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いま、生きているということ❷〜急変〜

2月9日(日)

薬も効いて来たのか、朝から気分も良くトイレにも行くことが出来て、前日から寝こんだ甲斐があったなという感じ。この日は奥さんがお出かけだったので娘とランチで浅草の街をぶらぶら。

夕方まで体調も悪くならず、なんとなくもう大丈夫な気分。でしたが、夜また体調が悪化してやはり発熱。身体を風呂で温めて布団に入り込んで眠るも、かいた汗で身体が冷えて目が覚めたり急な便意で起き出してトイレに籠るなどの症状が続き熟睡出来ず。
一進一退。

2月10日(月)

この日は朝から体調が優れず、出社はせずに在宅に切り替え体調優先で仕事を進めました。やはり、安静は大切なんですね。だいぶ薬の効果も出てきて体調も復活して来ました。夜は発熱もなし。

2月11日(祝火)

夜もぐっすり眠れ、体調も回復傾向なので奥さんのアドバイスもあって軽く近所をジョギング。
トイレが不調なのは運動不足なのでは無いかということで。久々の運動の汗は気持ち良かったです。
体調もだいぶ良いので、夜は、僕の参加しているコミュニティの会合へ。
無理して飲んだりしないで、セーブ気味でしたがお酒も美味しく飲めて話も弾み、明日の病院行きなんて全く考えないくらい楽しい時間でした。
もう、治ったかのような感覚。

2月12日(水)

朝一番の診察だったので、出社準備をして病院へ。体調の改善を報告して検査の結果を聞いて、なるべく早く病院を出て昼前にはオフィスワークを開始して、夕方の新宿での会議に出るつもりで問診を待ちました。

名前が呼ばれ部屋に入り、これまでの経緯と今の体調を手短に話し、検査結果を聞いて帰ろうとすると、先生が紙をファイルから出しながら切り出しました。

「まず血液検査の結果なのですが正直あまり良くありません。このCRPという炎症反応を表す通常0〜0.3の数値が8.9という高い結果を出していて、さらに、白血球の数も爆発的に増えています。これはあなたの身体のどこかが、なにかの炎症と闘っている証拠です。」

「続いて、CTスキャンの画像です。」
腹が輪切りになったレントゲンの様な画像がPCに映り、先生がマウスをクルクルいじると、胸の肺あたりの画像から下に移動して大腸が映し出されました。

 「ここからが、大腸の一番下で直腸と言われる部分になりますが、ここだけ大腸壁が全体的に白く膨らんで映り腫れています。周りに白い豆のようなものがリンパでこれもあまり良い状況ではありません。あくまで血液検査とCT画像だけなのですが、最悪で直腸ガンという可能性もあります。この広がり方を見ると進行している可能性もありもしかしたらステージ3くらいかもしれません。当院ではその場合の対処は出来ず、もしもの場合時間勝負かもしれないので、至急その後の処置が出来る病院を探してご紹介します。」

え?

あとは、バタバタと看護師さんが、東大病院、永寿総合病院、三井記念病院をリストアップし、僕のスケジュールと先方の受けの状況を確認して、永寿総合病院に決定し、診察をしてくれた先生の紹介状やCDロムなどを整理して持たせてくれました。

僕は正直あまりの変化でよく解りませんでした。
いきなり自分の腹わたがガンに侵されているかもしれないと言われても、嘘だとしか思えませんし、現実感が湧かず、看護師さんと冗談を言い合ったりして、逆に、もしかしたらとても冷静に見えたかも。

待合室で今後の話を病院の方としたり、合間に仕事のメールを対応したりしながら、ちょこちょこ直腸ガンについても調べてみました。
"直腸ガンステージ3〜4  5年生存率  20%"
あ、これ、ヤバいヤツかもしれない。

とりあえず、僕は代々木の帽子工房で仕事中の奥さんに電話しました。
「今日仕事は予定通り18時くらいに終わるの?俺も新宿で仕事終わりだから一緒に帰らん?いや、娘がいないとこでちょっと話があるんだよね。大丈夫?ありがとう。じゃ、18時に新宿で。」

つづく




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