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アートフェア東京2021で思ったこと

 顔認証と入場制限は確かに面倒ですが、それ以上にこうしたイベントが開催できる喜びに会場が溢れたプレスビューでした。VIPの時間帯になるとアートを楽しみに訪れたお客さんたちの波のような来場があり、その感じを一層強めました。

 自粛の反動といえばそれまでですが、アートに触れたい、面白いものを買って所有したいという健全な欲望が増幅された気がします。おそらく事前の予想以上の好結果になるでしょう。

 海外からの出店に変化がありました。日本のギャラリーと提携して共同ブースを出す例です。もちろんスタッフなどは来ず、作品だけを展示して、販売に関しては日本のギャラリーが対応するというかたちです。以前は国際展をうたい、海外からの出店を増やすことに躍起になっていましたが、むしろこの方が定着するかもしれません。問題は日本のコレクターがそうした作品を買うかどうか。にわかに増えてきた投資・投機目的のビジネス系アートファンの目に止まれば売れるかもしれません。

 出展画廊を見ると、コンテンポラリー側に新しい顔ぶれが多かったようです。逆にコンサバのファインアート系は概ねこれまでの実績で選ばれたようです。

 ただ1つ以前との大きな違いは、夢工房の田辺竹雲斎による圧巻のインスタレーション。これまでは、その年を代表するようなモニュメンタルな展示物というのがありませんでした。私は事務局に対して、立体でも平面でもいいので巨大で誰の記憶にも残るような展示をするよう求めていたので、これでようやく他国のフェア並みになんとかなった気がします。

 明日からの一般公開で、みなさん美術ファンの期待に応え、良い販売成績を残されることを祈っています。

2021年3月19日


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