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鈴を持つ者たちの音色  第三十七話 ”鈴集め④”

RI(凛)はGO(豪)のいる家に”とんだ”。
GO(豪)の家は”グランドライン”でシェアされた区画、”岩間の家”の一角にあった。
住まいから空き間までが近く、GO(豪)は暇さえあればそこで剣の稽古をしていた。

RI(凛):「GO(豪)。呼びにきたぞ。わかるな。」

GO(豪):「RI(凛)さん!お久しぶりです!
ええ。分かっています。直ぐに身支度を整えますので。」

RI(凛):「どうだ?教えたあの技はできるようになったかい?」

GO(豪):「いえ。まだです。感覚はありますが、数センチしか、今の所斬れません。」

RI(凛):「数センチ‥。、なんだ。できてるじゃないか。数センチできるなら、あとはその要領で間隔を広げていけばいい。いいぞ。よくやってる。」

グッド:「”空間斬り”は太刀の鋭さだけじゃない。太刀を持って空間を制す。物質を操る方が大事だ。」

RI(凛):「博士。お元気ですか。」

グッド:「ああ。昔みたいにあちこち行けなくなったが、身体だけは丈夫なんでな。元気だよ。」

グッド:「それにしても水龍は大したもんだ。こうやってRI(凛)の魂を”念”で実体化し実際、話も出来るもの。魂は永遠なり。水龍の力をもってこそ出来る技じゃ。ありがたい有難い。」

RI(凛):「組織の方はどうですか?ここ”グランドライン”内でも上手く機能していますか?」

グッド:「ああ。スパイがどこにいるかわからんからな。本部や民の中に紛れ込ませてる。活動は1週間に2回。緊急時も直ぐに集まる事ができる。この空き間の真下に集会路がある。今度お前も来い。」

RI(凛):「ええ。ありがとうございます。行ってもいいんですが、実際は死んだ身。お役に立てるでしょうか?」

グッド:「何言ってる。現にこうして役に立ってるじゃないか。水龍だってお前に期待してるからこうやって、こき使ってる。」

RI(凛):「はあ。そうですかね。」

グッド:「皆んなも会いたがってる。たまには顔だせよ。」

RI(凛):「はい。あ、そういえば、あのふたりどうなりました?」

グッド:「ああ。”ゲイン”と”Knock”か?
ダメっぽいな。もう直ぐ完全体だ。
今まで未完でいた方が不思議だったよ。
明日あたり”回収”されて、”洗脳オロシ”をする。
何日かかるのか?”オロセル”のか?
こればっかしは試してみないとわからん。」

RI(凛):「”洗脳オロシ”は今回は誰が担当ですか?」

グッド:「大叔母だろう。ちょうど”WO(女)”の能力も”開けて”きている。今回は一緒に”洗脳オロシ”をやるんじゃないかなぁ。」

RI(凛):「大叔母も、あの歳でお忙しいですね。はやく後継者に育ってもらわないと。」

GO(豪):「ねー。”洗脳オロシ”をすれは”ゲイン”と”Knock”は元に戻れるの?」

グッド:「ああ。上手くいけばな。”洗脳オロシ”は大叔母にかかっている。もし”アイツラ”の力の方が増しているなら元には戻れない。これはな。大叔母と”アイツラ”との闘いでもあるんだ。そう簡単には”オロセ”ない。」

GO(豪):「そっか。大叔母には頑張って欲しい。あのふたりは僕と一緒に”α”ブルー地帯の任務で一緒だったんだ。”アイツラ”に洗脳されたままなんて可哀想すぎる。」

RI(凛):「大叔母なら大丈夫だ。現世と来世を渡り、たくさんの”アイツラ”からの洗脳を”オロシ”てきたんだ。今回もきっと大丈夫。やってくれるさ。」

GO(豪):「ねぇ。”洗脳オロシ”と”同調”ってどう違うの?」

RI(凛):「”同調”>”洗脳オロシ”。
”同調”はその場一瞬での決め技。そして”洗脳オロシ”は時間をかけて徐々に洗脳させる手法だ。
基本”同調”は力が強い者。”洗脳オロシ”は力がまだ強くない者が仕向けてくる。
そして”洗脳オロシ”に関しては、受ける側は心が弱い者ほど早く洗脳される。
”アイツラ”は心が弱い者を選び、そこへつけこんでくる。
”ゲイン”と”Knock”は抵抗力が強かった。だから今まで完全体にはならなかった。」

GO(豪):「なるほど。ねぇ。僕も早く”同調”を覚えたいです。教えて下さい。」

RI(凛):「ああ。嫌というほど教えてやる。あと、大叔母のように”洗脳オロシ”もな。”アイツラ”の数はどんどん増えている。”洗脳オロシ”をする機会も増えるはずだ。
今まで、大叔母だけに頼りすぎた。これからは”スズモノ”皆で”洗脳オロシ”も出来るようにする。」

RI(凛):「それでは博士。”GO(豪)”をお預かりします。」

グッド:「ああ。頼むよ。厳しく教えてやってくれ。早々、へこたれるやつじゃない。」

RI(凛):「ええ。行ってきます。」

グッド:「RI(凛)よ。ちょいと頼みがあるんだが‥。」

RI(凛):「なんでしょう?珍しいですね。あらたまって‥」

グッド:「ああ。あのなぁ。大叔母には悪いが、もう1人連れて行って欲しい者がいてなぁ。おいっGE(ゲン)っ。」

トボトボと後ろに隠れていた少年が前に出てくる。

グッド:「こやつは”GE(ゲン)”。GO(豪)の弟だ。こやつはGO(豪)とは性格が全く逆でなぁ。危機感が全く無さ過ぎて困っているのだ。こやつも連れていって世の中の厳しさや現実を見せつけてやって欲しい。”スズモノ”達を目の前にすればきっと怠けた目も開くだろう。それを期待したい。」

GO(豪):「とーさん!弟も行かせるんですか?これから過酷な状況に向かうのですよ。一度行ったら逃げ出そうとも投げ出せない環境です。GE(ゲン)には無理です。」

グッド:「まぁまぁ。大丈夫。その時は頼もしいお前が弟を守ってくれ。それも鍛錬だ。」

RI(凛):「‥博士がそう言うなら大叔母も”NO”とは言わないと思いますけど。
ちょっとだけ待ってください。大叔母とコンタクトをとりますから。」

RI(凛)は髪の毛を一本だけ抜き、グッドの家の前に置いてある水瓶にその髪を浸した。
水瓶の前で右手拳を水の上で「ギュッ」と目を瞑り握り念じる。
髪の毛は大叔母のいる”天路の頂”にテレポートした。直ぐに大叔母の所へ髪の毛からの言霊で伝わる。

RI(凛)は水瓶の前で言霊が返ってくるのを待った。しばらくして再度髪の毛が浮かびあがる。
水瓶に浮かんだ髪の毛は○(まる)の文字を作った。

RI(凛):「大叔母からOKをもらいました。それでは”GE(ゲン)も連れて行きます。準備はいいですか?」

グッド:「GE(ゲン)よ。見ろ。これがお前の剣だ。錆びている。いいかよく聞け。
剣の今ある姿は今の自分を映し出す。錆びている、ということはGE(ゲン)も今、錆びている。ということだ。しかし、GE(ゲン)次第で錆びは落ち、再び剣は眩しいほどに光輝くだろう。それを期待するぞ。この剣は地球上にある特殊な鉱石で造った剣だ。GO(豪)の剣を見てみろ。GO(豪)の剣でさえ、まだ曇っている。
2人とも。本当の力を得れば剣は太陽を浴びたように眩しく光を発す。そこまでを目指すのだ。」

RI(凛)のテレポートは早い。
息を整える暇もなくGO(豪)とGE(ゲン)兄弟は”天路の頂”へ着いた。


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