成果を生む「組織」となるために
以前「強いつながり」の問題点と改善方法についての記事を書いた。
その記事では「強いつながり」として、地域のコミュニティ組織だったり、PTAなどを例として挙げたが大事な「強いつながり」を忘れていた。
「会社」と言う組織である。
もちろん、「官公庁」や「各種団体」も同じだが、日本におけるその組織は、縦割りの「強い」組織であることが多い。
「終身雇用」「年功序列」「企業別労働組合」という「日本的経営」の特長を考えれば、安定した長期間雇用の裏打ちされた企業への忠誠心による「強いつながり」が生じるのは論を待たない。
「これからは雇用の流動性が進み、これまでの慣習にとらわれず自由な働きができる」とする向きもあるが、社会保険や雇用保険、年金制度などさまざまな制度が高度経済成長時代に確立した「日本的経営」システムに依拠したものとなっているため、それほど劇的に変化するとは考えにくい。
そうしてこれからも会社組織における「強いつながり」は存続し続ける。
社員の忠誠心とその報酬としての給与という「強いつながり」による組織は、ある目標に向かって一致団結して挑むとき、そこにはとてつもないパワーが生まれる。
戦後日本の経済が信じられないくらいの急成長を果たしたのも、このパワーによるところが大きい。
戦後のどん底から少しでも暮らしをよくするために、個人が会社のために頑張った結果が今の日本の繁栄につながっているのは言うまでもない。
一方で、日本経済が成長期から低成長の時代に移るとその様相も一変する。企業の目標が成長から生き残りにシフトすることによって、右肩上がりの給与曲線は鈍化し、ボーナスというインセンティブも不透明になっていった。企業と社員がかつて夢見ていた未来は幻想となり、この先どうなっていくかわからない不透明な状況の中、社員の忠誠心は薄れモチベーションも低下する。
こういった状況の中での「強いつながり」は全く機能しないものとなる。
ではどうしたら組織がうまく回るのか?
マサチューセッツ工科大学のダニエル・キム教授は、「組織の成功循環モデル」を提唱している。
結果を出すために「ニンジン」をぶら下げて馬をはしらせるのではなくて、一旦回り道と思われても「関係性の質」を高めるところからはじめ、そうすることによって「思考の質」が高まり、「行動の質」⇒「結果の質」という好循環(グッドサイクル)が生まれて、組織としての成果が上がる・・・・これが「組織の成功循環モデル」の概要である。
「組織の成功循環モデル」には否定的な見解もあるが、それでも主従関係を基礎とする「強いつながり」行き詰っているのは明らかで、新たな組織モデルの構築が必要である。
組織の変革が必要とされる一方で、組織に属する個人もまた変わっていかなければならない。
かつてのように、家庭を顧みず企業のために滅私奉公する会社員は減ったが、それでも会社以外に自分の属するコミュニティがない大人(おじさん)は一定の量存在する。
こういった一つの組織にしか属していない人は、多様な組織に関わっている人に比べ幸福度が低いことが明らかになっている(地域しあわせラボ調査https://archive.issueplusdesign.jp/project/local-happiness/743)
幸せは伝播するというハーバード大学の調査があるが、逆を返せば不幸も伝播するということである。
一つの組織にしか属していない人が多ければ多いほど、そのネガティブな振る舞いは色々なところに感染して機能しない組織となっていく。
近年、個人のパワハラやモラハラが社会問題となっている。
もちろん個人の資質もその大きな要因だが、それを引き起こした原因の一つに旧態依然とした組織形態があるということを覚えておく必要がある。
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地方公務員のための幸せメソッド
「自分のパーソナリティを知って、幸せな人生の扉を開く」ための記事を書いています。公務員時代や退職後の「しくじり」経験など織りまぜながら、「…
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