3.11 感じろ、そして考えろ〈2019〉
⑴ “今”を知る
「8年も経ってるんだから復興もほとんど進んでるよね」
復興とは「一度衰えたものを再び盛んにすることという意味がある。津波で流された街には今日も多くのトラックが集まり、工事をしている。復旧作業が進む中である。復興などまだまだ先の場所も多い。ただ、復興の道を少しずつ進んでいる場所ももちろんある。私は多くの人にその姿を自分の目で見てほしい。そしてそれを伝えてほしい。
⑵-① リアス・アーク美術館
昨年7月に宮城県南三陸町と気仙沼市を訪れました。テレビでしか見たことがない東北の姿をこの目で見てきました。その時に「リアス・アーク美術館」を訪問。
この美術館には震災による被災物(がれきとは言わない)や当時の新聞などがコメントと共に展示されています。とても印象に残っているので訪れたの時の話をしたいと思います。
これらの展示は「忘れないため」ではなく、「覚えておくため」の展示だと学芸員の内山さんは話されました。三陸沖では約40年に1度津波による被害があると言われています。この展示品の数々は次の約40年後にこのような大きさの災害にならないようにという意味が込められているとも話されていました。
展示品のコメントにはこのようなことも書かれていました。
「歴史や地域史の面から考えてこの大震災は『未曾有』という言葉で表現するのは適切ではなく、正しくは『過去最大』である」
「雪国では雪抜きにした生活が考えられないのと同様に、三陸沖では津波抜きにした生活が考えられないのであり、日本では地震抜きにした生活が考えられないということ、常に明日は我が身だと思って生活することを忘れてはならない」
津波というものは自然災害ではなく昔からある1つの自然現象です。それに対して自分たちがどう対応していくのかを自分たちの地域史や過去の被害などを調べ、考え、伝えていくべきではないでしょうか。
⑵-② 反省とは
リアス・アーク美術館の入り口には
「反省とは未来を考えること」
と書かれています。未来のために、覚えておくために多くの展示物があるのだということを強く感じました。
⑶ 伝える
展示物にあるコメントの中で一番忘れられないものがあります。
「何かを伝えようと表現するならば、それが客体に認識されるようにしなければらない。すなわち客観性が必要である。『伝える』とは意思である。意思を持って客体に届けなければ伝わることはない」
現地に行って、五感でインプットしてきたものを様々な人にアウトプットすることは私たちの義務だということを強く感じました。
⑷ 最後に
平成は災害の時代だったとよく言われています。東日本大震災をはじめとする多くの自然災害が次の時代から減るなんてことは考えるべきではないでしょう。大切なのは「覚えておくこと」、「向き合うこと」なのではないでしょうか。向き合うことで考え方が変わることもあるかもしれません。メディアによる報道が増えるこの時期に、しっかりと自分なりに未来を考えてみてはいかがでしょうか。
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