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不思議な焦点距離レンズ PENTAX-110 70mmF2.8

 PENTAXは変な焦点距離のレンズを作りがちで、現行品も31/43/77mmは有名なところですが、昔から150mmとか30mm、120mmといったものもありました。

 しかし、どうもマイクロフォーサーズには、従来の常識に囚われない不思議な焦点距離のレンズが結構ある。
 15mm(換算30mm)はLeica DG Summilux 15mmF1.7、60mm(換算120mm)もM.ZD 60mmF2.8マクロが、150mmもM.ZD 75mmF1.8があります。
 なんということだ、PENTAXの独自性が。

 だがまだPENTAXには隠し玉がある。
 オート110用レンズに、70mmF2.8がありました。ライカ判換算140mmの単焦点。
 PENTAXにはAPS-C用の70mmはあるものの、換算しちゃうと105mm。
 マイクロフォーサーズに70mmの単焦点はないみたいだ、フルサイズ用140mmも、APS-C用93mmというのも聞いたことがない。
 よし、PENTAXの独自性は保たれた。意味はないけど。

スペックなど

 今回なんとマニュアル付きで入手できちゃって、見るとレンズ構成図が書いてありました。見たところ5群6枚のようです。
 (凸凹)凸凸凹凸、という構成になっていて、エルノスターの前に張り合わせレンズをつけた(タクマー135mmF2.5にある程度近い)ような感じのレンズです。

 重量160g・全長51mm・最大径50.5mmというなかなか堂々たる、PENTAX 110システムの最大望遠レンズです。
 このシステムはF2.8でしか作れないから、望遠としては大口径になっちゃう。絶対的サイズはともかくシステムの中では最も堂々たる巨大さ。マイクロフォーサーズのボディにつけても小ぶりなくらいですけど、Auto 110につけたらね。

 キャップは、Φ51の被せ式がついてました。51mmなんて数字に面食らいましたけど、これは外周サイズで、フィルターとかキャップはPENTAXおなじみの49mmが使えます。
 フードもきれいなのがついていて、当たりも塗装剥がれもまったくない。
 フードつけるとキャップが使えなくなりますが、55mmのキャップが一応使えそう。結構ゆるいですが。

実写

 どうもマウントアダプターがそんなに良いものじゃなくて、なぜかこの70mmを取り付けると遊びが出て、1mmくらい回せてしまう。
 多分微妙に歪んでて、広角レンズだと画面左側がかなり甘くなっちゃう感じですが、まあこれは望遠だと軽微になるっぽいか。18mmだと結構厳しいんだよな……。

 PENTAX-110レンズは絞りがボディ側だったので、マイクロフォーサーズで使うと開放だけ。絞れる仕組みを組み込んだマウントアダプターが存在したのかもしれないけれど。
 でまあ、ピントを合わせたところは等倍でも別に十分写ってるなあってくらい。いつものやつですね。

 最短が1.5mで、やっぱりもう一声ほしい感じがしちゃうな。
 そしてボケもぐるぐるするような。

ここから見えるところはすべて私の国です、と説明するせんと王。

 このサイズだとわかりにくいと思うんですが、ちょっと後ボケは硬そうかな。バブルボケっぽくなるかも。確かエルノスター型の中望遠はそうなりやすいっていってたかな。

 遠景はだいぶしっかり写ってますね。当時のフィルムの性能よりだいぶ余裕あったんじゃないか。さすがに周辺はちょっと甘くなるんですが。

 フードついてきてたんですが、さすがにつけるとうすらでかいので外してました。で、この豪快なゴースト。
 この頃すでにsmcはやってたんですけど、110レンズにまでは採用されてません。やっぱどのレンズも逆光だとこんなん出がちですね。

 西大寺の近鉄百貨店、多分1972年に建てたときのエレベーターがまだ残ってるのかな。この昭和な装飾いいな。
 ちょっと周辺光量も落ちてるか。絞れないからそこは仕方ない。

 ここから別の日。歪曲収差はあんまり感じませんね。

 なんだか立体感というか奥行き感というか、そういうのが妙に弱い感じしちゃうかな。
 たまにそう感じるレンズがあって、ミノルタAF35-80mmとかも思ったんですけど、こういうの何が原因なのかな。

 大阪駅前ビルって、3階がテラスというか駐車場になってて、第1~4まで歩いて渡れます。私結構好きでよく歩くんです。
 しかしプランターを並べているけど元は何を植えていたのやら、今はニラに支配されていた。

 洒落たビル。

 140mmという画角はなかなか、スナップには珍しくて面白い。
 135mmとほとんど変わんないだろといわれると、はい、そうですね。
 そういえば、FA135mmF2.8はなかなかの名玉らしいから気が向いたら買ってみるか。

 立体感ないなー。

 Bokeh感……やはり硬いかな。

 立体感ないってゆうとるのに。

まとめ

 こんなおもちゃみたいな110レンズでも、良いところを見るとなかなかいい写りしてます。遠景なんかなかなかおっと思わせる。
 周辺がちょっと甘いのはまあ時代なりに仕方ない、逆光に弱いのもまあレトロレンズだからあえてこれでいい。
 中望遠だとそんなに写り悪くもないだろうと思ってた(110レンズは絞り位置を後ろにしなくちゃいけない関係で、広角のほうがかなりややこしい構成のレンズになってます)んですが、不思議と立体感のない写りが出てきて、なんとも味わいがある。

 110レンズも18・25・50・70と揃って、一通り持って遊びに行くのも面白くなるな。また使っていこ。
 しかしマウントアダプターもうちょっといいのほしいな。うーん。

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