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海外製のピアノは国産と同じようには扱えない

調律で海外製のピアノに出会うことも結構あります。ヨーロッパ製、アメリカ製、中国製、韓国製いろいろあります。特にヨーロッパ製は憧れのピアノ!というのはなんだかんだ今でもあると思います。ただ共通して言えるのは...日本製のピアノに比べて部品の精度がかなり甘い。

いわゆる高級ピアノでも、同じ工具を同じ規格のはずの部品に使っても「こっちには入るのにこっちは入らない...」などは当たり前、細かい部品の仕上げも意外と粗くてびっくりします。ここに風土とものづくりの考え方の違いが出てるなあと思います。

海外製のピアノはオーダーメイド品のよう

海外製のピアノはとにかく音やタッチ、個性重視でつくられています。部品の精度はバラバラなのに、弾くとちゃんと揃った音とタッチ、キャラクターの立ったピアノになっているのは、1台1台素材の良さを活かすために組み込みに手間をかけて造られているのを感じます。

日本製のピアノは工業製品としてのレベルが素晴らしい

一方日本製のピアノは部品レベルから均質にすることによって、安定した出来上がりです。

日本のピアノがそういったものづくりになっているのは国民性などももちろんですが、四季の変化が大きく、湿度の高い気候の影響も大きいんだと思います。約120年前に国産ピアノをつくりはじめた頃から、日本の気候では部品の精度が甘いと故障や狂いが頻発してしまい、楽器として成立させるにはまずは工業製品としてしっかりさせることが大命題だったんだと思います。

実際海外製のピアノは日本で使うと高確率で部品の動きが悪くなって、たくさんの部品交換を余儀なくされることがあります。たぶん本国ではこの故障は起こらないんだろうなあ...と思いながら毎回直しています。

世界的に見て逆に日本のピアノの精度が異常ですし、高いレベルで均質、壊れづらいのは工業製品としても楽器としても素晴らしいと思います。「工業製品的」と言うのは悪い意味でつかわれることもありますが、このレベルまで行っていれば美しさすら感じます。

海外製のピアノを使うためには覚悟が必要

「過酷な環境でも常に80点以上を出せる日本製」と、「環境とメンテナンス次第で10点にも100点にもなる海外製」と言った感じでしょうか。

どちらもそれぞれの良さがありますが、この違いを把握しておかないと、高級な海外製ピアノを買ったのに管理とメンテナンスが難しく、意外と良くなかった...なんてことになりかねないので注意が必要ですね。



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