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おかえりなさい           ボス❣️

 ちび太のその後の様子を教えて、というリクエストを、或る友人から頂いた。

 私は目下、仕事でロンドンに長期出張している娘の愛猫ちび太を預かって、面倒を見ている。 
 彼は利口だが、挑戦的なオスネコ。 始めの頃は、私を新参者とみて馬鹿にするので、信頼関係を構築するために、私がいろいろ工夫やこころ配りしていたことを、その友人は知っているので、ちび太に親しみを感じてくれているらしい。

 私は育児の甘やかし戦術で、彼の要求を尊重していたら、お互いに気持ちも読み合えるし、言葉もかなり通じるようになった。私が何処にいて何をしているかを、いつも気にしているようで、自分の要求を私の行動に合わせて出して来るような節もあり、なかなか良い関係になったと思っている。
 ただ、私に抱っこされるのは嫌いなようだ。ちび太は持病があると聞かされているから、お医者さんに連れて行く時は困るなぁ、と思っているが、幸いにも今のところその機会はない。
 野性の本能の赴くまま、好きなように生活させているのが、発病予防には最も効果があるのだろう。

 今、私の最大関心事は、まもなく一時帰国するボス(飼主)とちび太とが再会する瞬間の風景。

 諺に、犬は3日飼うと3年主を忘れないが、 猫は三年飼っても3日で忘れる、というのがある。 これは日にちはただの言葉のあやで、記憶とかの話ではなく、唯我独尊然とした猫の性格を揶揄したものとは思うけれども、実際はどうなのだろうか。

 もっとも、主の不在は今回が初めてではない。 キャットシッターに毎日短時間来てもらうだけで、1ヶ月ほど留守番をしていたことはある。しかし今回は、飼主が突然消えてから、15ヵ月もの月日が経っている。はたしてちび太は、可愛がってくれていた自分のボスを覚えているのだろうか?

 彼は、何か気に入らないことがあると、ボスの仕事部屋へ逃げ込んだり、ベッドの下へ潜り込んだりする。暑いのにその部屋の前で長々と寝そべつて、私が側を通ると引っ掻いたりじゃれついたりする。
 ちび太の飼主とその姉とは声が似ているせいか、たまに訪れる姉にはおとなしく撫でられたり、抱かれたりもする。

 私が外出から帰って来ると、ちび太は、玄関でじっと座っていることもある。これは誰の帰りを待っているのだろうか。
 彼と彼のボスとの再会の光景や如何にと、胸ときめかせて娘の帰宅を待つ私がいる。


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