非常に便利なツールだが、Google社には脅威になっている。
 ニューヨーク・タイムズ紙は昨年12月、検索の未来を書き換える可能性があるとしてGoogle幹部が危機感を抱き、社内に「Code red(非常事態)」を宣言したと報じている。
ChatGPTに太刀打ちすべく、社内の開発体制を根底から変更したという。
 世界シェア92%を占める最大手Googleとはいえ、その地位は不動ではない。振り返ればネット黎明(れいめい)期には、スタッフが人力でサイトを分類・掲載する米Yahoo!が栄華を誇った。 やがて自動でのサイト収集に特化したGoogleに淘汰(とうた)されていった経緯がある。
 以来リードを保ってきたGoogleだが、盛者必衰の検索業界において、新手に抜かされる日が近づいているのかもしれない。
■まるで人間が書いたかのような回答 試しにChatGPTに、「Googleとは?」と尋ねると、次のような文章がリアルタイムで生成された。
 ChatGPT:「Googleは、世界で最も有名なインターネット検索エンジンです。Googleは、世界中の様々な情報をインターネット上から検索して、ユーザーに提供するサービスを提供しています。Googleはまた、ウェブブラウザーや(中略)、モバイルオペレーティングシステムなど、さまざまなインターネットサービスを提供しています。」
 回答は要領を得ており的確だ。Google社の代表的なサービスである検索を筆頭に挙げつつ、著名なモバイルOS事業(Android)にもそつなく触れている。何かを平易な表現でわかりやすく説明してほしい場合、ネットに溢(あふ)れる有象無象のサイトを渡り歩くよりもよほど効率的だ。内容が端的によくまとまっているだけでなく、まるで人間が書いたかのように非常に自然な文章表現にも驚かされる。「提供するサービスを提供」といった拙さはあるが、一昔前の機械翻訳などで見かけた支離滅裂な文章と比べれば、その差は歴然だ。
 現在、ChatGPTは試験運用期間中であり、誰でも無料で使うことができる。画面表示は英語だが、質問と回答は日本語にも対応している。
■「バレンタインの贈り物は?」クリエイティブな提案もこなす これだけならオンライン辞書を引くのと大差ないが、ChatGPTはよりクリエイティブな要求にも対応している。
 バレンタインデーに何を贈ろうかと迷ったなら、ChatGPTに聞くのも一案だ。 「バレンタインデーにおすすめの贈り物は?」と入力すると、さまざまなアイデアを示してくれる。
 ChatGPT:「バレンタインデーにおすすめの贈り物としては、次のようなものがあります。・チョコレート・花(ローズやカーネーションなど)・ペアリング(カップル用のリング)・手作りのもの(手作りのカードや小物など)・新しいゲームやDVD・パンフレットや旅行の予約・ケーキやスイーツまた、相手の嗜好(しこう)や好きなものを考慮して、お土産を選ぶのもよいでしょう。」 チョコレートやバラの花など王道を提示しながら、旅行など個性的な提案も含めている。ゲームやDVDなどは必ずしも万人に向かないかもしれないが、発想を膨らませるためのヒントとしては悪くなさそうだ。
 ChatGPTが発揮するクリエイティビティは、こうした提案にとどまらない。指示した状況設定に基づいて、小説を執筆することすらやってのける。
■小説を書き、筋書きのアイデアも教えてくれる 「馬と拳銃が登場するスパイ小説の書き出しを書いて」とリクエストすると、このような文章が即座に表示された。
 ChatGPT:「馬の背中に乗って、拳銃を握りしめた男が、暗闇を駆け抜けていた。彼は、身を挺しているスパイであり、今日もまた、国を救うために危険な任務をこなしていた。」興味をそそる出だしだ。「身を挺しているスパイ」とはいかにも直訳的であるものの、ジャンルならではの緊迫感が漂い、自動生成された文書とはとても思えない。物語の先はどうなるのだろうか。「続きを書いて」と指示すると、ChatGPTは次のように創作を続けた。
 ChatGPT:「その任務は、敵国の秘密基地を潜入し、そこで手に入れるとされる極秘文書を盗み出すことだった。男は、基地に近づくにつれ、警戒が厳しくなると感じた。だが、それでも彼は、決して諦めることなく、前に進んでいった。」
 前半とあわせても状況に齟齬(そご)がなく、スパイ小説の書き出しとして見事に成立している。このようにChatGPTは、既知の事実について回答するだけでなく、リクエストに応じて適切な創作を行う能力を持っている。 実際に創作に活用している作家もいる。電子書籍リーダーのKindle(キンドル)向けに作品を発表しているある小説家は、米テックメディアのヴァージに対し、自著のミステリ作品のアイデア出しを任せていると語っている。 この作家は、テキサス州の小さな町で起こった超常ミステリという設定をChatGPTに与え、「殺人の被害者が必要。どうやって殺されたのか。容疑者は4人で、なぜ疑われているのか。犯人が誰かも教えて」とリクエストした。
 すると、すでに自力で書いた1巻の続編を補完し、2~7巻までのプロット(おおまかな筋書き)を得ることができたという。
■ニューヨークの公立小学校では使用禁止に ファジーな創作だけでなく、より実用的なタスクの助けにもなる。米テックメディアのワイアードは、ChatGPTが人間相手の減額交渉に成功したという事例を報じている。
 イギリス系アメリカ人のジョシュ・ブラウダー氏は、法的アドバイスをチャット形式で得られるサービス「DoNotPay」を運営している。この延長として、企業へのチャット問い合わせを自動で行うツールを、ChatGPTを中核として製作した。
氏はこのツールを用い、ケーブルTV企業の米コムキャストのチャット窓口に苦情を申し立てた。ツールはチャット窓口に対し、サービスが一時的に使用不能になっていたことを説明し、さらに払い戻しを受ける権利がある旨の条文を送信した。窓口担当者は、利用料金を年間120ドル(約1万6000円)相当減額することに応じたという。 あまりに完成度の高い文章を生み出すため、悪用が懸念されているほどだ。 米CNNは1月6日、「奇妙なまでに説得力のある回答」を生み出すChatGPTについて、ニューヨーク市の公立学校での使用が禁じられたと報じている。
 当局は、生徒が課題を短絡的に仕上げるおそれがあり、問題解決的思考の育成を妨げる懸念があると説明している。


以下割愛



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