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アニメ『のんのんびより のんすとっぷ』(3期)12話/最終話感想

あらすじ(公式HPより)

朝、宮内れんげが窓の外を眺めていると、姉の一穂が「そんなとこでぼーっとしてどうしたの?」と声をかけます。れんげの視線の先では、庭の梅の花が咲いていました。
季節はもうすぐ春、今日は越谷卓の卒業式です。在校生や保護者も見守る中、一穂から卒業証書を受け取った卓。式の終わりに、在校生の皆で歌を贈ることになったのですが…。
旭丘分校にまた新しい季節がやってきます。

Aパート〜何気ない卒業式の朝〜

季節が巡り、卒業式の日がやってくる。
卒業式だってなんだかんだ日常の中の非日常で、朝起きて、自分の足でちゃんと歩いて分校へ向かうバスの停留所に行かなきゃいけない。

越谷ブラザーズで分校に登校するのもこれが最後。兄ちゃんも名残惜しいのか三羽雀を見上げる。

しかしこの「卒業おめでとう」は誰が描いたのだろうか?「卒業」だけ漢字教えてもらったれんちょんだろうか?流石にお兄ちゃんじゃないよね……?

この分校は校長がいたはずだがどこへ行ったやら。

自分を送る曲を自分で演奏する兄ちゃん。原作だと校歌ではなく在校生への感謝を込めたオリジナルソングだったというからアニメの兄ちゃんはこれでもまだデバフかけられてる方なのだ。

アニメのんのんびよりは3期にして世代間継承ネタをより多く取り上げるようになったけど、地味に継承に失敗したケースがこのピアノスキルだったりする。かずねぇが弾けよという気もするが、なんにせよ一言も喋らなかった兄ちゃんは妹達に何かを引き継ぐことは出来なかったのである。別に本人はそのことを気にしちゃいないのだろうけど。
(こまちゃんが兄ちゃんの料理補助を拒否した9話エピソードを思い出そう)

やはり卒業式は保護者のためにもあるのだろうか?
(そりゃそうだろう)

卒業式というのは否応なしに時の流れというものを想起させるイベントで、決して「ここで全部おわり」ではなく「今回はここまで」、そう遠くない将来、つまり来春には愛しのこまセンパイも卒業してしまう現実をも想起させずにはおかないのだ。
聡明な蛍はそのことが気になって仕方ない様子。

兄貴唯一のポカシーン……懐かしい。

いい笑顔。君ってなんだかんだノリいいよね、全く喋らんけど。

蛍と違って卒業式というイベントに無頓着な夏海。田舎の狭いコミュニティで生きて、かつ兄ちゃんが下宿するわけでもないとわかってりゃそうもなるか

あんまり接点なかったし、なんなら兄ちゃんを恐れてなっつんの元に逃げる描写が2回もあったれんちょんだが、感謝の言葉は欠かさない。とてもしっかりしてらっしゃる、流石は主人公。

Bパート

のんのんびよりにしては珍しく、パートを跨いで同じ日の話が展開されている。最終話だしね。
曲がり角でしおりちんと出会うれんちょん。
次世代の旭丘分校を担うエースたちである。
2人はとりあえず昼食後に遊ぶ約束をして解散。

その一方で村に集結する高校生組。今までは会うことのなかったキャラ同士の邂逅が面白い。
てか3人とも私服かわいいな〜〜かわいい〜
(ちなみに原作だとひかげは蕎麦目当てに帰郷した)

しかしここのお互いが「コイツ誰??」ってなるところが妙に生々しくってとてもよい。そんでそんなことを意にも介さず話を進めるこのみが大好き。
人間ってある程度無神経になれば強くなれるんだ。

あれ、あかねちんてひょっとして後ろ姿が一番かわいい女の子???(錯乱)
しかしこのみ先輩に刺繍入りバッグを贈っているとはやるな……!
そしてそれを意にも介さず「なにこの木の棒」と言ってのけ百合?空間をブチ壊すひかねぇはやはり「おもしれー女」だな……
ちなみに私も高1の時に吹奏楽部に勧誘された際にわざとフルートを吹く際に加えるアレを「アイスの木の棒」と呼んで挑発したところかえって気に入られてしまったことがある。

流石はおもしれー女、ナチュラルに地雷を踏むしそんな横顔すらも魅力的である。

しかし百合の間に挟まるおもしれー女でしかねぇなこの時のひかねぇは……
なんやかんやあって眼鏡君の卒業祝いを買うために駄菓子屋へ行くことに(なお休業日)

なるほど珍しいメンツだな、こりゃ。

やっとここで自己紹介タイムに。
ひかねぇ相手にも「ド-モデス」と「コチラコソデス」なあかねちんも好き。根本的にはコミュ症なのだけど、確実に進歩しているところも好き。
しかし「さっき紹介したはずだけど?」で押し切ろうとするこのみがわざとかガチかわからかいのがまた恐ろしい。

初対面のタメのJK相手に初手東京自慢とはやるなひかねぇ……それなのに真っ当?に反応しちゃうあかねちんも大概だし、そのこと自体に驚く負け犬というか残念JK根性の染み付いたひかねぇも面白い。

ひかねぇって地味に靴のセンスはいいよね……
しかし駄菓子屋の制止を難なく振り切るひかねぇはいつも通りとして、東京の話聞きたさに初対面の大人の制止を聞かないあかねちんもなかなか図太いお人である。

なんやかんやで4人はしおりちんを迎え駄菓子屋へ。

駄菓子屋から段ボールを貰おうとする夏海らと高校生組(正確には違うけど)が合流。夏海もひかねぇと同じく駄菓子屋を当然のように溜まり場扱いしているのが笑える。

新分校組の遊びに着いていくことを渋る駄菓子屋に対して本編最後の「巧みな話術」を用いるこのみのまっすぐさ(強引さとも言う)がかわいかった!
この両手をよしっとしてるのが近所のお姉さん感溢れてるな〜〜!!
なんか私服も新妻かしおりママのようなマタニティ系のゆったりしたデザインだし、新妻このみ展開見てみたい。なんなら自分が夫になりたいくらいだ。

さっそくれんちょん・蛍・しおりに知らない遊びを仕込む夏海。彼女が分校最高学年になる日も遠くないのだ。しかし駄菓子屋からしおりちんまで楽しめる段ボール滑りとはなかなかよいセレクトだな……
スピード出るしやり方も単純だし。

やはり駄菓子屋、れんげママでは……?
("他の"お姉さん方という言い回しからして自分もお姉さん枠に入れてると解釈するのが自然なため、少なくとも駄菓子屋本人はママだとは思ってないはず)

しかしこの"他の"お姉さん方という言い回しって遠回しにれんちょんを対しおりちん限定とはいえお姉さん枠に入れてることになり、彼女のれんげに対する気遣いが見て取れる…かもしれない。

こまかわ〜〜〜……いそう……。
こんなん(推定137cm)でもしおりちんよりは背が高いのだけど、流石に蛍のお姉さん感には勝てなかった。結局このほたこま関係性は根底からは崩れなかったのだ。
(後ろで話してるひかねぇとこのみが好き)

結局あかねちんと滑るんかい!

このドジっ子コンビ結構すきだな……

 ひかげの問いに対して「ちょっと〜私、企みとかしないよ?」「は?」のくだりがよい。こうやってひかねぇは常にこのみに押されてきたのだろう。
本人はマジで企みなどしてないつもりなのか?

この回想フェイスがよい。都会の同学年とつるんできた18歳ならさておき、常に年上や年下とつるんできた18歳はもう「しみじみとするとし」なのだろう

ここすき

これは遊び終えた後の分校組がしおりちんを家に送るシーンなのだが、2枚目に注目してほしい。
れんげは自然体、夏海はいつもの頭後手組み、蛍は体の前で手を組むアレ(CAみたいだよね。7巻特装版みたい)、そんで我がこまちゃんは女の子っぽいポーズ。かわいぃ〜〜〜!

唐突に家の奥から聞こえる物音。このカットにセリフが被るなんてまるでストーリーものみたいだな…

Cパート

ついにしおりママが産気付き、タクシーで送られる。それを不安な顔で見送るしおりちんの手を取るれんちょんには泣かされた。

おてんとさまびより

ますますイケメンな兄ちゃんに今朝は早起きなかずねぇ。ついに希望の新学期が始まる。
ついに蛍の小学生らしい登校風景も見られてよかったなー

みんなで分校の新入生のしおりを迎えに行くと待っていたのはあの日産まれた赤ん坊。名は「かすみ」というらしい。

https://www.543life.com/kigo/post20200415.html

このリンクにもあるように「春霞」をイメージしたのだろうか?
(ちゃんと『のんのんびより』全キャラのファーストネームが平仮名3文字の法則にも反していない)
先の見えない人生で、生まれた時から学校に上がった際に頼りあるお姉さんが待っている人生というのは幸福なものなのだろう。

当のれんちょんが生まれてこの方駄菓子屋に面倒を見てもらったようにこの姉妹はれんちょんの世話になるのだ。
「同学年が誰もいない」からこそ同じ分校のお姉さん方による「継承」が輝くのが『のんのんびより』なのだ。これほど美しく、この物語の「本質」に忠実であった最終回を迎えられたことは我々にとって幸福なことなのだろう。

原作にはなかったにゃんぱすー!返しがよい。
1期1話で返せなかったにゃんぱすーを最終話で返した蛍が田舎に馴染んだように(1期はまさに都会人が田舎に馴染む話だった)、世代間継承に重きを置く3期ではにゃんぱすーは受け継ぐものになったのだ。
にゃんぱすー自体にゃ意味なんてないのだけれど、いや、だからこそそれが周囲に及ぼす影響は作中のアレコレを象徴しているのだ。

そして皆はお天道様の照らす道をバス停に向かって元気に歩く。
その様はこの記事を読んだ方ご本人の目で確かめていただきたい。(何を今更感がスゴい)

何はともあれ今回はここまで。
月刊コミックアライブ誌上での短期集中連載が決定した『のんのんびより りめんばー』の連載終了時に今回は見送った『のんのんびより』に対する総括をしようと思う。

にゃんぱすー!

(エンドロールに竹富島のあの風景があるのと学年表記が変わってるのがめっちゃすき)

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