Minolta 110 ZOOM SLR MARK IIを見つけてきました
いやー、ひょんなことから新しいおもちゃを見つけてきましたよ。
ミノルタの、110フィルムを使う一眼レフ。
110フィルムは、70年代にコダックのポケットカメラ用に作られた小型フィルムでした。
今のフォーサーズとほぼ同じ画面サイズ、17x13mmほど。35mmフィルムの1/4くらいの面積ですね。レンズの画角は2倍にすれば換算できます。
そういうのだから、ごくシンプルな廉価ポケットカメラに使われることが多くて、写ルンですも初代モデルは110フィルムでした。
でもまあ、日本のカメラメーカーの一部は変態なので、過剰に頑張って110フィルム用高級カメラとか作っちゃってたんですよ。(いやまあローライとかフォクトレンダーの110カメラもあるんで、日本だけじゃないですが)
PENTAXは、Auto110っていうレンズ交換式一眼レフを出していました。今のPENTAX Qみたいなほんとに小さなサイズ感で、未だに結構人気ありますね。
キヤノンも、わりとありふれたポケットカメラ風だけど、二重像合致距離計連動式で26mmF2のレンズがついた110EDを発射。
フジフイルムも、ポケットフジカというシリーズを多数発売していて、簡素なものからフラッシュとかズームレンズ、自動露出やら自動巻き上げを備えたものまで。
そしてミノルタは、レンズ交換式じゃない一体型の一眼レフカメラを出しました。
110 ZOOM SLRの初代モデルは、25-50mmF4.5のレンズをつけて、かなり独特の形してましたね。オペラグラスみたいな形といったらいいか、ごくごく初期のリコーのデジカメみたいというか。
で、今回手に入れたのが、この110 ZOOM SLR MARK IIでした。
さすがにAPS-Cのデジタル一眼レフよりは小さいですけど、PENTAX Qよりはひとまわり大きいくらい。110フィルムカメラの中じゃ抜群にでかい。
そのでかいボディに、明らかにやりすぎなくらい本格的な機能を組み込んじゃった。
シャッタースピードダイヤルは、Lはシャッターロック、Aで絞り優先オート(4~1/1000秒)、Xは定速1/100秒、Bはバルブ。
私が使ってる35mm版一眼レフのPENTAX MV1が1979年発売、こっちは1980年とほぼ同時期なんですけど、MV1はバルブがない。負けてるやん。
しかもファインダー内にシャッタースピード表示がある。左端に500/250/125/60-4、とあるので、PENTAX MEみたいな感じかな。
PENTAX MV1にはオーバー・適正・手ブレ警告の3段しかないからなあ。負けてる。
ちなみに、Xでもメカシャッターにはならなくて、電子シャッター専門。電池入れないとシャッターは切れません。
あいにく私の手元のやつは露出計がダメになってて、AEでシャッター切っても4秒になっちゃう。Xで固定速度として使うしかないな。
また、スクリーンが珍しくスプリットだけ。スプリットの周りにマイクロプリズムがつけられてない。
気にしたことなかったけど、あのマイクロプリズム部分でかなりMFのわかりやすさに違いがあったんだなあ。スプリットだけじゃやりづらいわ。
左肩にもダイヤルがあって、ここで絞りを設定する。
絞りリングはレンズ側にあるのが多いですが、このカメラだとレンズが小さいので場所がないか。
で、外周のリングを引っ張り上げながら回すと±2EVの露出補正。PENTAX MV1に露出補正はないので、こっちのほうが上だ。
ちょっと写ってますけど、ファインダーに視度補正がある。PENTAX MV1は単体で補正はないので補正レンズが必要。
もちろんホットシューもあり。
レンズもF3.5通しとなかなか頑張る。ズーミングしても全長が一定・F値一定となると、4群ズームで作ってるのかな。
ズーミングすると若干ピント位置が動いていて、厳密にはバリフォーカルレンズっぽいけど。
マクロ機構もあって、レンズの後ろにクローズアップレンズが挿入される形みたい。非マクロだと最短1.1mと寄り足りないけど、マクロがつくとぐっと近くまでいけちゃう。
25-67mmというズームレンジは、ライカ判換算で50-135mmと、標準から望遠に伸びる感じ。F値一定4群ズームで広角を広げるのは厳しいから、まあ広角弱いのは仕方なかったかな。
もしかすると、MDロッコール50-135mmF3.5をダウンスケールする形で設計コストを節約したとかかな、と思ったりもしたけど、どうかな。
なかなかホールディングが良くなるグリップがついてるけど、これは取り外し可能。(それから縦吊りストラップリングがついてるけど、これは前の持ち主がグリップを改造したものっぽい)
コンパクトにいきたいなら取り外しも可能。
シャッターボタン手前にスライドスイッチがあるのは、これは左に回すとバッテリーチェック、右に回すとセルフタイマー。すぐ横に状態表示用LEDランプもある。
MV1にもセルフタイマーくらいあるけどLEDインジケーターなんてついてないなあ。
と、様々なところに「PENTAX MV1にはない機能がある」と書いてきましたけど、それはほとんど上位機種のPENTAX MEにはついてて、廉価機のMV1で削られたところ。
1980年時点の中級一眼レフカメラと、ほぼ同等の機能が、この110ZOOM SLR MARK IIには備わってるといえますね。
まあ、実はあんまり売れたカメラじゃないらしくて、「小さくて画質も限界がある110フィルムに、そこまで高度な機能のカメラで撮影してどうすんの」っていう根本的な問題にぶつかったのでしょう。そらそうや。
発売当時は62500円だったとか。
PENTAX MV1が50mmF2つきで49500円だったというのに。リコーとかコシナまで見ればもっと安いのもある。
しかしそういう頑張りどころを外しちゃったような製品、後から見れば愛おしいものです。
置物としていじって遊べればいいと思ってたけど、撮影もできそうだから、今は110フィルムがまた買えるし、いちど撮ってみよう。
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