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【えーる】夏越の大祓

少し時をさかのぼることになるが、6月27日に、故郷の神社に茅の輪(ちのわ)が備え付けられた。その名前のとおり、茅で作られた輪である。

この輪に関連するのが、タイトルにもある「夏越の大祓」だ。
この神社特有のものではなく、神事としてそれぞれの神社で行われている「大祓」という神事のうち、6月に行うものをこう呼んでいる。タイトルにも記した「夏越の大祓」というものが、それにあたる。
この茅の輪を回りながら祝詞を唱えることで、心身の健康を祈願する神事だ。

10年以上前に、しかも期間後に別の場所で展示されていたものを撮影したきりであったから、今回改めて取材することにした。とはいえ、結局地域情報紙には別のネタを使う予定になったので、こうして公開したい。

こうした神事も、神社が存在するだけでは行うのはかなり難しくなる。人間がくぐれるほどの大きさの茅の輪を組み立てること、それ以前に、それだけの輪を作る材料を集めること、どれも氏子を始め近隣住民の力がなければ、そうそう簡単に行うことはできないものだ。実際に、この茅の輪も近隣の住民が力を合わせることでくみ上げられたものなのだと聞いた。時期としてはわずかに一週間程度のものであるが、大きな労力を持ってこの場に姿を現すものなのである。

そんな茅の輪を、雨の中カメラに収めるために、神社へと足を運んだ。
ちょうど雨が止んでいたときだったから、近くにあった立て看板を見て作法を学び、さっそく実践してみる。
とはいえ祝詞はなしで、くぐる動作だけの半端なものであるが、誰かにくぐってもらうために存在している輪であるから、せめてもの礼儀である。

毎年6月にある行事とはいえ、過疎の町では今年会った行事が、来年も同じように行える、という保証はどこにもない。
いつかはこの作業に自分が加わるかもしれない。だが、今年はただ完成品を眺めるだけだった。
直接的に「作る」という作業に加わっている身ではなく恐縮であるが、せめて今年は、この神事を忘れないためにシャッターを切りたいと思う。

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