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Twitter詩 2020.11

深海

太陽も見えない海の底で
夢をみた
想像の虹の下で
笑っている人魚の姿を

何も響かない静かな海の底で
声を聞いた
子守歌のように心地よく
誘惑する悪魔の囁きを

ここでしか生きられないと
知っていたなら
僕はずっとここにいた

光を探しにいかないか?

(20201101)

明け方の夢

どこかの静かな教会
ヴェールに包まれた
ステンドグラス
少女は祈り
天使は微笑む
少女の祖父は目を閉じたまま
朝食が運ばれるのを待っている
鐘が鳴り
徐々に目覚める街に隠れて
少年は走る
両親が起きる前に
家へと急ぐ
何てことのない小さな出来事
光が射すまで
もう少し

(20201112)

問いかけ

人間っていうのは
花を愛で人を慈しみ
凶暴な本性を隠し通せるか
生み落とされた
その日から
運命は決まっている
この牙の矛先は
あの腐敗した
自分だった何か
あの腐乱した
潰れた果実
それでも遠くから
運ばれる
小さな種子に
手をのばして果てる姿
己を知る
最後の悪足掻き

(20201112)