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【美術ブックリスト】『古代の刀剣: 日本刀の源流』(歴史文化ライブラリー 561)小池伸彦

日本の刀剣、なかでも最も古い古墳時代から白鳳時代、平安時代までの古代の刀の研究書。刀身の反りや刃文といった日本刀の特徴的な形がいつ、どのように生まれたのかを、考古学からアプローチする。
古墳時代の鉄刀は直刀だったが、それが外反りをそなえた湾刀へと変遷していった経緯を、古代の鉄生産の実態や遺物の出土状況、正倉院刀の調査などを視野に入れて多角的に解明する。また先人の研究だけでなく、著者自身が訪ねて学んだ現代の刀匠の技術にも着目。過去と現在の両方から光を当てて日本刀の源流に迫る。
ここまでが概要。

ここからが感想。
「刀剣乱舞」がリリースされた2015年以降、美術業界にも刀剣ブームの波がやってきた。アートオークションで高値で落札されるようになったため、オークションカタログに観音開きで長い刀の全景が掲載されたのがこの頃。美術館でも刀剣の展覧会が開催されて人気となった。
時代によって古刀、新刀、新新刀、現代刀といった区分があることは高校日本史で学んでいたけども、言われてみれば平安時代に生まれた古刀の成立については考えたことがなかった。
本書は、考古学と歴史学を踏まえてその謎に迫っていく。刀の基本について学べる一冊。

245ページ 四六判 1980円 吉川弘文館


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