連載小説|寒空の下(1)
冷たい冬の雨が降っていた2月のある日、俺は大学の単位を取り損ねたことを知った。嫌な予感はしていたが、テストの出来具合があまりにも悪かったらしい。大学生活最後の学期にもかかわらず、卒業するのに必要な単位分しか授業を履修していなかった。3月に卒業する予定が、あと半年ほど延期になった。もしもの時のため、多めに授業を取っておけばよかったのだが、それは自分の流儀に反していた。
周りのほとんどの学生のように4月から働く先が決まっていたわけではなかったけれど、卒業したらすぐに放浪の旅