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DAOって何だお?身に余るイベントに会場を提供して学んだこと.

ーー「せとうち未来共創」のスタッフが接したいろんな出来事からせとうちの未来を考えるーー

2024年6月1日,私たち穴吹カレッジの校舎をお使いいただいて,DAO や web3,ブロックチェーン といった最新技術とそこに発生する新しいコミュニティ生成に向けた大きなイベントが開催されました.これが勢いで安請け合いしたにもかかわらず,予想をはるかに超えてくる重要かつ大きなイベントでして身に余る~と思いつつ,せとうち未来共創や穴吹学園のことも知っていただく機会として結果的にグッジョブだったのでは?と秘かに思っています.それがなぜ香川で?という疑問(※)もありつつ,それこそが DAO や web3 の掲げる「脱中央集権」的な大きなビジョンだということを理解し,それに関わったおかげで,少しだけ未来の社会が垣間見えた気がします.そこで,顛末記としてここに記しておきます.

(※)その理由のひとつはこういうことなのかなーとか.

経緯

せとうち未来共創プロジェクトを2023年に立ち上げて以降,事務局サイドにはこれまでにない依頼や相談が舞い込んでくるようになりました.今回は,web3 とか DAO とか,そういうことのキックオフ的なイベント会場を探している,というお話を,せとうち未来共創のサポーターの方からお繋ぎ頂きました.「はぁ,web3ですねー,DAOですねー」とか相槌を打ちつつ,ネットの記事で見たり聞いたりするけど「それって結局何なん?」というはてなマークが宙に浮いた状態にもかかわらず,信頼できる方からの相談にまずは「Yes」でお返しするのが自分のスタイル.とりあえず最先端の匂いがプンプンするし良いことあるに違いないと思って,主催の方とお会いすることになりました.

繋いでいただいたのは,Setouchi-i-Base チーフコーディネーターの伊藤さん.開催日の6/1が伊藤さんのとこではすでに受け入れが出来ない状況だったということでお鉢が回ってきたわけです.そのお鉢がムチャ大きかった(いい意味で)ってことです.この場を借りて感謝です.


DAOって何だお?

さて,それはともかく,DAO ってみなさん聞いたことありますか?最初に断っておきますが,この記事でDAOが何か,ということを僕の口から語るにはまだまだ勉強不足ですのでそこは期待しないでください.でも,断片的な情報から,ぼんやりと僕に見えてきたことは語れると思います.

DAOとは,Decenterlized Autonomous Organization (通常,分散型自立組織と訳されます)の略で,web3 時代の代表的なコミュニティの姿です.そこでは,ブロックチェーンという”悪意のある改変が理論上できない(したらすぐにばれる)デジタル台帳”を基盤に,スマートコントラクトと呼ばれる”条件が満たされたら自動的に処理される契約履行管理”を,暗号資産などに代表されるトークンを介したトランザクション(取引)が行われる場所です.こういったことを可能にするインターネット上の仕組みや技術を総称して「web3」と呼んでいるようです.こう言ってもきっと「?」ですよね.説明する私も半分くらい?です.

https://www.meti.go.jp/policy/economy/keiei_innovation/sangyokinyu/Web3/index.html

現象を説明する用語がすべて未知.これはハードルが高い.よって,僕なりに更に噛み砕くと,DAOは「居場所」そしてトークンはそこで使える「価値の中身」です.そのやりとりを信頼できるデジタル台帳が支えて,人やモノが行き来している,という構図です.

こう言われると,なにかとよく似ていませんか?地域創生で善意で人が集まったり,そこでお金の代わりに「地域通貨」がやりとりされていたり,リアルな社会で行われていることにも似たようなフレームがあります.これがデジタル化したものだと考えると,ちょっと分かってきた気がしませんか.もし,web3という前提を外して考えると,日本にも以前あった「地域共同体」「寄合」的なものをモデルとしてイメージできるかもしれません.

web3といっても,普通のインターネットとも並行しているので,特別な機械やデバイスが必要というわけでは無いようです.DAOの多くは,関心がある人たちが集まる Discord などの中でコミュニケーションが取られていますし,どんな活動をしているかも一般にも見える化されているものが多くあります.ただ,暗号資産を管理するための ウォレット(財布)をネット上に作るとかになると,ちょっと億劫というか,暗号資産大丈夫かよ?って怖気づくという人の割合がまだまだ多いのではないかなと思います.また,学校や公的な機関がなかなか腰が重いのもその辺りに原因があるということが見えてきました.

別の例えで言えば,サードプレイスって言葉がよく聞かれます.主には,自宅や会社以外の居場所としての空間(カフェとか図書館など)のことを言いますよね.DAOはリアルとデジタルをまたぐサードプレイスとも言えますし,DAOがこの4月に日本で合同会社型のDAOが解禁されたことを受けて,新しい居場所,新しい活動拠点としてにわかに盛り上がってきている,という背景があります.

うわー,ぞくぞく来場!

それで,6月1日の開催に向けて,主催である「共創DAO」のマックさんと打ち合わせをしました.

マックさんはまだ若き弁護士さん.実は,数か月前までは合同会社型DAO実現の法整備を進めてきたチームのメンバーでもあるということで,東京から数か月前に高松に移住して来られたとのこと.DAOの思想である「Decenterlized:分散型」という言葉には「脱中心」という意味もあり,東京でなく魅力ある地方でこそ DAO のプレイフィールドがあるということで,この地を DAO でさらに元気ある地域にしていきたいとの思いが言葉に乗ってバシバシと届いてきます.そして受け入れ態勢などについても具体的
に打合せし,当日を迎えます.

「東京とか,海外からも集まってきます」という話に,内心「またまた~」とか思っていたわけですが,当日ふたを開けてみると…

名古屋から高校生がピッチ,シンガポールから,東京から,大阪から,近隣の徳島から,そして地元の香川から,70人を超える関係者や関心のある人たちが集まり,同時配信されたオンラインでも50人以上が視聴するなど,会場いっぱいになるほどの盛り上がりを見せたのでした.
(私は当日広島に用事があったのでオンラインで参加することになり,写真は現地参加者の方に送っていただいたものを掲載しています)


これが「ピッチ」ってやつね

イベントは4時間に及ぶ内容が濃いもの.ピッチあり,パネルディスカッションあり,実際に DAO に加わってトークンを受け取って投票するワークショップまで,この一日で DAO や web3 の可能性を垣間見るには十分すぎる内容で,こんな社会やコミュニティが回ってくと,世の中はどんどん面白くなるだろうな~と思ったのでした.

それにしても,それぞれ参加者の方々が自分たちの DAO についてのピッチを浴びながら,こういったピッチは学生にも経験させなきゃな―などと半分冷静に分析してみたり.自分でも会議の場で「ピッチである」ことを意識して話すと良いかもな~と考えたり.

特に,名古屋から来場した 「100万人DAO」について高校生が熱いピッチを繰り広げる姿を見て,おじさんは日本の未来は思ったより明るいかも?と感じたのでした.

せとうち未来共創の未来はDAO?

とにかく盛りだくさんのイベントでしたが,僕の頭に去来するのは,こういう新しい技術や動きを,どう学生に対するベネフィットとして提供できるのかなということです.イベントから数日経ちましたが,縁をいただいたマックさんとも,私たちが出来ることを模索していきましょうと引き続き情報交換してくことになりました.

ぼんやり思い描くのは,せとうち未来共創も,広い意味では「学びのコミュニティ」と定義しているわけで,DAO という仕組みと相性は良さそうです.金融的な取引をどうしていくかはまだまだハードルが高いですが,既存のDAO から学べることは多そうです.

マックさんによると,まだまだ上記のようなハードルがあるためか,既存の大学や教育機関が全体で DAO と協働していくケースは少ないのだとか.そういう意味では,この縁がもたらす果実(それが瀬戸内レモンのようにフレッシュで魅力的であることを!)を夢に描きながら,今出来ることから連携を始めていきたいと思います.

ひょっとしたら,数年後には「せとうち未来共創プロジェクト」は DAO としての側面を持っているかも知れません?もちろん現時点では何とも言えませんが,可能性はあると感じています.

あたらしいデジタル経済圏は何をもたらすか

この数か月で,DAO や web3 のことを少し学ぶことが出来ました.そこから考えるのは,DAO が,現在の社会人でもボランティアやプロボノとして,あるいはサイドジョブ的な意味でいろんなコミュニティと関わっているケースを大きく取り込む技術に育っていくのではないかという期待があります.その場合は,これまでの日本社会の構造が持っていた「一つの会社に属することで身動きが取れない個人」ではない姿が見えてきます.複数の DAO に関わることも普通にあるでしょうし,いくつもの自分を持つことができるようになるでしょう.それは新しいデジタル経済圏の地平です.一方で,現時点ではまだまだ 暗号通貨間のエクスチェンジが限定的だったり,複数あるブロックチェーン技術の「勢力争い」的な側面もあったりで,分断や断絶を生む可能性が否定しきれない側面もあります.ただ,AIと同じように,web3 も「道具/ツール」のひとつに過ぎません.よって,それを使う人々がどう使いこなすかが肝心で,いろんな問題があるとはいえ,特定の権力ある企業や個人が決定権を持つのではなく(持つことが出来ず)現実と並走するレイヤーで民主化される社会というその根底の思想に可能性を感じています.

こういう新しい動きを,せとうち未来共創でも紹介していきつつ,新しいことにチャレンジ精神旺盛な若者を輩出できればと思っています.


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