対戦形式ゲームに必要なのは「育成」か「操作技術」か
どうも、再びゲーム関連で自分の考えを深めるために書かせていただきたいと思います。対戦できること、戦うことを機能に持つゲームというものがいかに多いかというのはみなさんが知られている通り。
CPUとの対戦にしろ、対人戦であるにしろ、大きくそれらを構成する要素としてあるのは2つ、育成か操作技術だと思います。
育成というのはもちろんキャラクターや戦う存在を強くする工程のことです。レベルアップやアイテムによる、構成するパラメーターの増加が主になります。
対して操作技術は対戦中に起こる事象の操作、キャラクターの移動、攻撃や防御の指示、あるいはその操作を出すための技術や戦略など、臨機応変にゲームに対応する能力のことを指します。
この育成と操作のバランスが対戦形式ゲームのさまざまなバランス、環境を生み出すと言ってもいいかもしれません。
簡単な例を挙げましょう。スポーツを題材にしたゲーム、その中でサッカーというものを題材にするとき、その表現の方法は様々ですが、何を思い浮かべますか?
「ウイニングイレブン」「FIFA」といったサッカー選手を操作し、試合を行うもの。「カルチョビット」のようにクラブと選手の育成を主とするもの。「イナズマイレブン」のようにRPGチックに進むものなどさまざまなものが連想されるでしょう。
これらのゲームを育成と操作のバランスの比率で分類すると、こうなると言えます。
同じサッカーを取り上げるにしても、かなり考える上でのシステムに違いが出るわけです。
試合での勝利をどういう側面でアプローチしていくのか、サッカーをどういう側面で見ていくかをゲームにしていくのはその開発者がどういうところを面白いと思うのかで変わっていきます。
実はウイイレなどにもカルチョビットなどと似たような形を模したシステムを再現することは可能ですが、それはゲーム自体の自由度の幅が作り出すものだと考えてよいはずです。
ウイイレやFIFAなどのシステム特有の点、固有の面白さはやはり精密な3Dモデリングなどを駆使したスター選手を操作できること、リアルなスタジアムの中で緻密なサッカーを自分の手で作り出すことだと言えるでしょう。
このように対戦形式における育成と操作の比率を変えるだけで様々なゲームを考えることができます。では育成と操作、それぞれにおいての特色とはなんでしょうか。
育成はステータスの差を補ったり、個性などを伸ばすといったりしたことを時間とレベリングなどの行動で行っていきます。
この工程には多くの場合にプレイヤーの素養はあまり左右されない傾向が強いです。時間をある程度かければ誰でも強くなりやすい、参加しやすい工程ではあります。
これはそもそも育成という形式がRPGなどをベースに考えられ、ストーリーの中でゲームの難易度を自然と上げていくことが必要になるため、育成の工程は単純に時間を要すればある程度誰でもクリアすることができるように設計されるものだと言えるでしょう。更にターン制であるため、ある程度考える時間があったりするのも大きな特徴です。
しかし、最近はこの育成を対戦形式に持ち込む中でさまざまな工夫が凝らされるようになりました。
一つは育成項目の多様化です。単にレベルを上げるのではなく、様々なパラメータの採用や特性やアビリティの追加で考えることを多くすることが結果として複雑さを増し、それでバトルの奥深さを創り出していくような形です。
もう1つは限られた中で選択をさせることです。スキルや技の採用に限りをつけ、一定のスペースや時間を設定することで競技性を持たせていく方式です。
技の設定、限られた選択肢の中でプレイヤーの判断、対応力に委ねていくことで競技としての形式を作っていきます。
RPGなどの育成式の対戦ゲームの代表として挙げられるのがポケモンのレート戦、世界大会などの公式大会でしょう。レベル50固定とし、ステータスはプレイヤーが設定できる努力値や性格での補正のみに左右されます。
手持ちは6体、シングルであればその中から3体を選ぶ。技の設定は4つ。将棋のように技の選択には持ち時間による制限があり、メガシンカやダイマックスは1体のポケモンのみに制限されたり、3ターンのみになったりとある程度の制限を設けることでその中で戦い方をユーザーが編み出していくことや、ポケモンの持つステータスと道具の組み合わせ、フィールドの効果なども考慮する複雑高度なバトルシステムを作ることでバトル環境が停滞しすぎないことや理解を進めすぎない、考えが一辺倒にならないことを狙います。
操作優位の環境がもたらすのはこれよりももう少し厳しく競技化されたものだと言えます。
ボタン操作、コンボの動き、一瞬で切り替わる映像への反応に関わる動体視力や瞬発力は基本的に人によって大きな差異があり、育成式の戦略の判断のようにある程度テンプレートになっているわけではないので、簡単に向上できるかは分かりません。
だからこそ、基本的にe-sportsと呼ばれるものはこちらに該当することが多く、プロプレイヤーというものが多いのもこちらの形式です。
FPS、MOBA、格闘ゲームなどといったジャンルは常に変化する戦況や相手の心理や作戦をどう捉えて、対応するのか、自分のスタイルを貫くのかという点が大きく成績に作用します。より求められる点や理解すべき知識が多いと言えます。
そういう面でスポーツと似通う面が大きく、e-sportsと呼称されるわけです。
ちなみにこれ以外の形態にカードゲームもプロプレイヤーが多くいる分野ですが、カードのデッキを組むのはどちらかというと限られた中で強さを高める育成的面もありつつ、盤面や次の相手を手を読むシビアな展開などややボードゲームのようにその場の判断が左右される部分でスポーツ的、将棋やチェスと同じように考えることがあるでしょう。
このように、それぞれが発展していったシステムを見ていくと、対戦形式の中でも、結果としてシステムの理解や操作技術などが洗練されていく、高度化していくことを仮定すると、操作優位だったり、育成式でも状況の複雑化、高度化の波には乗ることになると言えるでしょう。しかし、あまりに高度にしすぎることが却って、ユーザー間での差を生み出すことにもなりかねないかもしれません。理解への難解さが新規参戦のハードルを高くすることを引き起こせば、結果としてコンテンツの寿命が縮むこともありうる中で、ゲームをデザインすることで、体験をどう捉えるのか、どういうゲームを作るのかということで今後とも考える部分が大きそうだと言えます。
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