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【ゆるく書くブルアカ】最終編-3「ブラックボックスと向き合うには」

マジですかこれは。
と、言いたくなるほどに圧巻で、ロマンで痺れるような、それでいて胸を締めつけるような物語。2/22に追加された最終編3章の総括となります。

話としては、虚妄のサンクトゥムの撃破後、再び色彩の力が襲来します。その大元を絶つために高度75000mに位置する箱舟への直接攻撃へのアクションを起こし、それが次なるフェーズへと移行するまでが今回のシナリオの大枠です。
今回のキーワードは「二つ目の古則」である「理解できないものから、理解を得ることはできるのか。」
またもや多数の表現や比喩を用い、この言葉を背景に物語の流れがリンクしていく様が正直めちゃくちゃ好きで好きで。

二つ目の古則

「理解できないものから理解を得ることができるのか」

一見するとこの文は目的語のないことからもわかるように、何かを読み取るのは不可能にも見えるわけですが、それらの空白に何を当てはめたか、ということが物語の様々なシーンで描かれたわけです。

たとえばエンジニア部の中での宇宙戦艦の分析は結局のところ、インターフェースとアウトプットのみ理解して仕舞えば、あとは詳しい内部を理解できなくとも扱えるというテクノロジーの一長一短な点を表すシーンです。これがいわゆるブラックボックスであり、理解できないものの例でもあります。
けれども彼らは理解できないものから一定の理解を得ました。それによって、今回のキーストーンである「ウトナピシュティムの本船」が動いたわけです。

そしてかつてリンと連邦生徒会長のその文に目的語を入れて交わした一つの言葉、「理解できない他人(もの)から自分の理解を得ることができるのか」という文言が3章の根幹に繋がり、それのターゲットになったのがパヴァーヌ2章より続くリオとヒマリ、リオとアリス、さらにはアリスとケイです。

まずは王の寓話、神託を受けたが故に国を滅ぼしてしまったというお話は直接的にリオ会長と重なります。パヴァーヌ2章での事件ですね。
そしてリオの再登場、それによってヒマリの怒りとアリスの優しさがその事件後を埋めるように言葉を紡ぐのですが…ここはヒマリがいい意味で「らしくなかった」振る舞いと言葉遣いでしたね。

いつもはどことなく俯瞰的に、全てを知るが故の言動もアクションもとれる彼女が、ほぼ一方的にヒマリはトキの周りのことでリオを怒ったわけです。
彼女のパーソナルな部分での私的な見方故か、対等な関係性であるが故か、はたまた。色んな意味で新鮮なところでもあり、人らしいとも受け取れます。

リオ会長も最終編以降のある程度の流れを把握していた、わけなのですがいかんせん今回の登場の仕方が、怒られ慣れてない人のいかに怒られずにこの場を乗り切るかのようなパターンでもあったし…ヒマリもまあまあどぎついことを言いますしで…

自己肯定感の高さを持つこともあり最善を求める姿勢に長けたヒマリと危機感と合理性を軸に最悪を想定し尽くすリオ。互いに理解できない存在であることからのぶつかり合い、異なる価値観と正しさを持つことからの言い合いは二つ目の古則にも重なります。

勇者の条件

そしてアリスとリオ、アリスとケイに関してはずっとアリスが大変な役目を背負い続けました。特にアリスとケイには「理解できない他人から自分の理解を得ることができるのか」という文言がピッタリと当てはまるわけです。

アリスは自身のことも理解できないままにケイの拒絶をパヴァーヌ編での最後の一幕で行いました。しかしその後、彼女も多く考えるきっかけを掴んだと言えるのでしょう、その中で過去に多くのタグ付けをなされたアリス自身がケイを通して自分自身にどのような理解を得たのか。

それはアリス自身もまたブラックボックスであり、理解できないままであってもアリスでいられたこと。ケイもまた苦しみの中にいたのではないかということ、そして自身にどんなラベリングがされていてもなりたい存在へと変われることの再確認であったのです。

そしてその心をもとに生まれた「箱舟」は彼女の勇気を表し、そしてそれが世界を救う武器になって……そして、それによって彼女たちを待つ結末…。

箱舟とは人の心をもとに生まれる概念の付与に他ならない

非常に余談なのですが、今回のサムネにもしたこの画像(↓)、初出が2021年のリリース前のティザーPVなんですよね…。まさかの回収には驚きしかなくて、いったいどこまで考えていたのやら。

そしてリオ会長との会話でも彼女は世界を救うことを目指す彼女らしい言葉でリオ会長を勇気づけるわけですが…特に会長ではなく、先輩とだけに留めたところは王であるがゆえに、という結論にも至ってしまった寓話の一つの解を提示してくれるわけです。
アリスがただただ光属性の勇者になりつつある。すごいんですがこの子。

今後について

さてさて、それで終わらずにまさかの展開を突きつけた3章最終盤。
逆襲により窮地に陥った先生と生徒に待ち構える箱舟陣営。

プレナパテスの正体と所持物、そして現れるもう一人の「彼女」(3rd PVからヒント見つけてた人天才かよ)。そしてシロコ・テラーの言動から考えると、おおよそ彼らに待ち受けていた「結末」がいかに悲惨なものであったかは想像がつきます。ですがそれをこちらに押し付けてくる理由がいまいちピンとこない、というよりは釈然としない。そしてこの着地点、つまり終わりが分からない。4章に期待するしかない。
パヴァーヌ編が主眼になるとシナリオが結構な割合でロマンを見せたいという方に振り切れるの、私は結構好きです。

「これ本当にあまねく奇跡の始発点なんですか?」と言いたくなるくらいには訳分かってないことばっかりですが、ここまで最終編がカルバノグ→エデン→パヴァーヌときているのでいよいよここからが大詰めです。果たしてその行方はいかに。

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