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この世は「奇をてらう」か?

 「奇を衒う」は「きをてらう」と読みます。
言葉の意味は「わざと普通と違う行動をして、他人の注意を引こうとすること」。 「奇」は漢字一文字で「普通とは異なり珍しい不思議な」という意味で使うなど。2022/11/15(https://dime.jp/)

よく似た言葉で「詭弁」というのがあります。間違った内容・意見を正しく見せかけたり、自分の意見に言いくるめようとしたりする話し方のことを指します。 それは古代ギリシャからあった話し方の言葉でビジネスの場においても詭弁によって気づかないうちに“論点のすりかえ”や命題から逸れた議論が展開されてしまうなど。

これ、「ChatGPT」引用語ではありません。わけあって、自粛してます、やはり自分とは違う、奇をてらった、ような言説に疑問もありましたし?。

それと、その拡大解釈で「詐欺」と云うのがありますが、これがなかなか厄介で、大なり小なり読者の皆さんも経験があるでしょう。NHKで毎日、詐欺被害啓蒙ガイドをしてますが、その被害額の多さに驚いてしまいます。

おそらく、その取られた現金は、殆ど却ってこないとおもって間違いないでしょう。というのも詐欺を立証するのが難しい、という問題があります。良く云われるのが「騙されるのが悪い」という方便です。

もっとも多いのが投資とかファンドとか、短期間に一攫千金で金が増える、という騙しのテクニックです。そのよい例(悪い例?)が、アメリカ証券業界のテクニックで、「リーマンショック」が代表作でした。

今考えれば、そのからくりが詐欺まがい、というのが判りますが、その当時では、世界、とくにヨーロッパを巻き込んで個人債権を巧妙に売り込む、という方法で、巨額を稼ぎましたが、早い話が個客連鎖型自転車操業で、誰が最後のばば引き、になるかで、ご存じのように世界倒産型に発展してしまったのです。

なぜそうなったかというと、誘われた客は、知り合いセールスマンの説明を鵜呑み(理解してない)でせっせと投資(借金)したからです。その時点でババになったのです。
最近、アメリカ経済(ウォール街ドリーム)のドキュメント映画を何本かみてますが、その詐欺スレスレの危ない橋で、一攫千金(捕まっても再度挑戦)を見る限り、ハイリスク~莫大リターンが、彼らの垂涎世界のようでした。

過去の日本でも同じよう女詐欺師がいましたが、今回は長くなるのやりません。
■尾上 縫(おのうえ ぬい、1930年2月22日 - 2014年頃、日本の実業家、投資家、詐欺師。奈良県出身。大阪府大阪市千日前にあった料亭「恵川」を経営していた。バブル景気絶頂期の1980年代末には「北浜の天才相場師」と呼ばれ一料亭の女将でありながら数千億円を投機的に運用していた。しかしバブル崩壊とともに資金繰りが悪化、金融機関を巻き込む巨額詐欺事件を起こした。バブル時代を象徴する人物の一人として「バブルの女帝」と呼ばれ、尾上をモデルとした小説を原作とした映画『女帝』も公開。ウイキペディア

--パレスチナ壁際--の足止めトラック100台分の救援物資

支援物資の搬入は、ガザ地区とエジプトとの境界にあるラファ検問所で行われた。バイデン米大統領の仲介で18日、検問所を管理するエジプトと、ガザ地区全体を封鎖するイスラエルがトラック20台分の搬入で合意していた。搬入の実務は国連などが担う。カタールの衛星テレビ局アルジャジーラの映像では、午前10時15分(日本時間午後4時15分)すぎに、エジプトやパレスチナの旗で飾られた大型トラックが次々と検問所施設に入り始めた。エジプト側では関係者らが手を振って見送った。(エルサレム=武石英史郎)朝日新聞

100台トラック物資積載分ですから、これから奇をてらった話の、日本経済の話題をしましょう。

100台の大型トラック救援物資が並んだ光景に、度肝を抜かれた人も多いが、それだけ多くの人災災害に疲弊したことを物語っているのでしよう。これが日本の首都高だったら、日本経済は完全マヒするでしよう。

この100台救援積載量とは、金額にしていくらになるのかアバウトに計算してみました。
判りやすいように円換算です。現金紙幣1兆円を10トントラックに積むと10台必要です。それは円紙幣ですが$紙幣にすると9千万ドルに換算すると1トンという均衡値。
その10倍で100台として、対物レートですから、価値はその10分1程度です。すると首都高に待機した10トントラック1台分の商品価値は、現金1000億円という計算です。これは、面積体積換算の値として10トントラックに積載すのはダイヤモンド、金でない限り想定外ですから、さらに1パーセント見積もりとして、10億円物資価値となります。それでも総数量はべらぼうな重さです。それでも「国境なき医師団」によると「医療物資不足する」という見通しですから、この人災が、いかに大きいのか、その量で類推されます(計算が違っていた場合、指摘訂正してください 筆者)。

今の日本経済はどのように推移しているか?

現状日本においては前述したように、YouTubeやSNSでの投稿を見て両サイトで購入する若年層が多く、そのアルゴリズムによって気持ちよく買い物をするユーザーはまだまだ少数と言ってよいだろう。

優れたAIを開発することは楽天市場にとっても決して技術的に不可能ではない。だが、すでにモバイル市場に投資してしまい、ヒトもカネも楽天市場に投資できない同社はなかなかその改革が難しいのが現状と言えるだろう。

以上の理由で、楽天市場は今後新興中国系ECサイトにシェアが奪われる可能性があると言えるのだ。<TEXT/田中謙伍>

【田中謙伍】
EC・D2Cコンサルタント、Amazon研究家、株式会社GROOVE CEO。慶應義塾大学環境情報学部卒業後、新卒採用第1期生としてアマゾンジャパン合同会社に入社、出品サービス事業部にて2年間のトップセールス、同社大阪支社の立ち上げを経験。マーケティングマネージャーとしてAmazonスポンサープロダクト広告の立ち上げを経験。株式会社GROOVEおよび Amazon D2Cメーカーの株式会社AINEXTを創業。立ち上げ6年で2社合計年商50億円を達成。Youtubeチャンネル「たなけんのEC大学」を運営。紀州漆器(山家漆器店)など地方の伝統工芸の再生や、老舗刃物メーカー(貝印)のEC進出支援にも積極的に取り組む。幼少期からの鉄道好きの延長で月10日以上は日本全国を旅している。 日刊SPA!

大量閉店計画を進めるイトーヨーカドー。業績悪化をめぐる「2つの理由」
2023年04月15日 山口伸
株式会社セブン&アイ・ホールディングスは2023年3月、傘下に置くイトーヨーカドーの店舗数を2026年2月末までに現状の126から93店舗に削減する計画を発表しました。閉店が決まっていた19店舗に加え、14店舗の閉店を決定したようです。
最盛期(2016年2月末)には182店舗を抱えていましたが、規模縮小が続き、SC化や魅力的なテナントの誘致を行ったものの、時代の潮流には逆らえなかったようです。今回はイトーヨーカドーの栄光時代と近年における業績悪化の背景について解説します。

総合スーパーとして消費者を支えた
イトーヨーカドー(以下:ヨーカドー)は1920年に東京・浅草でオープンした洋品店「羊華堂」に由来します。衣類がメインの店舗でしたが、60年代からは食品を扱うスーパーとして店舗展開を進めました。68年には「イトーヨーカ堂」に改名、馴染みのあるハトのロゴは72年に導入されました。
60年代までは百貨店を除くと零細な商店しかなかった国内で、食料品から衣類、家電まで何でも揃うヨーカドーは総合スーパー(GMS)として規模を拡大しました。GMSは1階が食料品を扱うスーパー、2階以上は衣類・日用品コーナーという店舗構造であり、ヨーカドーの他にはダイエーやジャスコ、西友などがあります。ヨーカドーは全国に展開しましたが、特に首都圏の駅前・市街地を中心に進出し、最盛期には前述の通り182店舗体制となりました。
セブン&アイHD傘下に入った経緯は?
規模拡大が続く中でヨーカドーは1973年、アメリカでセブン-イレブンを運営するサウスランド・カンパニーとライセンス契約を結び、日本国内でコンビニ事業を展開し始めました。その後のセブン-イレブンの成長は周知の通りです。
コンビニ事業の好調が続く中、セブン-イレブンの時価総額が親会社であるヨーカドーを上回るようになりました。これは他社がヨーカドーを安く買収することで、より規模の大きいセブン-イレブンも買収できてしまう危険な状態といえます。当時はライブドアによるニッポン放送買収など敵対的買収が話題となった時代でもあり、他社による敵対的買収を防ぐため2005年にセブン&アイHDとして持ち株会社に移行し、ヨーカドーは同HDの傘下に入りました。

セブン&アイHDの足を引っ張っていた
さて、セブン&アイHDの2023年2月期決算を見てみると全体の営業収益(売上高)11兆8,113億円に対し、ヨーカドーの営業収益は7,293億円しかありません。
店舗数約2万1,000の国内コンビニエンスストア事業(売上高:8,903億円)、約6万2,000超の海外コンビニエンスストア事業(売上高:8兆8,462億円)を合わせたコンビニ事業と比較して小規模であり、HD全体に対する貢献度が低いことが分かります。
こうした状況で株主からは不採算事業であるヨーカドーを売却し、コンビニ事業に集中すべきという声も上がりました。以下割愛


日本国内二つの経済事例記事を読む
冒頭の、首都高に並んだ100台トラック、それとは荒唐無稽な比喩ですが、通行量世界一?の首都高上では、今日も物流トラックに載った満載物品が国内と世界に向け配送されていることでしょう。

私が特に目を向けたのは<TEXT/田中謙伍>という人物で「Amazon」社員でありながら、独自のスタンスで自分のカテゴリー拡大を図っており、なおかつ、文筆も達者という、そのまま商業ライターで通用しそうな、逸材であると感心しました。

そして今、襲っている日本経済の新たな新戦力(中華系ECサイト)との闘いで、それに勝てるのか、という最大の不安材料です。

その記事を書いたのが<TEXT/田中謙伍>でした。

2023年10月22日記事

中華系ECサイト「SHIEN」(シーン)」「Temu(ティームー)」

“楽天離れ”に歯止めがかからず…「中華系ECサイト」と比べて致命的に弱い部分が露呈

2023/10/21(土) 15:54配信 週刊SPA!

筆者(田中謙伍)はAmazon日本法人に新卒入社し、現在はAmazonで商品を出品する企業のコンサルティング会社を経営している。 Amazon日本法人在籍中に副業でAmazon内で商品を出品し3億円を稼ぎ、現在はAmazon内でヒットする商品の成功要因を分析できる立場を活かし、日刊SPA!では「ヒットする商品の背景」についてお伝えしていきたい。

goo ニュース画像

※- 写真 - 日刊SPA! goo ニュース画像 大手百貨店のEC通販サイト(ネットショップ)

以前の記事で、楽天市場の10~20代の若年層のシェアをQoo10が奪いつつある事実と、その背景について解説した。

実はQoo10以外にも強敵が待ち構えているのだ。単なる「世代的な入れ替え」だけでは説明できない、2つのECサイトが楽天市場の脅威となる背景について解説しよう。

ファストファッションが生み出したモンスター「SHIEN」

その2つのECサイトとは、「SHIEN(シーン)」と「Temu(ティームー)」だ。どちらもあまり耳にしたことのない人も多いかもしれない。順番に解説しよう。

まず、成長著しいのが、圧倒的なスピードで売上1兆円を超えを果たした「SHEIN」だ。最大の強みはユニクロやZARAなどの商品とデザインが酷似した商品を、半額以下で販売するそのデザイン性と価格にある。彼らが急成長を遂げて普及に成功した理由は、大きく2つある。

「ユニクロは高いからSHIENで買う」という若者も…

1つ目は、中国で安く商品を生産できる工場を持っている点だ。周知の通り、多くのファストファッションブランドは中国に工場を持っている。すでに沿岸部は労働賃金が値上がりしたものの、いまだ中国内陸部では安価なコストでアパレル製品を生産できる。
そして、これがSHIENという“巨大モンスター”を生み出す温床となった。彼らは内陸部に点在する世界中のアパレル工場で生産された素材を、自社工場に集約して製品を作ったのだ。
そのため、流通・仕入れコストがほぼゼロ。結果、ありえないほど安価で商品を出品することができている。これが日本の10~20代の若者(特に女性)にも支持され、今や「ユニクロは高いからSHIENで買う」という若者も珍しくなくなっている。
試しにYou TubeやInstagramで「#SHIEN」で検索すると、若者たちがこぞってSHIENで買った商品をレビューする投稿が確認できるだろう。Qoo10同様、こうしたSNSでの集客力もまたSHIENの強みとなっている。

「ロスを極限まで減らす」仕組みが

続いてSHIENの強みの2つ目、それは画期的なマーケティングシステムを持っている点だ。SHIENは、市場で売れてる商品ビッグデータをAIで解析し、流行のデザインを秒速でパクり、在庫リスクが発生しない最適な在庫数を瞬時に割り出せるシステムを持っている。
これにより、商品を安価なコストで製造できるだけでなく、ロスを極限まで減らして世界中に販売することに成功したのである。

また、最近SHIENは自社のECモールに商品を掲載して販売をしたい企業を募り始めた。SHEIN自身の製品だけでなく、第三者の売り手からの製品も提供される「SHIEN Marketplace」というサービスだ。

いずれは世界最大のショッピングモールに?

現在、SHIENはブラジルと米国での展開に続きメキシコでのローンチを発表している。さらに、ドイツ、スペイン、フランス、イタリアなどの他のヨーロッパ諸国にも展開する計画を明らかにしており、SHIEN Marketplaceが広がれば一気に世界のシェアを奪いにくることも否定できない。

今後、SHIENは各メーカーに対し、商品開発の段階で売れ残りが発生しにくい必要な在庫数を瞬時に割り出せる仕組みを提供すると発表している。

これによりSHIENでの商品数が拡大し、さらなるデータを蓄積、いずれは世界最大のショッピングモールに成長することが考えられるだろう。

もう一つの脅威、「Temu」とは?

さらに、この半年の間にファッション市場に、SHIENを超えるスーパーモンスター企業が登場している。
それが「Temu」だ。2013年にアメリカのナスダックで上場しているECモール企業で、SHIENを超えるべく、中国から大量に安い商品をアメリカで販売する越境ECを急成長させることに成功している。

こちらもSHIENと同じ中国企業で、この半年でアメリカで2700万人のアクティブユーザーを一気に獲得。すでにSHIENのアメリカのアクティブユーザーを超えてしまう偉業を成し遂げている。

SHIEN同様、Temuがとんでもない成長を遂げられた最大の理由は、中国の商品を海外でも爆安価格で買えるECモールだからだ。

その仕組みを支えているのは何か。それは、SHIEN同様優秀なアルゴリズムを備えていることに加え、中国政府からの支援があることが大きい。現在、中国政府は自国企業が海外輸出する際の流通整備に多額のお金を投資し、支援をしている。その結果、海外にいながら中国製品を安価で買える状況が完成しているのである。

Temuは、SHEIN同様にこの流通網の力を使い、中国製品を海外で安く大量販売することができるのだ。実はこの2つのサイトが日本国内で拡大した場合、もっとも打撃を受けるのは楽天市場なのである。

楽天市場を2つの新興ECサイトが破壊するワケ

では、なぜSHIENとTemuが市場拡大した場合、楽天市場がもっともシェアを落とす可能性があるのか。それは大きく2つの理由で説明できる。

一つは、楽天市場が持っていた「客寄せパンダ」の領域を彼らがまるまる奪うからだ。「客寄せパンダ」とは、そのサイトを訪れた時に思わずカートに入れてしまう商品のことだ。
その商品をカートに入れたついでに、より高価格帯の商品を買ってしまう。楽天市場で「3,980円以上送料無料」といった文言に釣られ、ついつい他の商品を買ってしまったことはないだろうか?

「客寄せパンダ」による衝動買いをきっかけにたくさん買い物してしまう。これが従来の楽天市場の戦略だった。筆者がかつて在籍していたAmazonとの比較を言えば、楽天市場は「買いたいモノを安く、早く」ではなく、ショッピングそのものを楽しむ機能を備えているのが特徴だった。

「呼び込みパンダ作戦」が崩壊するのも時間の問題か…

また、楽天市場には「ポイント目当てでの買い物」や「お買い物マラソン」のように「次は何を買おうかな」と、ユーザーにとって買う商品が決まっていないが、ふらっとその場所を訪れて衝動買いする楽しみが備わっている。こうした「衝動買い体験」を2つのサイトが奪っていくのである。なぜか。

それは、SHIENやTemuで取り扱われている「客寄せパンダ」にあたる商品の多くが楽天市場より安いからだ。
「客寄せパンダ」にあたる商品とは、スマホスタンドや携帯扇風機など、価格、機能、デザインだけで消費者に選ばれるモノが多い。
一口で言えば、ブランド性など皆無の「安ければなんでもあり」な商品だ。となると、こうした商品は激しい価格競争の中で選ばれるため、中国のECサイトが選択される。結果、この楽天市場の「呼び込みパンダ作戦」が崩壊し、他の商品をカートに入れてもらい、客単価をアップさせる同社の戦略は総崩れしてしまうのだ。


まとめ | おまとめさん画

「ワクワク感」「エンタメ感」すらも、奪われる

もう一つ楽天市場のシェアが奪われる要素がある。それは、同サイトが持つ「ワクワク感」や「エンタメ感」だ。具体例を示そう。もし、ある人が楽天市場でプロテインを買ったとしよう。

その際に、カートのページで「こちらの商品もいかがですか?」とプロテインシェーカーをおすすめされたとする。だが、多くの人はすでにプロテインを日常的に飲んでいるため、シェーカーはすでに持っていることが少なくないのではないだろうか。

■となると、実際はプロテインを買った人には、“良質なタンパク源”としておなじみの鶏ささみ肉とブロッコリーを「おすすめ」したほうが購入する可能性が高いと言えるだろう。
もし、鶏ささみ肉とブロッコリーが提案されれば、その的確さにワクワクし、思わずよりサイト内を回遊してしまうのではないだろうか。
まるでAIによって次々と好みの動画がおすすめされてくるTikTokのように。だが、楽天市場はこのささみとブロッコリーの提案力が致命的に2つのサイトより弱いのである。プロテインメーカーの場合、鶏ささみ肉とブロッコリーは取り扱っておらず、恣意的に自社商品(シェーカー)を提案するしかないからだ。

AI開発が後手に回っている楽天の、のっぴきならない事情

一方、SHIENとTemuは違う~
他社製品もおすすめされるUIと、膨大なビッグデータと優れたAIにより、ささみとブロッコリーをその場で「おすすめ」として提案できるのである。
いわば「EC版TikTok」、それがSIENとTemuなのだ。
とはいえ、現状日本においては前述したように、YouTubeやSNSでの投稿を見て両サイトで購入する若年層が多く、そのアルゴリズムによって気持ちよく買い物をするユーザーはまだまだ少数と言ってよいだろう。

話を戻すが、優れたAIを開発することは楽天市場にとっても決して技術的に不可能ではない。だが、すでにモバイル市場に投資してしまい、ヒトもカネも楽天市場に投資できない同社はなかなかその改革が難しいのが現状と言えるだろう。

以上の理由で、楽天市場は今後新興中国系ECサイトにシェアが奪われる可能性があると言えるのだ。

もちろん「SHIEN」「Temu」にも課題はある

だが、両サイトに弱点がないわけではない。まず指摘できるのが、低単価ゆえの「送料負け問題」だ。

現在、低単価商品が売れているSHIENとTemuの場合、軽量で小さいメール便で送れる商品(送料が200円弱)でなければ、送料が高くついてしまい、商売が成り立たないのだ。これは、大量生産できる薄利多売の商品であるため、中国メーカーが圧倒的に強く、日本国内のメーカーにとっては大きな参入障壁となるだろう。
また、楽天市場のシェアを奪った「呼び込みパンダ商品」の先に売りたい高価格商品を販売できるのか、という課題もある。

「客寄せパンダ商品」は利益度外視の商品であることも多く、今後は客単価アップを図るための何らかの施策が必要になるだろう。特に日本のメーカーの場合、消費者人口的にも薄利多売できる会社は一部にとどまるだろう。

また、SHIENは、工場で働く従業員たちが一日17時間勤務を強いられ、平均賃金は日給約3300円であることなど過酷な労働環境が報じられていることや、商品デザインの盗用問題などが批判されている。言い換えれば、こうした課題を乗り越え、世界的に支持されたとき、SHIENとTemuは一気に楽天市場のセールを滅ぼすほどの脅威を持つことになるだろう。

<TEXT/田中謙伍>


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