未熟さが大事なセンサーになる
「この鍵盤から変な音がする」
「この音だけ弾きづらい気がする」
ピアノの不具合にお子さんだけが気づくということがよくあります。
「私は気にならないですし、こどもの言っていることなので...」と親御さんは一笑に付すことが多いのですが、チェックしてみるとたいていの場合お子さんの指摘は当たっています。
力が足りなかったり強すぎる力で弾いたとき...こどもの力量の範囲内でだけ出る不具合は確かにあります。ピアノ側の問題だとしても、大人の力やテクニックではそれを良くも悪くもスルーしてしまう。
ピアノは些細なことの積み重ねでできている
スルーできるようなものだったら放っておいても変わらないんじゃ?と言うとそうでもなくて、その些細な問題を取り除くことでピアノは格段に弾きやすくなったりもします。
これは大人とこどもだけではなく、演奏に慣れている人と慣れていない人でもあり得ることです。
演奏技術が未熟だからこそ出てしまう弾きづらさも、演奏技術のある人はテクニックでカバーしながら弾けてしまいます。
それはピアノの些細な不調を隠してしまうことにもなり得ます。
ひとりの生徒さんだけ出てしまう異音
ピアノ教室のアップライトピアノで、ある生徒さんがペダルを踏んだ時だけカンカンと金属音がしてしまう。これってなんでしょう?と先生から相談されました。
それを受けてペダルを色々な踏み方をしてみました。踏んだあとにジワっと戻さず急にペダルから脚を離したときにその症状が出るようです。内部を見てみるとペダルの奥の部品が古くなってグラついていていることが原因でした。
丁寧に踏めば出ない症状でしたが、そもそもグラついてはいけはない部品です。このグラグラはペダルの効き具合じたいにも関わっています。
修理をしてペダルがさらに踏みやすくなり、先生も「心当たりがあるので重点的に指導します!」と一件落着。
もちろんピアノの構造上の限界(弱すぎるタッチに内部の動きが対応していないなど)も多々あるのですが、そういった図らずも敏感なセンサーの持ち主の感覚はメンテナンスの大きなヒントになります。
調律師も内部の動きがわかっているだけに、チェックする際「良い動かし方」をしてしまいがちなので、いろいろな範囲の弾き方ができるよう気をつけています。
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