アーティスト・ポートレート

展覧会場で、作家さんと作品を一緒に写真に撮ることがあります。もともとはSNSにアップする材料として始めた習慣です。毎月一回、1ヶ月分の投稿を見直して展覧会のレビュー記事にしていますので、鑑賞した展覧会の記録でもあり、材料保管庫の役割も果たしています。
さて私は最近、意識的にポートレイトつまり顔写真をうまく撮る工夫をしています。というのも、作家の多くが自分の顔写真に気を使っておらず、これが画家としてのキャリアにも響いていると思うからです。雑誌に載せる画像を送って欲しいと画廊や画家本人にお願いすると、作品写真についてはたいていすぐに準備してくれるのですが、顔写真はない場合やあっても暗かったり横顔だったりで人物がよくわからないことも少なくありません。画家の立場からすると作品を重視するあまり、自分のことに配慮はいらないと思っているようです。単に恥ずかしいという人もいます。また容姿に自信がない場合気後れするのも理解できます。
しかし私が知る限り、成功した画家の方は例外なくポートレイトを用意して、媒体での自分のイメージをコントロールされています。その最も顕著なのは千住博さんで、カメラマンが撮影した写真をどの媒体でも使っています。また、ある女性日本画家の方を展覧会場で撮ろうとしたら「ちょっと待ってください」と言われて5分くらい待たされたこともあります。化粧を直していたようでした。それくらい自分がどう見られるか、どう映るかに気を使っていいのです。男性女性関係なく、見習う方がいいでしょう。
カメラマンに頼まずとも、友人知人の写真好きに頼んだり、自撮りで何枚も撮ってその中から選ぶだけでもいいでしょう。そしてとっておきの一枚を決めて、雑誌のほか名刺、パンフレット、webなどに使い続けるといいです。自分がどうみられるかを意識することは、表現者として大事です。逆にこれができていないと、プロとして意識が低いとすら感じてしまいます。ちなみに音楽、特にクラシックの世界や舞台芸術の世界ではポートレイトがかなり重視され、プロはもちろんアマチュアでも、チラシ、パンフレット、ポスターのポートレイトは必ずプロが撮影しています。
一番いいのは、雑誌などの取材を受けてプロのカメラマンに撮影してもらい、そのデータを使わせてもらうことです。無料というわけにはいかないですが、数千円で提供してくれると思います。
参考までにソプラノ歌手の方のポートレイトをのせておきます。

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2021年4月3日


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