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欧州クラブから鹿島復活へのヒントを探る【A・マドリード ディエゴ・シメオネ編】

前回、大変多くの反応をいただいたリバプール編に続いて今回はA・マドリード ディエゴ・シメオネ編。

■参考

>2011年12月に資金難に苦しむ選手時代の古巣アトレティコ・マドリーに監督として舞い戻ると、わずか半年でヨーロッパリーグ制覇。翌シーズンはコパ・デルレイを獲得し、3年目となる13-14シーズンには巨大な戦力差を覆してスペインリーグ優勝、そして世界最高峰の舞台チャンピオンズリーグで準優勝という、誰もが予想し得なかった快挙を達成した。資金力の差を物ともせず「やればできる」を証明したリーダーの言葉は、格差社会に苦しむスペインの人々に勇気を与え、サッカーの枠を超えた社会現象にまでなっている。シメオネはなぜ、“奇跡”を起こせたのか?――その秘訣は、今あるチームの可能性を最大限に引き出す、彼独自のリーダー論にあった。スペインで出版され大きな話題を呼んだ本作を『footballista』編集長の木村浩嗣が翻訳。コパ・デルレイやリーグ優勝、チャンピオンズリーグ決勝進出を振り返った第6章は、日本語版のために書き下ろされた特別編だ!
ディエゴ・シメオネ
Diego Pablo SIMEONE
1970年、アルゼンチン・ブエノスアイレス生まれの元サッカー選手で現アトレティコ・マドリー監督。守備的MFだった現役時代は、生来のリーダーシップでチームを引っ張る一方、対戦相手には狡猾な選手として知られた。98年のワールドカップではイングランドのベッカムを挑発して退場に追い込んでいる。ベレス(87-90)、ピサ(90-92)、アトレティコ(94-97、03-05)、インテル(97-99)、ラツィオ(99-03)などでプレー。2006年に所属していたラシン・クラブで監督に転身すると、選手時代とは違う、論理的で冷静な面を見せ、行く先々で限られた戦力で最大限の成果を上げてきた。2011年、選手として2冠を達成したアトレティコに復帰。就任1年目でヨーロッパリーグのタイトルを獲得し、翌年は宿敵レアル・マドリーを14年ぶりに破りコパ・デルレイ制覇。3年目はバルセロナ、Rマドリーの独壇場だったリーガで18年ぶりに王者となった上、チャンピオンズリーグ準優勝。「資金力のある者が勝つ」とされる欧州サッカー界に旋風を巻き起こし、時代の寵児となった。

※若干、昔の本になるのでそこらへんご理解いただきたい。

■シメオネの頭に常にあるもの

まず、この本を読んでのシメオネへの印象について。

シメオネは監督という立場ながら自身の現役時代の経験を常に重んじている人間だ。「自分が選手の時は」という主語をもとに振る舞っていることが彼の言葉から強烈に伝わってきた。それはそこらの「選手に寄り添う監督」とは一線を画す。そのくらい自分の選手キャリアで得た本能的な感覚を大事にしている。だからこそ、選手時代にやられて嫌だったことはしないし、もっとこうしてくれればというのを選手に与えている。そんな監督だ。

■尊敬、自信、確信、規律

本書でシメオネは自身の行動規範を尊敬、自信、確信、規律で成り立っていると語っている。鹿島のジーコスピリットに近いものかもしれない。逆にこのような規範を自分がブラすようでは、チームはついてこない旨も話していた。僕はチーム作りにおいて監督が自分の基準を持っていることは重要だと思っている。基準が明確になればなるほど、選手は真似をするし、試合にでたければ嫌でもその基準に則った行動をするからだ。

■どのようなチームづくりなのか

そんな中で彼がどのようなチームづくりをしているのかについて話していこう。前提として彼はサッカー選手でも脂が乗り始めるキャリアについてこう語っている。

25、26歳ならばタイトルを獲るために大きなクラブにいるべきで、そのための競争力を持たなければならない。

そして、そのような選手を抱えるにあたってこのようなことも話している。

小さく単純なことから競い合いの空気を作るようにしている。誰がシャワー最初にシャワーを浴びるとか、誰が最初にテーブルを選ぶとか。

シメオネは特別に愛情深く選手の面倒を見るというより、自然な競争意識を植え付けてそこでの反応を大事にしているように考えられる。監督として、フェアを重んじているのだ。競争に勝てなければ試合にでも勝てない考えだ。

次はオンザピッチの話。シメオネはチームにおいてGK、DF、MFの3つのポジションが鍵になると言っている。さすがにこれには驚いた。点取れなくちゃ勝てなくない?

GKについて

>自己愛のためではなく、失点しないように努力するGKを好む。

DFについて

>リスクのあるプレーで得るものよりも、自陣でのミスで失うものの方が大きい

MF

>お手本としてセルヒオ・ブスケッツを挙げたい。(中略)自己顕示欲を抑えられるというのは才能だ。

FW

>彼らの仕事がグループへ与えるリスクが小さい
>私はサッカーをプレーする選手を支持し、ボールをプレーする選手を支持しない。

要はリスクを取るのではなく、勝つために謙虚にプレーできる選手を要求しているのだろう。ここらへんの基準も鹿島の選手と似ている選考基準のような気がする。

■鹿島復活へのヒント

今のアトレティコはもはやシメオネそのものとも言えるクラブで彼自身が顔ともなっている。じゃあ、そのシメオネから何を参考にすりゃいいんだという話だが、僕はシメオネと同じ鹿島というクラブの顔である小笠原に復活のヒントがあると思っている。彼は鹿島の中でも生え抜き、3連覇、アジア王者、クラブW杯、日本代表、海外と一番選手経験豊富な選手だ。だからこそ、彼にしか伝えられないものや時代に逆らってでも、こだわりたいものがあると思う。それが監督としてかは別としてだ。またアトレティコもモダンさとシメオネのこだわりを上手くバランスをとっているので、クラブとしても参考にしたいクラブだろう。

これまで、プロサッカー選手として約20年間の経験を、トップチームの選手たちには伝えてきたつもりで、これからは育成年代の選手たちに自分が培ったものを還元していこうと思います。アカデミー出身の選手が一人でも多くトップチームに昇格し、アントラーズの中心、日本の中心として活躍できるよう、自分の力のすべてを注いでいきます


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