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若かった頃の夢

昔、昔(になってしまったが)私が若かった頃のささやかな夢。
それは、朝寝坊すること。

私は中学生の頃からずっと、大好きなおばあちゃんのインスリンの注射を打っていた。
母の仕事が‌介護士で夜勤があったから、私の仕事になった。
おばあちゃんが自分で注射は怖くて打てないって言うもんだから、しようがない。

おばあちゃんは、インスリンの注射を打たないと朝ごはんが食べれない。
糖尿病だから、食べたい病気。
私は、毎日6時に起きて、おばあちゃんに注射する。
朝寝坊は出来ない。
大好きなおばあちゃんが、朝ごはんが食べれないのだ。
時々、寝過ごして遅れても、おばあちゃんは文句も言わず待ってくれている。
遅くなりすぎると、低血糖をおこして大変だ!
お休みの日も関係ない、早起きする。

おばあちゃんは大好きだったけど、朝寝坊してみたかった。
若い頃は、いくらでも寝たかったから。

それでも、おばあちゃんには長生きして欲しかった。
ささやかな朝寝坊の夢を持ちつつ、毎日私は早起きをした。

おばあちゃんが亡くなった頃、跡取り娘の
私は母になっていた。
おばあちゃんが亡くなっても、私は朝寝坊出来なくなっていた。
子供は寝ていてくれなかったから。

それでも子供が大きくなれば、ささやかな夢は叶うことがあったが、「いつまで寝てるの!」って母に叱られた。
しかも私は、早番のある仕事についてしまった。

朝寝坊、密かにずっと夢だったが、母が亡くなって叱る者が居なくなったのに、私は年取ったのか?早くに目が覚めるようになってしまった。
今、私は、夜更かししても、ちゃんと6時には目覚めるようになった。
朝寝坊出来なくなっている。

お休みの日、午前中に都会に住んでいる長男に電話すると叱られる。
寝てるのに起こすな!!と。
羨ましい‏限りであ~る。

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