見出し画像

総務常任委員会視察報告

10月30日、31日の2日間にわたり、花巻市議会総務常任委員会で、栃木県那須塩原市、岩手県一関市、奥州市を視察してきました。
視察のテーマは「投票率向上の取り組みについて」です。
今回は、総務常任委員会の視察について報告します。

那須塩原市での視察

那須塩原市は、各種選挙の投票率の低下に苦慮しているようです、
特に若者の投票率が低いため、投票率向上の対策として若者向けの選挙啓発を行っています。

例えば、若い世代の投票立会人の募集。
那須塩原市の選挙管理委員会では18歳から29歳までの若者を対象に、各種選挙で投票立会人をしてもらう取り組みを行っています。
実績としては、令和3年度の衆議院議員選挙で30名、令和4年度の参議院議員選挙で14名、令和5年度の栃木県議会議員選挙で12名の方が、投票立会人として従事したとのことです。
詳しくお聞きしたところ、希望者は就職が決まった高校3年生などが多く、投票立会人として従事した後のアンケートによれば、「投票立会人をやってよかった」「選挙というものがよくわかった」など、肯定的な意見が多かったとのことです。

また、20代の投票率が3割に満たない現状もあることから、選挙管理委員が若者と意見交換する「若者と選挙を語る会」も開催しています。
参加者は7人とそれほど多くはなかったとのことですが、選挙にいかない理由や投票所の雰囲気など、若者からさまざまな意見、提案をいただいたとのことであり、投票率向上のヒントになるものもあったようです。

そして、特筆すべきは、那須塩原市では選挙管理委員会のみならず市議会が自ら選挙啓発や主権者教育に取り組んでいること。
出前講座をしたり、高校生と意見交換したりすることのみならず、委員会で投票率向上について調査・研究し、選挙管理委員会あてに投票率向上のための政策提言を行っています。

花巻市の総務常任委員会においても、所管事務調査などを通じて投票率向上のための調査・研究をしており、次年度には花巻市選挙管理委員会に対し政策提言を行う予定で作業をすすめていますので、今回の那須塩原市の視察は、そういった意味でも大いに参考になるものだったと思います。

一関市での視察

一関市の選挙管理委員会では、投票率向上を図るため『投票環境改善実施計画』なるものを策定し、投票環境向上の対策として「期日前投票所の増設」や「商業施設への期日前投票所の設置」、投票日に自分の投票区でなくても投票できる「共通投票所」の設置、「投票所の再編(統合、廃止)」、「投票所再編に伴う移動支援(バス・タクシーの割引乗車、デマンド型乗り合いタクシー等)」など様々な施策を講じています。

私はその中でも商業施設における期日前投票所の設置に注目しました。
私は、昨年9月の令和3年度決算特別委員会において、花巻市における商業施設(イトーヨーカドー花巻店)における期日前投票所の混雑緩和対策について選挙管理委員会に問いただしました。
市長選挙や市議会議員選挙など告示日から投票日まで1週間しかない選挙などは顕著なのですが、投票日の前日などは投票所に長蛇の列ができるほど混雑します。
私は、混雑緩和のために期日前投票所を増やしてはどうか質問しましたが、システム上の問題や期日前投票所を増設した場合の従事職員の人員体制の問題等で、すぐに増設は難しいとの選挙管理委員会からの答弁をいただきました。

一関市では、総合支所等の期日前投票所8か所に加え、商業施設の期日前投票所を2ヵ所設けています。
視察当日、一関市における商業施設の期日前投票所にかかる人員体制について質問しましたが、一関市では、選挙管理委員会の職員以外にも応援してもらって市職員がローテーションで従事しており、特に問題はないようでした。

一関市の取り組みは、花巻市でも参考になるものであり、ぜひ期日前投票所の増設に向けてより一層選挙管理委員会に対し働きかけていきたいと思います。

また、一関市の選挙管理委員会では、この『投票環境改善実施計画』における実施結果を内部評価し、その評価に基づき、実際に効果のでなかった対策を見直したり、廃止したりするなど、ちゃんとP(計画)-D(実行)-C(評価)-A(行動)のサイクルを回しています。
花巻市の様々な計画においても見習うべき事例であり、大いに参考になりました。

奥州市の視察

奥州市の取り組みの中で最も特徴的なものが「投票所の再編」です。
奥州市では、令和4年3月執行の市長選挙及び市議会議員選挙から、概ね1投票区の有権者数が5,000人となるよう、投票所を83か所から42か所に再編しました。

奥州市では、住民説明会や市議会への説明、アンケートなどを通じ周知を図ったほか、投票所再編にかかる移動支援(要介護者、要支援者等への無償タクシーやタクシー割引券(300円)の配布等)などを通じて、有権者への利便性の向上に努めたとのことです。

私は、花巻市においても投票所の再編は必要だと感じています。
花巻市は平成18年に合併してからこれまで投票所の再編は行われてきませんでした。
しかしながら、合併後16年経過し、人口も約10%減少している状況であり、ほとんどの投票区で選挙人名簿登録者数が減少しています。
また、期日前投票をする方が増加し、直近の選挙では全投票者の約40%が期日前投票をしている現状をみると、効率的な事務実施の観点からも複数の投票所を統合するなど投票所の再編は行うべきと考えています。

奥州市の事例も踏まえ、このことについてはさらに具体的提案ができるよう引き続き他市町村の実例などを調査・研究していきます。

視察を終えて

3か所の視察を終えて、それぞれの市で工夫して独自に対策を行っているものもありましたが、若者の投票率向上、期日前投票など共通した課題に取り組んでいる事例もありました。
花巻市においては、職員の多忙化であったり、専任職員の不足などによりなかなか改善に取り組めていないのが現実だと思います。

花巻市議会でも高校生や若者などから意見を聞いたり、模擬投票を行うなど、様々な取り組みはできるはずです。

せっかくの視察を無駄にしないよう投票率向上に向けて改善を図っていきたいと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?