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画家はデビューの仕方が大事という話

図はMOMAとグッゲンハイム美術館についで、ガゴシアンとペースという2つのギャラリーの存在感の高さを示しています。スペインのレイナソフィア美術館も強く、アジアではシンガポール美術館の名前が見えます。日本は六本木の森美術館がかろうじて読めます。(みうらじろうギャラリーの記載があるのは何故だろう?)

2018年に世界的な科学雑誌「SCIENCE」に発表された「アートにおける評価と成功の数量化」と題する論文のイメージマップからの引用です。

ところでこの論文は、143カ国の36年の美術市場のデータを解析したとのこと。内訳は16000ギャラリーの約50万の展覧会と7500の美術館の29万の展覧会、そして1200ものオークション会社の13万競売となっています。
それを分析しているのですが、アーティストが参加した最初の5回の展覧会の評判と最後の5回の展覧会の評判を比較しています。高と低の2段階に分けたとき、最初に高評価を得た作家のうち50パーセント以上がそのままの評判を保ち、40%程度が中評価に落ち、最終的に低評価を得るのはわずか0.2%とのこと。当然活動をやめる割合も非常に少ないということです。逆に最初の5回の展覧会で低評価しか得られない作家がその後高評価に上がる割合は10%程度、中評価になるのが70%、そのままの低評価で終えるのが17%ということでした。

つまりスタートダッシュが大事だということです。

ではどうすれば、いいスタートダッシュが切れるかというと、それは結局ステージつまり会場の問題が大きいのではないかというのが論文の主旨です。

画壇にデビューする際や、早い時期に有名美術館や有名画廊で展覧会を開催しそこで評判を得ておくことが、一生に渡ってアドバンテージになるということでした。

これをそのまま日本にスライドさせて考えることはできないまでも、確かに若いときに名前が出た画家はそれなりの人生を送っています。ファインアート系だと銀座の有名画廊や百貨店での個展の開催歴があるのとないのでは、キャリアに違いが出ますし、コンテンポラリー系だと海外での活動歴も加味されます。

この辺の事情は、今年の美術新人賞デビューの説明会で話します。

【引用元】
Quantifying Reputation and Success in Art, Science Magazine, 2018

https://www.magnusresch.com/wp-content/uploads/2018/11/Quantifying-Reputation-and-Success-in-Art-Science-Paper-Magnus-Resch.pdf


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2021年5月16日

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