PENTAXのフィルム一眼レフと、絞り輪のないレンズについて
前から気になってたんですが、このページにある記述に首を傾げてたんです。2021年1月現在、Z-1について、
とあって、Z-1以外のフィルム一眼レフでは、多くの機種で絞り輪のないレンズでは絞り優先AEが使えないかのような記述なんです。
しかし私、MZ-7とかZ-50pとかで、絞り輪のないDA40mmF2.8XSで、絞り優先AEで撮影してたんですよね。おかしいな。
絞り輪がないレンズといっても、いわば「絞り輪がA位置に固定されている」というレンズなので、ボディ側で絞り値を指定できれば問題なく絞り優先AEが使えるはずなんです。
それくらいのことは90年代のフィルムカメラでもできるでしょ、と私は思ってたんですが、これがうぃきぺの記載と真っ向から対立する。
それであれこれ調べてみると、うぃきぺも間違ってるっちゃ間違ってるし、私も間違ってるっちゃ間違ってるような事実がありました。
絞り優先AEの2つの流儀
PENTAXのカメラで絞り優先AEを使いたいとき、やり方が二通りあります。
まず、現在のデジタル一眼と同じく、「レンズの絞り輪をA位置にし、ボディ側でF値を手動指定する」というやり方。
もうひとつは、「レンズの絞り輪をAから外してF値を指定する」というやり方。MEとかの時代はこっちだったので、PENTAXの伝統的な操作系です。
さらにいうと、前者ができる機種なら大抵は後者もできたりもします。(※フィルム時代の話です。デジタルになってからは前者だけしかできなくなりました)
絞り輪のないKマウントレンズは、「常に絞り輪がA位置にある」のと同じ動作なので、前者の仕様の機種なら絞り優先AEが普通に使えます。
しかし後者の仕様のボディだと、プログラムAEかシャッター優先AEしか使えない。まあそのふたつは使えるから撮影不能じゃないんですが。
で、マニュアルを見ながらどっちがどっちに対応するか見てみました。
●絞りA位置でボディから絞り値指定ができる機種
・Z-1 / Z-1p / Z-20 / Z-20p / Z-50p / Z-70p
・Z-5 / Z-5p (ハイパープログラムで可)
・MZ-7 / MZ-L
・MZ-30 / MZ-50 / MZ-60(絞り輪A位置以外ではレリーズ不可)
●絞り輪でしか絞り値指定ができない機種
・SFシリーズ
・MZ-S / MZ-3 / MZ-5 / MZ-5N / MZ-10
・Z-10(Avモードを持たないため、絞りA位置以外ではマニュアル露出)
ということで、けっこう対応非対応が散らばっていました。
これだと、たまたまSFXからMZ-3と使い継いだ人は「絞り輪がないレンズは支障がある」と思っただろうし、Z-50pとMZ-7の使用経験がある私は「絞り輪がないレンズでもフィルムで使える」と思うわけですよ。
また、ボディ側で絞り値指定ができる機種の大部分は、絞り輪を回しても使えます。PENTAX的にスタンダードなのは絞り輪使う方だというのも、なんとなく感じ取れますね。
MZシリーズなんて、上位機種が絞り輪で、ローエンドが逆に絞り輪A位置専用になってるくらいです。
また、PENTAXの最上位機種たるLXが、露出制御の仕様が1980年の発売当時のまま、つまり絞り輪での絞り優先AEかマニュアルしかない機種として、21世紀に至るまで君臨していたりもしましたし。
どっちみち使えるレンズは限られますが
上の調査で、少なからぬボディで絞り輪のないレンズでも使えるとわかったんですが、しかし、デジタル時代にレンズの方が色々拡張されていったので、デジタルから採用された新機構は、フィルム一眼では使えません。
実際問題、「絞り輪がないけどフィルム一眼レフでも使える」というレンズは、あんまり多くないです。
デジタル時代に追加されたから、フィルムでは使えない機能・仕様は、
・レンズ内AFモーター(SDMとかDCとかPLMとか。ただしレンズ内モーター採用でも、一部のレンズはボディ内AFにも対応します)
・電磁絞り(最近のレンズでKAF4マウントのもの)
・APS-Cサイズのイメージサークル(DAレンズ)
がダメです。
上の3つのどれかひとつでも該当するとダメ、ってとこで色々脱落します。今となってはむしろ、絞り輪よりもAFモーターでダメなレンズのほうが多いですね。
イメージサークルに関しては、「ほとんどケラれてるっていうぐらい周辺光量が落ちてもOK」という人と、「隅で少し像が流れてるからNG」という人で許容範囲が変わります。
フィルムでも使えるDA / DFAレンズ
具体的にリストアップしてみると、
・DFA Macro 100mmF2.8
・DA 40mmF2.8 XS
・DA 40mmF2.8 Limited
・DA 70mmF2.4 Limited
・DA 35mmF2.4
・DA 50mmF1.8
・DA Macro 35mmF2.8 Limited
・DA 55-300mmF4-5.8
・DA☆55mmF1.4(ボディAF対応)
・DA☆200mmF2.8(ボディAF対応)
・DA☆300mmF4(ボディAF対応)
あたりが多分大丈夫です。これらはボディ内モーターでAFだし、電磁絞りじゃないし、イメージサークルはまあ絞ったり大目に見たりで。
35mmマクロLimitedは、遠距離だと周辺がケラレに近いくらいになっちゃうそうですが、近づくほどケラレは減るそうです。他のレンズも近いと周辺がよくなる傾向はあると思います。
ズームレンズはだいたいダメなんですけど、DA10-17mm Fisheyeとか、DA12-24mmF4のテレ側ならいけたりもします。DA18-55mmも。
DA☆50-135mmやDA☆60-250mmもテレ側は大丈夫とか。SDMですけどボディAF対応です。
それから、DFAマクロ50mmF2.8は絞り輪があるので完全に使えます。
でもK-1用として最近発売したDFAレンズは、レンズ内モーター専用のものばっかりだからダメですね。
当然ですがFA銘のやつは、HDコーティングでも何でも、もちろんフィルム一眼で使えます。絞り輪ありますしイメージサークル足りるしボディ内AFです。
もっと古いボディの場合は?
AF世代のボディだったら、絞り輪なしでもプログラムオートは使えるから撮影不能ってことはなく、撮影自体は可能です。
しかしもっと古いMシリーズとかKシリーズ、あるいはLXの場合は、絞り輪のない=A位置固定のレンズは、最小絞り固定になっちゃうので、どピーカンの真っ昼間専用レンズになっちゃいます。
ファインダーを見ても普通に明るく見えるから大丈夫そうに見えますが、シャッター切ったら絞られちゃいます。
80年代のAシリーズ(Super AとかA3とか)・Pシリーズ(P30・P50)だったら、絞りA位置があるレンズでの使用が想定されている世代なので、多分使えると思います。
この世代はボディで絞り値指定はできないので、PはできてAv・Mは使えず、Tvは機種によってできたりできなかったり、のはずです。
ちょっとこの世代のボディが手元にないんで、そのうち安いの見つけたら買ってきて確認します。
ただ、Aシリーズレンズと、Fシリーズ以降のAFレンズとは、少し仕様に違いがあります。
Fレンズ以降はICチップが入っていて、開放F値やズームの焦点距離など諸々のデータを通信してボディに伝えています。
しかしAレンズは、複数の電子接点の導通On/Offでもって、レンズの開放F値・最小絞り値だけ伝える仕様でした。
PENTAX純正レンズなら、Fレンズ・FAレンズでもAレンズと互換するように接点を設定してたらしいんですが、いつまでそうしてたか知りません。DAでもやってたのかな。
サードパーティレンズだと、AFレンズが古いボディでちゃんと使えなかったりもしたそうです。
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