1日遅れのバレンタイン

私の忘れられない恋物語!

私がまだ結婚する前の出来事です。

その当時、告白されてなんとなく付き合っていた彼がいました。
 
だけど、いつの間にかその彼と会っていても…ある一人の男性の事ばかり考えるようになっていました。
それは職場の同僚の一人の男性T君です。
 
気心知った仲間っていう感じに思っていました。
皮肉な事に、彼氏ができてから本当の自分の気持ちを知ったのでした。

誠実な彼に、本当に申し訳ない気持ちでいっぱいでした。
自分の本当の気持ちに気づいた私は、正直な思いを告げて別れました。

それから、半年くらい職場の同僚のT君に片思い。
彼は、私の気持ちなんて気づきもしない。
毎日、他愛ない話しをしながら笑いあう仲。

彼には、彼女いるのかな?
そんなことを思うだけで胸が張り裂けそうになりました。
私って…こんなにT君の事が好きだったんだ。

内向的な私が思いを告げることが出来るのは、一年に一度のバレンタインデー。

昔からそうでした。
不思議ですね、この日だけは私に恋への勇気を後押ししてくれていたのです。

振られた時もあります。
そうでなかった時もあります。

彼を好きだと気づいて初めてのバレンタインデーが近づいて来ました。

毎日毎日悩みました。
告白したら、今の同僚という仲間関係が崩れる。職場での私の居場所が失くなってしまう。
いつも、職場で楽しく話しが出来るのは彼だけでしたから…。

年齢的にも焦りもあります。
昔でしたから、だいたいの女性が24歳までには結婚を決めていた頃のお話です。
私はその当時22歳でした。

迷った挙げ句、意を決してバレンタインデーに告白する事にしたのです。

小さな職場です。何人かの男性がいます。
男性の職員全員の義理チョコを用意。
一個だけ私のラブレター入り(笑)もちろんT君に!
ラブレターなんて書いたの生まれて初めて…。

独身の女性社員は私だけだから、男性職員は私からの義理チョコだとすぐに分かってくれたみたい。

私は、T君がチョコに気づく前に会社を退社。
こんなにドキドキしたのは久しぶりでした。

明日…職場でどんな顔で会ったらいいんだろう…。
不安と期待が交差する。

「おはよう。」

次の朝、いつもと変わらない彼がいました。
私に気を使ってくれているのかな?

ただの同僚だとアピールしているように感じた私は、ショックでした。

「あれ?いつもより元気ないけど…何かあったの?」

心配そうに顔を覗き込むT君。

誰のせいだと思っているの?あなたのせいだと分かんない?

振られた私は、その日の仕事をこなすので精一杯。

家に帰って涙が枯れるほど泣きました。
そして、彼とは今まで通りただの同僚として接していこうと辛いけど決めました。

次の朝、自分の気持ちを振り切るように

「おはよう!T君。」

と明るく声をかけました。

「ああ…。」

いつもと違ってなんとなくよそよそしいT君。

その日の帰り道。

いつものバス停に急ぐ私の横に一台の車が止まりました。

「乗れよ。」

T君でした。

私は誘われるまま、彼の助手席に。
タバコの匂い…彼の匂い…。

「ゴメン…。チョコ開けたの昨日なんだ。義理チョコだと思ってたから…。
お前の気持ち気づくの遅れて。
だから昨日のお前の態度おかしかったんだって…。
本命は、彼氏にあげたんだって思っていてさ、俺は義理チョコかぁ…。ポイって感じで開ける気にもならなかった。
きのうの夜のウイスキーの当てにお前の義理チョコ開けたの。
そしたら、、義理チョコじゃあなかった。

ありがとうな!
1日遅れたけど、嬉しかった。
久しぶりに美味いウイスキーが飲めたぜ。」

照れながら話す彼の横顔。
お互いに思いあってたことを知る。

私は込み上げる涙を抑え切れない。
 
「バ、バカ泣くな!」

焦る彼は片方の腕を私の肩に…そしてそっと抱き寄せる。

「だって、だって、もう気づくの遅いよ。」

1日遅れだけど、一度諦めかけてからの恋の始まり。

嬉しすぎてたまらない。

お互いの気持ちを知った二人。

明日からは同僚じゃなくて恋人同士。

「ずっと好きだった。」

「私も…。」

見つめ合う二人の唇が重なる。

ありがとうバレンタインデー❗
1日遅れたけど、恋のキューピッドはちゃんと来てくれたよ❤️




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