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【詩】剥離



ほんのり冷たい床に
酷く傷つくような夜だ
秒針に心を急かされて


雨でも降れば眠れたろうに
隣家の車が渇きを知らせる
アルコールじゃダメなんだよ


ひび割れた指で引き裂いた
吐息すらザラついてるんだ
閉じた瞳すら乾くとは


癒着した体を引き剥がしたら
肉が骨からこそげ落ちよう
ここから動けない
溶けた方がマシってことだ
こんなときは塩酸かな
いっそ一つになりたいんだ


時間を止めよう
そしたらくっついていられる
冷たさに足を持ち上げることもしなくていい
こうしたかったはずなのに


あとどれだけチクタクを聞けばいい
こちとらカチコチになっちまう
止まらないし剥がせないんだ


その気がないのはわかってるんだ
受け入れてやっているのに
受け入れてはくれないんだ
離れてくれ 
骨と臓器になるんだとしても
潤いはない 離れてくれ 


その気がないのはわかってるんだ
鼓動が体を軋ませる
床が酷く冷たいんだ




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縋る女の子を受け入れて、どうする気にもなれず、突き放すこともできず、突っ立ったままただ時間だけがすぎる。
そんな感じでしょうか。

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