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#19 リクルートスーツを一度も着なかった話

題名の通り、私は就職活動中に一度もリクルートスーツを着用しませんでした。また、髪色を2年以上ピンク色にしていたのですが、そのヘアカラーのまま就活に挑んでいました。この文章だけ聞くと問題児・天邪鬼だと思います。しかし、私にとってそれは大切にしたい何かでした。今回は、リクルートスーツを一度も着ずに内定を獲得した話を紹介します。


私が考えるリクルートスーツ

そもそも私はリクルートスーツが「着たくなかった」わけではありません。私がたまたまリクルートスーツを「選ばなかった」だけです。私は、リクルートスーツとは、着なければならない就活服ではなく、就活時に着ると便利な服だと考えています。例えば、何百人が選考を受けている中、自分が見せたい特技や性格などをいち早く届けるためには、視覚的な情報を少なくしておくと効果的でしょう。また、リクルートスーツを身に纏うことが、就活への切り替えのポイントになることもあるでしょう。自分が意図していない印象を与える可能性を少しでも減らすことは、自分自身にとっても企業側にとっても好都合な場合が多いです。リクルートスーツや黒髪は、自分を不必要な攻撃から守る方法のひとつだと思います。

私の選択

黒髪やリクルートスーツが、簡単に自衛できる手法であると分かった上で、私はピンク髪にお気に入りのファッションを選択しました。また、証明写真も黒髪にリクルートスーツでは用意せず、本人確認に必要最低限な写真をスマホで撮影し、提出していました。私はピンク髪の自分が大好きでしたし、カラフルなお洋服を身に纏うことがやる気へと繋がったのです。この選択をしたことで、私が主張していたのは以下のことです。

・見た目への偏見でどのような経験
馬鹿にされた経験から人一倍先回りしてコミュニケーションをとっていたことや、不利益を得てもめげなかったこと。そして偏見をポジティブに変換すること。
・リスクを選んででも伝えたいポリシー
就活でこの選択をすることへの考え方。多数派の格好は「できない」のか「今はしていないだけ」なのか。
・リスクをカバーできるような努力
数字として評価されるものは全て満点を選ぶことや、学生時代どのようなことをしてどのように評価を得ていたか。現在進行形で力を注いでること。
・企業にどんな影響を与える人材になるのか
得た経験やこれからの選択で、自分をどう表現してどんな視点で社会貢献へとつなげるのか。多数派の選択をする可能性や、柔軟性について。

これらの事柄を、面接官の質疑への回答に織り交ぜたり、選考時に自ら述べることで、ただの派手な選択では終わらせませんでした。(「黒髪、スーツで参加すること」というルールを提示されていない企業に対してのみの選択です。)

大きな"リスク"

どんなに信念があってどんなに文脈を整えていても、人間が1番最初に受け取る視覚的情報でわざわざ目立ったことをするのは大きなリスクを生みます。就活に当たり前に求められているものができない子、暗黙のルールを配慮できない子、時には「ただ変な子」だとして評価を受けるリスクが大きく存在しています。この選択に興味を持ってくれる企業もありましたが、ある企業には「いつまでもそんな選択をしていたら、就活する気あるの?って思いますね」と、面接の始めから言われたこともあります。何も触れてこなかった企業の中にも、もしかしたら減点していることもあるかも知れません。

なぜ"リスク"の選択を?

最初に述べたように、リスクを減らすための選択として、黒髪やリクルートスーツが存在していると思います。自分が見せたいものへの曇りを無くすためには、とても便利です。しかし私にとって「見せたいもの」とは、ピンク髪にカラフルなファッションだったのです。人それぞれ、どう評価されたいか/どう捉え間違えられたくないかは異なります。私にとって、日頃から自分を晒してきた偏見の経験は、まさにどう評価されているかそのものでした。だからこそ、そういった自分の選択した生き方が、今の自分をどのように形成し、どんな就活を選択しているのかを、見た目を含めて伝えたかったのです。例えば、留学や海外経験を主張したい場合、国旗の画像が並べられると想像しやすいでしょう。私の場合、見た目が自分の信念や自己PRにつながるひとつの方法でした。

リクルートスーツは着るべきか

正直「自分次第」です。そもそも見た目の情報が、自分の自己PRや伝えたい内容に全くつながらない人もいるでしょう。そういった人は、服装や見た目を選ぶ時間と労力を無くすためにも、黒髪リクルートスーツを選択することが、その人にとって好都合だと思います。私と同じように、リスクをとってでも自分を着飾らずに表現したい人は、そのリスクを選んでいる自覚と、問い詰められたときに自信を持って答えられる姿勢を持つべきだと思います。自責で選んだ選択でどんな不利益を得てしまっても「企業と私がミスマッチだったことを知ることができた!」とプラスに考えられる人は、選択肢を貫く方法が向いているのかも知れません。私がもし就活生に戻ったとしても、過去と同じ選択をしているでしょう。それくらいの確固たる信念がある場合は、リスクや逆風を自分の活力に変換できる力があると思います。自分の優先したいことに合わせて、リクルートスーツを着るか着ないかの選択をしましょう。どちらが正しいかは私にもわかりませんが、自分が選んだ方がその時の正解であり、自分の選んだ方を正解にできるのは自分自身のみです。

まとめ

自分が1番自分の味方であり、自分が闘う相手は自分のみです。その自分が選びたい選択肢は、どんなに過酷な道になったとしても、信じ許してあげるべきだと私は考えています。リクルートスーツを着なかったから内定を獲得できたわけでも、ピンク髪だったから内定を獲得できたわけでもありません。私が私自身を分析し、自分にとって最善だと考えられる選択を肯定し、相手にとってわかりやすい伝え方を意識した、ただそれだけです。皆さんにも、自分が1番納得できる形を選び、そんな自分を許せる心を持ってもらえたら嬉しいです。

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