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掌編小説・ショートショート・短編小説

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ジャンルは特に決めていませんが、気ままに投稿していきます。
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2022年2月の記事一覧

新生活|ショートショート

 フリマアプリでダブルベッドのフレームを掲載したところ、買い手が見つかった。  どうやら…

諸星颯太
2年前
8

栄光をもとめて|ショートショート

 朝の5時、10㎞のランニングが彼の日課だった。静かにアパートの玄関を出ると、黒々とした彼…

諸星颯太
2年前
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幼馴染み|短編小説 後編

 車をUターンさせ、前日に宿泊したホテルに向かって再び出発した。今夜は泊まるわけではなか…

諸星颯太
2年前
4

幼馴染み|短編小説 前編

 膝に迫るほど雪が積もっていたのはゲレンデだけでなく、駐車場も同じだった。午前中に車を停…

諸星颯太
2年前
3

階段から聞こえてくる音|ショートショート

ついに私は睡眠薬を服用しても眠れなくなった。 最寄り駅のすぐ近くにある8階建ての雑居ビル…

諸星颯太
2年前
3

グッドモーニング|ショートショート

 目覚まし時計の音が、部屋中に鳴り響いている。もしかしたら隣の部屋にも聞こえているかもし…

諸星颯太
2年前
7

就活準備|短編小説 後編

 「まあ、そんなに嫌な顔するなって。ちょっと冗談言っただけだよ。お前にこんなもの売りつける気なんてないし、こんな阿呆らしいことはとっくにやめてるしな。だけどさ、なんで就職活動なんてするんだ?改めて聞くけどさ、お前は真面目に働きたいのか?来る日も来る日も朝早くから会社に行って、日暮れまでこき使われて、これっぽっちの金しか手にできない。社会貢献だか、自己実現だか、そういうのを俺はなんて言うのか知らんけど、それが自由で幸福な生活なのか?お前はそういう生活から逃れるがために、卒業しよ

就活準備|短編小説 前編

 ついさっきまである男の物語を読んでいた。主人公の男は元々まともな人間だったが、本の読み…

諸星颯太
2年前
10

寝言|ショートショート

 息が出来なくなるくらい暑い夏だった。  ただでさえ、無意味な訪問をする必要がない時代に…

諸星颯太
2年前
4

衝動|ショートショート

 私にはかれこれ3年以上付き合っている彼氏がいた。  彼がもともと1人で住んでいた高層マン…

諸星颯太
2年前
72

匂い|ショートショート

 私は奇妙な体験をした。    そうでなければこうして昔のことを思い返す必要はなかったはず…

諸星颯太
2年前
9

主役|短編小説

 9月も下旬だというのに、気温は30℃を超えていた。  早く秋が来ないものかと誰もがうなだ…

諸星颯太
2年前
2

深夜のドライブ|短編小説

 富士の裾野を沿うようにして流れるハイウェイは緩やかに波打っていた。走行車線をゆったりと…

諸星颯太
2年前
3

喫茶店から見える風景|ショートショート

 ある昼間のこと。  営業回りで立ち寄った取引先の近くには喫茶店があった。内装も外装も茶系の装飾で統一され、照明も落ち着いた暖かい色調だった。店内では蝶ネクタイをした姿勢の良い紳士が働いていた。外は小降りの秋雨で肌寒かった。あまり熱心に仕事をするような日でもなかったので、少しばかり温まりにいくことにした。ゆっくりすれば何かいい口実も思いつくはずだ。  ビニール張りのテラス席に座り、ブレンドコーヒーを注文した。店内には数人の男性客がいたが、テラス席は自分一人だった。タバコに