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THINK_16/倉本美津留さん_放送作家・ミュージシャン_2012年7月28日

当時の告知資料より

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2夜連続THINK(第16回)、二夜目は、放送作家の、倉本美津留さんをお招きします。倉本さんが手掛けた番組を見たことがないと言う人はいないかもしれません。ダウンタウンの出演する番組のほとんど、(「ごっつええ感じ」「HEY HEY HEY」)をはじめ、「伊東家の食卓」「たけしの万物創世紀」「伊東家の食卓」「M1グランプリ」など数々のヒット番組を担当し、手掛けられた番組数は優に100を超えています。活動は放送作家に留まらず、ミュージシャンや作家としての活動で、CDや書籍なども発表されておられます。今回は倉本さんを交えた架空の企画会議を実験的に行ってみたいと思います。新しい番組のアイデアが生まれる瞬間に立ち会えるかもしれません。尽きないボキャブラリーや、モチベーションの原点はどこにあるのでしょう?テレビの向こう側の世界に少し触れてみたいと思います。

プロフィール
広島生まれ。大阪育ち。東京在住。
放送作家。「おもしろ言葉ゲーム OMOJAN」「HEY! HEY! HEY!」「爆笑
大日本アカン警察」NHKのこども番組「シャキーン!」など数々のヒット番組を手掛ける。「ダウンタウンDX」のトスポ、「一人ごっつ」の大仏など声の出演も多数。また、ミュージシャンの顔ももつ。「おしい!広島県」では楽曲とボーカルを担当。アルバム『躾』をビクターエンタテインメントよりリリース。ユニット“YOUに美津留”ではNHKみんなのうたに『月』を発表。
独自の言葉遊びと予測不可能なメロディー展開で、誰も見たことのない原液世界を展開している。

ーー定期購読マガジン THINK BOOK について
THINK BOOK は,読む "THINK" です.Suppose Design Office の谷尻誠が毎月魅力的なゲストを招き「"考える"ことを考える場所」として開催しているイベント"THINK"を読み物として再構成してまとめています. 多彩なゲストとの間で繰り広げられる本音のトークはここでしか聞けないヒントがたくさん詰まっています.過去100回以上に及ぶ記録資料などの掘り起こしを含め,月に2回程度,定期購読マガジンとして掲載していくので,よろしければ定期購読していただいて,皆さんの日常をTHINK するきっかけになれば幸いです.(谷尻誠,西尾通哲:共同編集)

16回目のTHINK,かつてない自由さ漂う会場

実は,この回のTHINKの現場には私は立ち会っていない.でも,この回がその後のTHINKの歴史の中においても語り草になっていることは知っていた.ゲストの倉本美津留さんは,人気テレビ番組を仕掛けてきた超売れっ子の放送作家だ.それにもかかわらず地元広島で有名な花火大会と日程が重なってしまって来場者が少なかったこと,ゲストが放送作家なのに殆どの時間をギター片手に歌って帰ったということ,ホスト役である谷尻誠が殆ど喋る必要がなかったこと,などなど.

アーカイブの映像を初めてみたとき,一瞬,目を疑った.THINKの会場は,サポーズデザインオフィスの3階にある,がらんとした,仕上げも施されていない場所だ.当初会場に必要だったたくさんの椅子は発泡スチロールを直方体にカットしただけのシンプルかつ合理的なものだが,その椅子はぴったり敷き詰めればステージのような小上がりにもなる.そして,その映像の中には,会場の中央にそのようにして出来上がったステージの上に,黒縁メガネに髭を蓄えた男が一人,裸足であぐらを組んで座っている.そして周りを見渡しながらニコニコ笑っている.そして,少し遅れて現れたホスト役の谷尻誠はその横に座って,スムージーのようなものを手に取って食べている.普通であれば,ホストがゲストを紹介して始まるTHINKだが,この回は,スムージーを食べている谷尻誠の横で,あぐらを組んだ男性,倉本美津留さんがおもむろに話始めて,会場はアットホームな笑いに包まれる.谷尻誠は横で黙って笑いながらスムージーを食べている.まだ笑い声の残る中,自由すぎる空気が映像からも滲み出ている第16回目のTHINKは,こうして開会のアナウンスもなく,あまりに自由すぎる雰囲気の中で幕を開けたのであった.

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何気ないことに気付いて”うわっ”ってなるときが最高

谷尻誠さん(以下,谷尻)
「いままでで初めてですよ,ここまで何も決めずに始まるのは(笑)」

倉本美津留さん(以下,倉本)
「なんか,決めてしまうと面白くないなと思って.今日は何で俺がここにおるんかなってことを感じたいなと思って」

そう大阪弁で返した後,完全に流れを掴んで会場に語り掛けるように話し始める倉本さん.任せとけば安心と言わんばかりに,谷尻誠は笑いながら横でまだスムージーを食べている.

大阪育ちで,今は東京で放送作家の仕事をしているけど,大阪弁を意識的に使い続けているという倉本さん,実は「生まれは広島なんですよ」とのこと.会場との距離を一気に縮める.そして,谷尻さんとの縁については,芸能事務所の共通の知人を通じて食事に行ったのが最初とのこと.

倉本:「『谷尻誠っていう面白い人がいるから会ってみて』と言われて紹介されたのが最初だよね」

谷尻:「そこで,すごい盛り上がったんですよね.言葉について話してて」

倉本:「そうそう,そうだったね」

谷尻:「子供がぴかっと光って学びになる,とか,日本がぴかっと光って楽しくなる,とか」

倉本:「そうだった,そうだった.書こか?」そう大阪弁で短く返しながら,おもむろに準備されていた大判のスケッチブックにマーカーで何やら書き始める倉本さん.

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