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好きという基準はときに知識よりも正確かも

ピアノ選びがものすごく上手なお客さまがいます。

10年以上調律に伺っているピアノの先生なんですが、よく生徒さんのピアノ選びに同行しては、いわゆる“当たり”のピアノを毎回的確に選定されてきます。

もちろん“当たり”とは言っても完ぺきなピアノなんかはないわけですが、その方のすごいところはピアノの長所と短所を正確に見抜いているところ。

調律師であれば、ピアノを開けてここをチェックすればそのピアノのことがもう少しよくわかる、というポイントがたくさんあります。

意外と弾くだけではどっちかわかりづらい部分もあったりして、演奏のプロでもピアノ選びで重要な部分を見落としたり真逆にとらえてしまうことは実はよくあります。
特に長くつかうことまで考えたり、人にすすめるためのピアノ選びはほんとうに難しいです。その方は弾いて選んでいるだけですが、判断のしかたは調律師的なんですよね。

他の方がピアノを選ぶときの参考になるかもと思い「ピアノのどこを見て判断しているんですか?」と聞いてみました。

「わたしは全然ピアノの造りとかわからなくて」

「他の先生は発表会のときもスタッフさんにピアノの細かい注文を出せたりしてすごいなあと思ってるくらいです」

「ひとつ思い当たるのは、大学にあったスタインウェイのピアノがすごく好きで、そのピアノに似てるかどうかで判断してるかも」

当然なにか、これ!というコツがあるんだろうと考えていたのでちょっと拍子抜けでしたが、何がどうなっていたら良いとか悪いとか細かいことを知っているよりも、好きなものが明確にあって、それをちゃんと信じているということが大事なのかもしれないですね。

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