月館つむぐ

月館つむぐ

最近の記事

【一次創作】三者三様、意気揚々?【#ガーデン・ドール】

さて、PGPと呼ばれる運動会も最終日。 結局俺は最後まで実況に呼ばれた時に声を貸したくらいで、自分自身は競技に参加していなかった。 ガーデンが執り行う行事に懐疑的であることが一番の理由ではある。 しかし、ここまで盛り上がっていると多少なりとも体がうずうずしてきてしまうのも確かである。 「……最後くらい何かやっておくか!」 ともすれば、相手として思いつくのは……。 俺はグラウンドからとある3人に向かって念話魔法を飛ばした。 『ヒマノくんにククツミさんククツミちゃん、グ

    • 【一次創作】弐拾参。見覚えのないメモ【#ガーデン・ドール】

      いつも通りの朝。 外ではPGPと言う名の運動会の期間終了が迫っていることを含めた放送が流れていた。 内容はどうあれ、放送があるのはいつものことだ。 ただ。 聞こえてきた内容に、其のドール・ジオは首を傾げる。 10月22日。 ここ最近は特に日付感覚がズレるようなことはしていなかったはずだが。 それとも己の思い違いだろうか。 昨日と言う日付は、20日だったと思うのだが。 この感覚を念の為メモしておこうとノートを開く。 そこには、見覚えのないメモが、其のドールの文字で書いて

      • 【一次創作】蠑先鏡蜿�。それはその物質を融解し気化する【#ガーデン・ドール】

        まさか自分がそれに選ばれる日が来ようとは。 本当に、思ってもみなかった。 選ばれるように仕向ける"実験"は試みているものの、 それだって実を結ぶのかどうか、自信はないというのに。 一番あり得ないと思っていた相手から頼まれることになるだなんて それに……そうか。 貴女は、【傷つけたくない相手】が対象なのか。 ほとんど同時期に覚醒したドールだというのに。 何故、自分のミッションだけ異なるのだろうか。 自分と同じミッションを持つドールがいるのかどうか、 それは今わからない

        • 【一次創作】秘密を暴きに【#ガーデン・ドール】

          B.M.1424 10月18日 夜 板切れから聞いた情報をもとにイヌイの自室へ……行かず、まずは俺自身の部屋へと戻っていた。 ノートを1ページ切り取り、そこに簡潔なメモを書く。 このメモを持って俺は2つ隣の部屋へと向かう。 2人のククツミのうちの片側、からころと笑うククツミがいる部屋へ。 なぜ2人のうちそちらなのか。 わざわざ、より繊細な方のククツミ"ちゃん"に。 理由は単純明快だ。 ちょうど先日、人格が変わったロベルトと出会ったときに思考の交換を行ったのがそちらの

        【一次創作】三者三様、意気揚々?【#ガーデン・ドール】

          【一次創作】賽は投げられた【#ガーデン・ドール】

          B.M.1424 10月18日 夕方 俺は温泉で見つけたとあるものを抱えたまま、息を切らすほど全速力でガーデンに戻ってきた。 そして息を整えることもなく、そのままガーデンの校舎内、職員室へと駆け込んだ。 「[センセー]、いるかい!!」 [どうしました、シャロンさん] 「いくつか、質問がある」 俺は肩で息をしながら、にらみつけるように目の前の板切れを見る。 [なんでしょうか] 「イヌイさんは、今どこにいる?」 [自室に存在していますが、自室からはかけ離れた場所に居ます]

          【一次創作】賽は投げられた【#ガーデン・ドール】

          【一次創作】いつもと違う、胸騒ぎ【#ガーデン・ドール】

          B.M.1424 10月15日 早朝 俺にとって、いつもの朝。 いつも通り、新しい単眼の生き物を生み出して。 いつも通り、魔力がゴッソリ減ってお腹が空く。 部屋を出て寮の1階へ。 いつも通り、同期が作り置いてくれているパンを……――                                                                                                                     「……

          【一次創作】いつもと違う、胸騒ぎ【#ガーデン・ドール】

          【一次創作】例え憎まれようとも、必ず【#ガーデン・ドール】

          ※Attention※ 先にこちらの作品を見ることを推奨いたします。 B.M.1424 9月17日 ガーデンはPGP、もとい運動会真っ只中。 クラスグリーン用のジャージを用意し、幾つか放送委員として実況はしているのだが。 俺は競技そのものへの参加をどうしようか考えながら、他のドールたちの競技を眺めていた。 そんな時だ。 しばらく見かけることのなかったドールを久しぶりに見つけた。 頭にひっかけられた仮面、 小麦色の髪、 若葉を思わせるような薄い黄色と緑色の羽。 クラス

          【一次創作】例え憎まれようとも、必ず【#ガーデン・ドール】

          【一次創作】鬼が出るか蛇が出るか。【#ガーデン・ドール】

          これは、4月末頃のお話。 まだ俺がボクだった頃のお話。 ――何気ない日常の中の、非日常の答え合わせをした、お話。 ある日、急に部屋に届いた手紙。 これはまだ俺が何も知らなかった頃に届けられたものだ。 ちょうど、知ることを覚悟する前後だったかと記憶している。 差出人の名前はないが、その筆跡には心当たりがあった。 俺の中の何かが確実に変わることになったきっかけの手紙。 あれに、よく似た筆跡だった。 だから、俺は確認することにしたんだ。 どうしてこんなことをしたのかを。

          【一次創作】鬼が出るか蛇が出るか。【#ガーデン・ドール】

          【一次創作】弐拾弐。音色に乗せて【#ガーデン・ドール作品】

          きらきらひかる、 おそらの―――― B.M.1424 7月下旬 音楽室。 其のドールが、以前事件を起こした場所。 しかし今はそのような痕跡などはなく、ただ静寂を保っている。 ぽろん。 そこに常設されたピアノの鍵盤に指を置けば、静寂の五線譜に星のような音がのる。 ぽろん。 ぽろん。 音を連ねれば、旋律となる。 ドドソソララソ。 音が、音楽へと紡がれていく 次の感情の実験のテーマを「恋愛感情」と定めつつ、もう一つ其のドールが気になったものがあった。 それが、「

          【一次創作】弐拾弐。音色に乗せて【#ガーデン・ドール作品】

          【一次創作】時は戻らず。ならば知を担うまで【#ガーデン・ドール】

          これは、俺が 【B.M.1423 12月】に書き記し、提出を渋っていた報告書。 きっとすべてを知っている『センセー』にすら、提出したくなかった報告書。 ……半分は、提出したというのに。 ただ、このまま眠らせてしまうのも勿体ない。 自身でも振り返るために、改めて提出する。 ワンズの森に現れたのは、大きな鳥のようで、くちばしが楽器のようで。 そのビーストがひとたび音を奏でればどこからともなく凶暴な動物が現れて。 そんな、マギアビーストだった。 ・ ・ ・ ・ ・ ・

          【一次創作】時は戻らず。ならば知を担うまで【#ガーデン・ドール】

          【一次創作】知るために、段階を踏む。【#ガーデン・ドール】

          俺の朝は早い。 放送委員としての日課と、単眼の生き物を生み出すという日課。 この2つが合わさることで、寮で生活するドールの中でも恐らくだいぶ早い方だろう。 B.M.1424  8月25日 この日の朝も、いつも通り早かった。 24時間しかもたない単眼の生き物は、時間がくれば黒いドロドロになって溶けてしまう。 だから24時間がちょうど経過するタイミングで自ら俺の自室の机の上に置いたタオルの上に戻るよう予め指示を出している。 今日も昨日の分の単眼の生き物がドロドロと溶けてい

          【一次創作】知るために、段階を踏む。【#ガーデン・ドール】

          【一次創作】その後の事情、変わったものと変わらないものと。【#ガーデン・ドール】

          魔機構獣対策本部に関するEXミッションが追加された。 何もなく追加されることは少ない。 アイツの気まぐれでなければ。 そう思って対策本部に行ってみれば、そこに見知った仮面はなく。 見知らぬ顔と、よく知った声が出迎えた。 必要がなくなったから仮面は捨てた、と語るその人物は自らを本部ではなく、アスナロと名乗った。 後からやってきたドールたちと仮想戦闘に挑み、そこで俺が新たな技のきっかけを掴んだのはまた別途報告するとして。 「アスナロ……」 ベッドに横たわり、ぼんやりと天

          【一次創作】その後の事情、変わったものと変わらないものと。【#ガーデン・ドール】

          【一次創作】弐拾壱。その日だけ特別な。【#ガーデン・ドール】

          新たな実験台を定めはしたが、それから其のドールは白いドールに対して特別なにかしているわけではなく。 それでも【2人で共同で何かをしている】というだけで不思議と距離は近くなることは立証済みだ。 本人の前だとさすがに恥ずかしいのか隠そうとしてしまうが、白いドールことなたりしあは、其のドールことジオを真似て眼鏡までお手製で作っているほどだ。 想像をしていたよりも実験のスタートラインは上にあったらしい。 ならばと白衣の余りを与えたてみたら随分と喜ばれた。 さらに一歩、意識をさせる

          【一次創作】弐拾壱。その日だけ特別な。【#ガーデン・ドール】

          【一次創作】弐拾。新たな実験は静かに始まる。【#ガーデン・ドール】

          7月初頭。 手強い魔機構獣が出現している最中且つ、其のドールの悪夢も終わったばかりであるし、まだ悪夢の只中にいるであろうドールもいる、そんな中。 そんな中でも、このガーデンという場所は計画されていた通りに学園祭を開催した。 「出店……出し物……」 其のドール、ジオは改めて学園祭とやらの要項に目を通していた。 しかし、わざわざそんなものに参加する必要もないように感じる。 どの文字も、言葉も、今のジオには響かなかった。 一般生徒と呼ばれるドールを解体してみたりはしたものの

          【一次創作】弐拾。新たな実験は静かに始まる。【#ガーデン・ドール】

          【一次創作】つよくなりたくて【#ガーデン・ドール】

          机に備え付けられた照明の下で、俺は今まで書き溜めてきた手帳のとあるページをカリカリしていた。 カリカリ……ペリペリ…… 「よしっ!全部剥がせた!」 剥がせた、というのは今まで手帳に貼っていたマギアビーストのステッカーたちだ。 ちょっと勿体ない気もするけれど、これらと引き換えに強くなれるドリンクがとある場所でもらえる……らしい。 原理は分からない。 でもそういうシステムが導入されたというのだ。 踊らされている気もするけれど、使えるものは使っておくものだ。 そのドリンクを飲

          【一次創作】つよくなりたくて【#ガーデン・ドール】

          【一次創作】同じ罪を背負った友のもとへ【#ガーデン・ドール】

          B.M.1424  8月13日 俺は自室で今まで報告書にかけていないネタをまとめていた。 それはもう最終ミッションに到達する前からネタはわんさかあるもので、さてどこから手を付けたものかと机に突っ伏した時だった。 「あ……すっかり忘れてた」 目に入ったのは、簡素な箱だ。 本当に適当なその箱に入れられているのは、これまたスタンドにぶら下げられた耳飾り。 いわゆる「ピアス」と呼ばれる耳飾りで、耳に装着する金具からチェーンが伸びており、黄色い球飾りがゆらゆらと揺れるようなものだ

          【一次創作】同じ罪を背負った友のもとへ【#ガーデン・ドール】