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病院のお勤め 2

二十そこそこの頃、病院に勤めてた。
もう40年くらい前の話である。

総合受付にいて、
新患・再診の受付や入院患者の案内、
時間内の救急受付や、
それから整形外科のレセプト(医療費請求)作成をしていた。
救急車からの無線の対応もしてた。

今でこそ簡単に救急車を呼ぶ人は多くなったが、
40年前には救急車は、
死にそうな時のみ頼むものだと思ってる人が多かったと思う。
救急車の台数も少なかったと思う。

遠いとこの消防署からの
救急車が来るのを待ってるなら、
直に行った方が早いって感覚で、
急患で飛び込んでくる人も多かった。

記憶にあるのは、
近くの運動場でサッカーしてて鼻を蹴られたと
飛び込んできた男の子。
ハンカチで顔を覆ってるので異常に気が付かず、
何??って尋ねたら、そぉっとハンカチ取ってくれて。
顔見て超驚いた。
鼻ってホントにゆがむんだ??って。

それから、孫の子守りしてて
少し目を離してたら孫の指が切り落ちてしまったと
慌てふためくおばあちゃんと、
泣きじゃくる孫を抱きかかえるおじいちゃん。
おばあちゃんはナイロン袋に孫の小さな指を入れてて
なんかの落とし前に指切ったみたいだから
絶対指つけてくださいと半べそである。
キレイにスバっと切れてればつくかもしれないと、
知識もないのに慰めたけど
あの指はくっついたかな??

二十歳そこそこだったけど、
何があっても冷静にちゃんと対応せねばと。
キャーア!なんて禁句である。
吐く息も声も吸い込んで、静かに。

あれでたぶん、私は逞しくなった。
図太く、肝が座ったのだと思う。
ちょっとやそっとでは驚かないのは、
元々の性格ではなかったのだよと
今頃思い出した。


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