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お客さまと調律師のギャップを埋めたい

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ピアノって、調律って、本当はこうなんです。 ひとことで伝えるのは難しい「ギャップ」を解消する記事をまとめました。
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#仕事のポリシー

抽象的なイメージから組み立てるピアノの調律

長い期間メンテナンスされていなかったこのピアノの音を出した最初の印象は「遠くにある一斗缶にボールを投げつけたような音」でした。 ピアノの調律をするときは「どこが悪くて、具体的に何をすれば良いか」はもちろん大事なのですが「抽象的なイメージ」で捉えることも大切にしています。 音を何かに置き換えるピアノの音、タッチを何か別のものに置き換えて想像するようにしています。そのイメージが良いものであればそれをもっと伸ばしていく作業を。改善したいものであれば別のイメージになるためにはどう

専門家が放つ言葉は呪いになるかもしれない

その日の仕事は、2件のはじめて伺うお客さま宅でのピアノの調律でした。(タイトルと書き出しが怪談みたいですね。怖くないのでご安心を) 1台目、午前中のピアノの記録を見ると、2年前まで同じ方が毎年調律に来ていました。その都度「特に問題は無いですよ」と言われていたそうで、お客さまも安心していました。 午後のピアノは9年前に引っ越しと一緒に調律もしてもらったパターン。点検した調律師に「内部がだいぶ傷んでますね」と言われたとのことで、ずっと気にされていてのご依頼。 話だけ聞くとコ