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思考の遊び

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小説を書くにあたって考えた由無し事のまとめです。大体思い付きベースで無茶苦茶なことを書いているので、自己防衛の為に有料にしています。
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#統計地政学

コラム:情報の不可能性と宗教の意義

 月日が経つのは早いもので、もう3月です。本コラムは、下記コラムの直接的な続編になります。

 情報の持つ不可能性については前回のコラムで述べた通りです。情報とは比較不可能で公正不可能な存在であり、そして現代社会はその不公正を利用して発展している訳です。

 ここで「情報が比較不可能ならば、正しい情報とは何なのか?」という大きな問題が発生します。情報の正しさを保証するのは基本的に現実世界、もっと言

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コラム:物資と情報、それぞれの不可能性

 年も開けたので、地政学についての記述を再開していきたいと思います。

 去年はあまりにも激動の一年でした。コロナウイルスのみならず、アメリカ選挙の影響もあり世界はより混迷を深めています。この影響はこれから数年間は続くでしょうが、「このような混乱した状況がなぜ引き起こされるのか」を理解しておくことは、今後起こり得る様々な状況の変化を受け入れる助けになるでしょう。

 そこで、今回は物資と情報の持つ

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4-1.国家の運命予測(1)

 いよいよ実際に国家の運命予測をする段階に移ります。第一章で論じた内容を使うことになるので、必要に応じて参照願います。

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コラム:EUの地政学的混乱 番外編:ギリシャの日和見主義戦略

1.EUの誕生 ヨーロッパはユーラシア大陸を巨大な島としてみた時、ヨーロッパ半島として扱われることが知られています。一般論として、半島は海側ではシーパワーとしての発展が期待できますが、大陸と接する付け根の部分に強力な陸軍を置かなければならないという欠点を抱えています。

 ヨーロッパ半島の付け根は東欧及びバルカン半島です。ここは決して落とすことができません。バルト三国、ベラルーシ、そしてウクライナ

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コラム:社会の進歩と革命無き世界の二極化

 現在の人間社会は史上もっとも豊かな状態にあると言えます。しかし、それでも貧困の問題は解決しません。この問題は様々なアプローチによって研究されていますが、まだ上手くいっていないのが現状です。

 何故こんなにも貧困であり続けるのか? 物資の再分配を行えば解決するのか? 最近、その問題に挑んだのがトマ・ピケティです。彼の研究結果は非常に地政学的に興味深いため、紹介しつつ地政学的な視点からの考察を述べ

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コラム:安倍政権の地政学的評価と朝鮮半島の価値の変動

 2020年8月28日に、安倍総理が辞任することを表明しました。第二次安倍政権は歴代最長の政権であり、その仕事量の多さ故に立ち位置によって様々な評価がありますが、地政学的には彼の外交はかなり高く評価されます。

 今回のコラムでは、安倍政権の政権運営が地政学的に見てどのような結果を齎したか、そして安倍政権の退陣で最も影響を受ける中国及び朝鮮半島について書くことにしましょう。

 このコラムは以下の

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コラム:汎アジア鉄道網と中国の日本侵略

 中国が一帯一路構想を大戦略として進めていることは、既に別のコラムでも述べました。今回のコラムでは、一帯一路を実現するにあたって、日本を完全に封じ込める策として中国が推し進めている汎アジア鉄道網について解説します。

1.インドシナ半島の重要性 中国が現在推し進めている大戦略が一帯一路構想です。正式名称は「シルクロード経済ベルトと21世紀海洋シルクロード」といいます。これは中国からユーラシア大陸を

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コラム:地政学大国ロシアの大戦略

 地政学を国家運営に取り込んでいることで知られている国家はなんといってもロシアです。プーチン大統領の基本的な戦略は地政学に基づいて決定されたロシアの栄光と発展を実現するための国家拡大であると言えます。

 例えば、クリミア半島をウクライナからロシアが奪い取ったのも、クリミア半島がロシアにとって地政学的に極めて重要な役割を果たしているからです。

 今回のコラムではロシアの地政学的な戦略について解説

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コラム:ユーラシア大陸の未来と中東の重要性

 今回のコラムでは、ユーラシア大陸の未来に大きくかかわる地域である中東について書いていこうと思います。

1.中東地域とはなにか そもそも中東というのはどういう地域なのか。実は、その定義はあまり正確には決まっていません。一般的には西はモロッコ、東はアフガニスタン、北はトルコ、南はスーダンまでに跨る、ユーラシア大陸の中心部を支配するアラブ人が中心となる地域を指します。しかし、時と場合、会話の内容によ

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コラム:EUの地政学的混乱 第三章:イギリス&ドイツ編

 ヨーロッパの地政学第三回は、大航海時代から第一次世界大戦にかけてのイギリスの地政学、そして宿命的にそれと敵対する関係にあるドイツの地政学です。イギリスは大航海時代では後発組でしたが、スペインやポルトガルの前例を研究した結果、世界の盟主になることに成功した典型的なシーパワーです。

1.イギリスの地政学 イギリスの地政学はヨーロッパの地政学と密接に関わっています。ヨーロッパ唯一の純粋なシーパワーで

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コラム:アメリカの騒乱と自由と平等の対立

 現在アメリカは国内分裂の岐路に立たされている、と言っても良いでしょう。BLM運動の盛り上がりは加熱を続けており、良いチェンジも悪いチェンジも起こりうる状況です。この戦いは本質的にアメリカ人が抱えている『自由』と『生命』、特に『生命』のための戦いであると言えます。

 今回のコラムでは、アメリカという国家を地政学的に評価し、そして争乱の原因までを考察します。

1.ローマの後継、アメリカ 現在のア

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コラム:サービス業の発展とモルガンのイカサマ

 現在の社会の発展を支えているのは基本的には第三次産業、即ちサービス業やコンテンツ産業です。これらの業務が作り上げた価値がGDPを肥大化させ、人々を豊かにしています。しかし、「人々が生存するのに必要な資源」、即ち物資のみを扱う地政学の目線で見ると、社会のこの構造には疑問が残ります。

1. 第三次産業の地政学的評価
 今回のコラムは過激な指摘が多いため、以降の文章には全てゾーニングを掛けます。以下

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コラム:アフリカの角と一帯一路

 新型コロナのパンデミックにおいて最も株を下げた人物を一人挙げるとするなら、WHOのテドロス事務局長は上から数えて五番目くらいには入るのではないでしょうか。

 エチオピアにおいて、彼はまさに英雄的な活躍をした人物です。医師の労働環境改善、予防接種率増加、それら全てを支える人的資源の増加。彼のお陰で救われたエチオピア人は膨大な数に上ります。子どもの死亡率を2005年から2011年の間に30%も削減

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コラム:EUの地政学的混乱 第二章:スペイン編

 ヨーロッパの地政学第二回は、時間を少し飛ばして大航海時代のスペインの地政学です。その直前に起こった十字軍の遠征やユーラシア大陸の東西交流なども地政学的には興味深いのですが、それはランドパワー同士の交流であり、現在のグローバル社会におけるEUの混乱を説明するものではありません。

1.大航海時代の地政学 15世紀までずっと、ヨーロッパ近辺における世界の中心は地中海のままでした。それは大航海時代の直

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