hello like before
高校のころに番長がいたのです。
番長がいるような学校だったのです。
入学してまだ数日のころ。
名前もまだ覚えていないクラスメートから
「昼休みになったら、全員廊下に出てくれよ。茂樹君が呼んでるからよ。」
そんなことを言われたのです。
「これから毎月茂樹君に渡すから、俺のところに金持ってきてくれよ。」
そんなことも言われたり。
名前も知らない彼によると、茂樹君は番長でこの学校を納めている人らしいのでした。
千葉県立の高校でしたので、てっきり千葉県が納めてるのかと思っていましたが、茂樹君だったのです。
流石高校だなと考えました。
大人の香りがしたのです。
昼休みに廊下に集まると、茂樹君とその仲間たちがいました。
竹刀を振り回しながら入学数日の僕たちに
「お前ら最近たるんでるんじゃねーか。」
そんなことを言いました。
入学してまだ数日でしたので、たるんでる暇がなかったのです。
大変な言い掛かりなのです。
流石高校と感心したのです。
これが大人の矛盾かと思ったのでした。
お金は納めないことにしました。
千葉県に納めていたからです。
定期的に廊下に集まるようにも言われたのですが、お断りしました。
休み時間だからです。
それでも何か言われることもなく。
呼び出されて怒られたりすることもなかったのです。
茂樹君は、あれからどうしたろうかと思いました。
どこに進学したのかと。
就職の経歴に
「高校のころ番長を務めていました。」
なんて書いただろうか。
そういうところなんです。
僕にはそういうところもないのです。
顔も忘れてしまった茂樹君を思います。
僕は最近、たるんでるんじゃないかと思うのです。
たるんでいると良いなと考えたのです。
コーヒーは苦いし、朝晩は寒いのですよ。
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