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思考の遊び

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小説を書くにあたって考えた由無し事のまとめです。大体思い付きベースで無茶苦茶なことを書いているので、自己防衛の為に有料にしています。
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#日記

思考の遊び:オーダー理論と情報戦の重要性の変動

 オーダー理論とは、「一人の人間が考慮することのできる限界人数は高々数百人である」という公理に基づく社会構造の理論です。この公理自体は反証の無い仮定ですが、一般的な情報戦の基本戦略はこの理論を前提に組み立てられている事が多いため、社会構造に合わせた情報戦の形態と共に今回のコラムで紹介します。

 なお、この公理は「普通の家庭や集落、人生において所属する様々な集団において一人の個人が数百人以上の人間

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コラム:「良きサマリア人の法」と恐怖に弱い人々

 コロナウイルス問題が大体的に宣伝され、中国の春節が過ぎて二週間が経過しました。それ以降に色々なことが発生していますが、日本においても封じ込めはなかなか難航しています。

 日本においてはダイヤモンド・プリンセス号において特に酷いウイルス拡散が起こってしまいました。そしてその対応は、ニュースで批判されてすらいます。

 例えば、これはダイヤモンド・プリンセスから陰性の人間を下船させたことに関して批

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負けを飲む力

 今日、ラグビーの試合において日本がアイルランドを下すという奇跡のような出来事が起きた。まぁ、私はラグビーにはあまり詳しくなく、何となく見ていた人間だ。
 SNSにおいて凄まじいニュースになっていたので、これは何かすごいことが起こったのだな、と感づいた位だ。その中で、非常に興味深いツイートを見つけたので紹介したい。

 実際の勝敗は日本19点、アイルランド12点。7点差がついているが、これならボー

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地政学の進歩と夢の終わり

 昨今のAIとビッグデータ解析により、地政学分野は大きな進歩を見せている。統計地政学とでもいうべきこの分野は、物資の輸送時間と輸送距離、輸送コストをもとに国家を切り分け、人々のマクロ的な挙動をビッグデータ解析で数値化し、切り分けた地図内でグラフ理論に従う数値計算をすることで、「その国家にとっての正しい周囲環境と物資分配」を求めることができるという強力なものである。

 おそらく、現在ではほとんどの

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モラトリアムとキャリアプラン

おそらく、大多数の人間は自身のキャリアプランについて就職面接を通るにあたって考えたその場しのぎ程度にしか思っていないだろうが、キャリアプランというのはきわめて大切である。少なくとも、子供時代に教え込まなければ人生を棒に振りかねない重要事項であることは間違いない。

では、いわゆる意識の高い人間ならばキャリアプランについてよく考えているのだろうか、というとそんなことは一切ない。むしろ、意識の高い人間

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さようなら、介護士さん

もう六年も前になるが、85歳の老人が一人死んだ。のどにモノを詰まらせて死んだので死に方自体は別に大した話ではない、年齢からみればよくあることだろう。だが、死んだ場所が問題だった。そこは老人ホームで、食事の介助を行っていたのは准看護師だった。そして、看護師は罪に問われることになった。業務上過失致死というのが彼女の罪状、見事な有罪判決だ。

本当に業務上に過失があったかどうかはさほど問題ではない。問題

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時間が総べる世界と生権力

生権力とは 生権力という言葉がある。ミシェル・フーコーが提唱した概念で、「ルールに従えば殺す」という旧来の権力からもう一歩先に進み、「ルールに従う人間を作り出す」という権力の概念だ。
 私はこの概念をとても気に入っている。このnoteではこの概念に関する私なりの解説と、この生権力という概念の正しさを論じよう。
 そもそも、この生権力の力の源はどこから生み出されているのだろうか。単に人を支配するだけ

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マクロ経済学とマイノリティの激突

 マクロ経済学は今日の社会構造を議論するにあたって、絶対に必要とされる素養の一つである。しかし、マクロ経済学を用いて人権や社会運動を用いている人間はめったにいない。
 これには明確な理由がある。マクロ経済学の知見は致命的に人権と相性が悪いのである。なぜならば、マクロ経済学は「特定のマイノリティに対して十分に投資を行う場合は全体のバランスが崩壊する」ということと、「全体のバランスを維持する場合は特定

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不幸体質と合理化の罠

 世の中にはアンラッキーな不幸体質の人間というものが割といる。「自分にばかりなぜか不幸が襲い掛かる」と一言で言ってしまえば、自分がそうだと思う人間も多いことだろう。だが、本当の意味でアンラッキーであるが故に不幸に陥る人間というのは統計的に見ると実は少ない。アンラッキーな人間の結構な部分は、自らの意思で不幸になることを選び取っているが故に不幸なのである。

 不幸になることで逆に心が落ち着くというこ

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人類は賢い

 人間は極めて賢い生き物である。あらゆる状況に勝手に対処して、そして己の利益を最大化するために最適の行動を取ることをしない人間は殆どいない。そしてそれ故に、ありとあらゆるルールは人間の賢さを考慮した上で作る必要がある。

 もしも愚かさをもてはやして最大の利益を得られるような社会を作れば、人は無限に愚かになるし、弱さをもてはやして最大の利益を得られるような社会を作れば、人は弱さを獲得することに全力

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冷たい方程式とハーバー・ボッシュ法

 『冷たい方程式』という短編小説がトム・ゴドウィンという人物によって書かれている。ハードSFの試金石として有名な短編小説なので、一度読んでみるとよいだろう。
 この『冷たい方程式』には同様のシチュエーションを描いた様々な別解として、方程式もの、と呼ばれる無数の小説や漫画が存在する。どれも個性あふれる解を示すものばかりだ。えてして幸福な結末になることが多いのは、元の『冷たい方程式』がカルネアデスの板

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次があるということ

 私は続編がない続き物の物語が好きだ。打ち切りとか絶筆とかネタ切れとか掲載雑誌の終了とか、そういう不慮の事故でもう続きが決して書かれないであろう物語には「かくあるはずだった世界への希望」と、「こんなはずじゃなかった現実」が見えるからだ。
 もちろん、実際には打ち切りを食らっているので次なんてありはしないのだが、打ち切りを食らうなんて夢にも思っていないまま広げた風呂敷をそのまま放置した痕跡に私は心が

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戦争が齎す人権と、反差別が齎す自滅

 上記noteでも触れた様に、戦闘には「継続して勝たねばならない」ものと、「この一戦だけ勝てばいい」ものの、二種類の戦闘が存在する。個人の話から離れてマクロな視野で見た場合、戦闘環境の最適化がこの二種類の戦闘のどちらを優先することになるかを決定する。
 故に、この二つの戦闘には「継続して勝たねばならない戦闘で圧勝を防ぐには、この一戦だけ勝てばいい戦闘が存在しなければならない」「この一戦だけ勝てばい

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賢い戦闘者であれ

 人類のあらゆる戦闘は、おおむね二種類に分類することができる。一つ目の戦いは、継続して勝ち続ける必要がある戦闘である。もう一つは、この一戦だけ勝てばいい戦闘である。この二つの戦闘を使いこなせば、人の人生はより豊かになっていく。

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