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【美術・アート系のブックリスト】堀文子,中島良成著『人生の達人・堀文子の生き方』

2019年に百歳で亡くなった画家・堀文子さんの言葉と思い出を、長年プロデュースしてきたナカジマアートのオーナーが綴る。

自分が興味のあるものしか描かず、過去は振り返らずモチーフと作風をどんどん変えていった画家。ブルーポピー、ミジンコ、名もなき草花などには、自然、宇宙、人類といった世界への壮大な関心があったことが収録されたエピソードから伝わってくる。

「群れる、慣れる、頼る」ことを嫌い画壇では孤高を貫く一方、美術以外の人物とは幅広い交友関係があり、特に女優の黒柳徹子さんとの交流は読んでいて微笑ましい。

堀さんは高等女学校の頃、禅の導師から公案「犬ころに仏性ありや」を与えられ、それを生涯忘れずに考え続けたエピソードがいい。

画家を目指す人、豊かな人生を願う人、それぞれに気づきを与える一冊。

192ページ、四六判、中央公論新社、1650円 



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