「調律のピッチ」について考えてみた
ピアノのピッチをいくつで調律するのが良いかという問題があります。
国際基準はラの音=440Hzですが、多くのホールでは442Hzだったりヨーロッパではさらに高いピッチが主流だったり、◯◯Hzの響きがカラダに良かったり悪かったり(?)なんて話があったり...
もちろんレコーディングや合奏では特定のピッチに合わせる必要がありますが、最近は自宅用、特にソロで弾く場合はあまりとらわれない方が結局良いなと思っています。
と言うのもピッチありきで調律をすると、時にピアノの負担を無視して無理矢理合わせないといけない場合もあって、ピアノにあまり良くないんですよね。
その場ではそのピッチになってもその後狂いやすかったり、ベストな鳴りにならなかったり、ピアノの寿命を縮めるケースもあります。特に気候の影響で例年より狂いが大きめだったピアノを無理矢理元のピッチに戻すと、そのあと逆側に大きく狂ったりすることがあります。
違いはありますが...
確かに高めのピッチは張りのある華やかな硬めの音になり、低めのピッチは柔らかく豊かな音色になり、ピッチによってピアノの表情は少し変わります。
...が、その変化はブラックコーヒーと砂糖入りのコーヒーの差というよりは、砂糖を4個入れたコーヒーか5個入れたコーヒーかの違いのような差です(砂糖入れすぎ!というのは置いておいて)
それを考慮するとピアノに負担をかけてまでピッチにこだわるメリットがあまりないなと。
なんとなく高いピッチがこだわりがあって良いピッチと思われている気がします
設計上のことも考えると440Hz〜442Hzの間である必要はありますが、ピッチに優劣はありません。
もちろん無理せず毎回希望のピッチに合わせられる安定した環境に置かれていることが理想ですしそもそもそういった環境であれば大きくピッチが狂うこともありませんが、実際には環境を完璧に整えるのはなかなか難しいですしね。
ピアノのピッチは流動的なものと捉えて、その場所やその年の気候に合わせて、無理せず自然なメンテナンスするのが良いんだと思います。
これからのピッチの“流行り”
ちなみに最近の流行り(あえて“流行り”と書きますが)としてはどんどん高いピッチが求められる傾向がありましたが、家の防音性が上がってきたり、車の静粛性能が上がったり、世の中が昔より静かになってきている昨今。これからはどちらかというと低めのピッチが好まれていくんじゃないかと勝手に予想しています。
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