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読書記録

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友達に紹介するような文章で記録をつけています。 小説、実用書、歌集、雑誌。好きなものをのんびり。
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2023年4月の記事一覧

読書記録「すべて真夜中の恋人たち / 川上未映子」

恋愛小説を初めて読んだ。 恋愛小説とも知らずに本屋で平積みされていたこの文庫本を手に取ったのは、表紙の夜空とタイトルの美しさに惹かれたから。 帯を読んで恋愛長編小説だと知る。「すべて」や「恋人たち」から勝手に短編集だと思っていたが違った。 青春小説は主人公が眩しすぎて途中でリタイアしたことがある。なので恋愛のきらきらしたものを受け止められるか不安だったが、杞憂だった。 どこか自分と通ずるものがあるような主人公だった。 ひっそりと暮らしている。主人公の人生をじっとりとなぞる

読書記録「嚙みあわない会話と、ある過去について / 辻村深月」

胸がイタイ……。とにかく胸がイタくなる作品だった。 学生時代の青い頃の過去がガジガジかじりついてくる。 タイトルの通りの短編が詰め込まれた短編集。 タイトルを最初に見た時はどういう意味だろうと思った。でも、読んでみると、タイトルの通りだった。 当事者同士が当時を思い返しながらする会話が嚙み合わないことに焦点置いた短編集である。 例えば、私はあなたのことを尊重していたはずなのに、相手は自分を軽んじられていると思っていた、など。 過去の食い違いは、恐らく誰にだって起こる事態だと

読書記録「三千円の使いかた / 原田ひ香」

ドラマ化していて気になっていた本。 普段はミステリー小説を読むことが多いので、新鮮な気持ちで手に取った。 タイトルも気になる。 “三千円”の使い方…? 学生の頃のお小遣い三千円は、大金な感じがしていた。大切に大事に、何に使うか悩んだが大人になると三千円はお財布に入っている身近な金額になる。小説は、三千円の使い方にその人の人生観が現れるというところから始まる。 私が三千円を使うとしたら、いつもは躊躇する画集や写真集を買うと思う。 美しい本って漫画や小説と比べて高いので、ちょっ