【第52回】男子三日会わざれば刮目して見よ。
1年ぶりくらいに従兄弟に会った。
亡くなった祖父の三回忌があったからだ。
祖父母の家や僕の実家のある地域と従兄弟の住んでいる地域は、かなり離れていて1年に1度会えたらいいくらいなのである。
なので彼の変化に驚くことがある。特に僕は親戚の従兄弟同士の中では最年長であって10年以上も年が離れているのだ。幼い頃の1年の成長というのは計り知れないものがある。
従兄弟は今、小学5年生なのだけれども、それくらいの男の子と言えばゲームで遊ぶ年頃である。世の中のことが少しずつわかってきて楽しめるようになる頃のような気がする。
小学校低学年の頃はゲームを買ってもらえない家庭だったようで、今ゲームを自由に遊べるのがものすごく楽しいらしく今どハマりしているということが久しぶり会ってわかった。
気持ちはよくわかる。僕もそうだったから。高校生になってからゲームに時間を費やしたので、抑制されていた分の気持ちがものすごくわかるのだ。
普段は親(僕にとっての叔父、叔母)が従兄弟がゲームで遊ぶことに関してうるさいだろうから、このときだけはと遊んであげることにした。流石に甥っ子と遊んでいる時くらい大目に見てくれるだろう。
どうやら最近のお気に入りはスマブラ(任天堂から発売されている作品のキャラ同士が作品の壁を超えて戦うゲーム)らしく、一緒に遊ぶことにした。このシリーズ1999年にNINTENDO64で発売されて以降、子供のみならずあらゆる世代に人気のゲームである。
そして…。
まーーーーーー、ボコボコにした。ありえないくらいにコテンパンにしてやった。
大人気ないと言われるかもしれない。既に成人した男が10年以上も年下の小学生をゲームでボコボコにするなんて。
でも手を抜いた方が失礼じゃないかとも思う。向こうは真剣にやっているのに。
というのは建前で完全に従兄弟に対してカッコいいお兄ちゃんでありたいという見栄でしかなかった。年上の年の近い親戚がいなかったかけれども、ゲームを一緒に遊んでくれる親戚っていいよねという思いはあったからだ。それにスマブラは下手だけれども友達と何回も遊んだ思い出のゲームだったからというのもある。
悔しがる従兄弟に対し「次戦うときはもっと強くなってからおいで」というくっさいセリフを吐いて、三回忌は終わった。
それから大体1ヶ月。再会は早かった。
お盆期間を利用して新幹線を使って遊びにきたのだ。正直まだまだ子供だと思っていたからそんな芸当が打てるのは素直にすごいと思った。
僕もそのタイミングで帰省をしたので、当然また顔を合わせることになる。
そうなるとやることは、ただ一つ。
スマブラだ。
今回もボコボコにしてやんぜ。そう意気込みながらコントローラを握る。
そして…。
まーーーーーーー、やられた。
決して一方的ではないけれども、トータルで見たら確実に僕の方が負けている。
まじかい。たった1ヶ月でここまで仕上げてくるとは。
確かに僕は新しいスマブラは持っていないし、ゲームもそこまでプレイできていない。けれども年齢的アドバーテージが短期間でここまで詰められるとは思わなかった。
男子3日会わざれば刮目して見よという言葉があるけれども、1ヶ月も経てば別人になれるのか。
次は全敗かもしれない。そう思うと僕のカスみたいなプライドが価格.comを開かせるのだ。
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