2y2m7d 鬼

カラ梅雨の週末、部屋の掃除をしていたら節分の時に買った鬼のお面が出てきた。毎年時季になるとスーパーで売ってる豆におまけでついてくる大して怖くないアレである。小っちゃな〈まー〉が凶悪な面をかぶったらそれだけで面白い画が撮れるなあと怖めのものを探していたのだけどこれしか手に入らなくて渋々買ったのを思い出した。

でもその日、帰って早速かぶってみるも〈まー〉はきょとんとして怖がらず、自分がかぶせられるのも嫌がられてしまう。肩透かしを食った僕は〈まー〉が寝たあと顔の上にそっとお面を置き一枚だけ写真を撮って自分を慰めたのだった(言葉通りの意味で)。

来年はもっと怖いのを買おうと(懲りない)捨てる前にもう一度かぶってみて登場したところ、どうしたことか今度はギャン泣きしたのである。しかも軽くパニックを起こしたように足が竦んでしまっていた。

その場で「ばあ」と正体を明かしてみてもよかったのだけど、これは後々使えるかもしれないと思い一度退散。わざわざ別の部屋で着替えて出てきてみたら、〈まー〉はソファに逆向きに座って何やら顔を伏せている。あら静か。見るとひじ掛けの生地の端を噛んで震えながら恐怖に耐えていた(この背中がかわいくて、撮っておけばよかったと激しく後悔している)。

「だいじょうぶ!まーちゃん!!」とわざとらしく大声でよしよしすると再び泣き出ししばらく離れようとしなかった。

ここで考察:
①単純に赤い顔の変な人が現れたから怖かったのか、
②このお面が〈まー〉にとって怖いと感じるデザインになっているのか、
はたまた
③「鬼」という存在かつそれが怖いものであるという認識が生まれたのか。

…③かな

というのも、すごーく悪いことをした時に「鬼来るよ!」と言うとびびってやめることに気づいたのである。間違いなくこの約5か月の間で鬼=怖いもの認識が〈まー〉の中に出来上がっている。「おに」という言葉を聞いただけで顔が引きつってしまうのだからよっぽど怖いのだろう。しつけのいい切り札が手に入ったわい



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