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平たい頭族(OLYMPUS E-300)

 そんなにカメラ増やしてどうするんですか、と。
 体はひとつしかないでしょ、と。
 二台同時に役割分担して使うとか、そんな撮影したことないでしょ、と。
 最近会社づとめ始めて、好きな日を休みにできる自由人でもなくなったから、土日にしか撮れてなくてあれこれ使えなくなってるでしょ、と。
 FA31mm Limtied買ってからK-70ばっか使ってるでしょ、と。

 でもまあ来ちまったものはしょうがない。
 実家に帰る予定があったとき、父親が「スマホ壊れたから余ってるのくれ」というので、あげたんですよね。
 んで、持ってるのは知ってたけど使ってないのも知ってたオリンパスE-300をですね、くれって言ってみたらくれた。

E-300とは

 E-300は、先日購入した書籍「オールドデジカメファン」にも取り上げられてた、古デジ一眼としてはわりと人気のある機種です。
 発売は2004年秋くらいなんで、コンシューマー向けデジタル一眼レフとしてはごく初期のもの。センサーが小さい分ややコストを下げられたのか、レンズキット10万円で出てきた機種でした。

 特徴は、一眼レフなのに頭が平たい独特のスタイル。
 レンズを外してマウントの向こうを覗き込むと、ミラーが見える……のはそりゃそうですが、普通は上向きに光路を持っていくようになってるのが、右にやるようになってる。
 なので、上にペンタプリズムやルームミラーがない、よって頭も尖らないスタイルになってます。ファインダーも、レンズからちょっとオフセットしたところについてる。
 1960年代の135フィルムハーフ判一眼レフ・オリンパスペンFシリーズでも採用されてた形ですね。
 まあ、センサーも小さいし、独特な形だからサイズ感の想像がつかず、現物見たら「意外とでかいな」と思われるのがこのカメラではありますが、凹凸が少ない形状なのでバッグでじゃまになりにくい。

 そしてもうひとつは、コダック製フルフレームトランスファー型CCDなんて珍奇なイメージセンサー。
 フルフレームトランスファー型CCDは……理屈はうぃきぺでも見てもらって、受光部が多くなって感度が上がりダイナミックレンジが広くなる、4/3センサーの小ささを補うためのチョイス。もちろん、原理的に高感度だからって今のCMOS機とは比べるべくもないでしょうけれど。
 これが独特のくせのある色を出すと評判で、空の青はコダックブルーなんていわれる発色を見せてくれるそうです。

 この2点は他のデジタル一眼レフにはない特徴で、E-300を唯一無二の変態カメラたらしめています。

マイクロフォーサーズのレンズについて

 レンズマウントは、マイクロがつかないフォーサーズ。
 さすがにもう中古も多くは見かけない。今回はキットレンズのZUIKO DIGITAL 14-45mmF3.5-5.6がついてます。
 しかし、センサーが小さくてフランジバックの短いフォーサーズなのに、ZUIKO DIGITAL 14-45mmはフィルター径58mm。これまた意外にでかい。

 フォーサーズレンズって世の中にどれくらいあるのかな、とリストアップしてみたんですが、オリンパス・パナソニック・シグマの3社で41本しか見当たらなかった。サムヤンが5本あるのを入れても46本。
 思ったより少ないな……。

PENTAX K-mとのサイズ比較

 もうひとつ意外なのは、センサー小さいのに他社APS-Cレンズとさほど変わらない大きさ・重さのものが多い。
 そのかわり開放F値が1段くらい明るくなってる、という感じですね。コンパクトさより明るさに振ったっぽい。
 少し時代が下がって、小さなE-400系のボディが出ると、レンズも小さく収めたのが出てくるようですが。

 APS-Cでは小さいモデルだったPENTAX K-mと比べてみると、かなりボリュームが違う。
 ボディもさることながら、やっぱレンズがでかい。まあK-mにつけてるのが単焦点の小型レンズだから比べてでかいのは仕方ないとはいえ、絶対的にでかいですよ。

ZUIKO DIGITAL 14-45mm F3.5-5.6と作例

 さてそのスペックの割にうすらでかいZD14-45mm、「でかいからには良く写るんやな」とプレッシャーをかけながら撮影してみました。

45mm F11 1/350s ISO100

 最初のテストショットだったんですが、テレ端だと歪曲収差はあんまりない感じ。

32mm F11 1/350s ISO100

 朝だから光の色自体が黄色っぽいんですけど、それにしても黄色に寄るAWB。で、この記事分のテストショットを撮り終えてから、ファームアップしてないのを思い出し、チェックしたらAWBの修正が入ってましたね。
 初期ファームの1.0では、まあ、正直AWBはかなり頼りなく、よくわからない黄色かぶりと、蛍光灯の緑被りが目立つなあと思ってました。ファームアップで落ち着くのかな。

45mm F8 1/350s ISO400

 ISO400は、若干輝度ムラあるかなって程度で十分いける。
 ノイズリダクションは、オンだとちょっと効かせすぎに感じたんでオフにしてます。

 ちょっと気になったのが、撮って出しJPEGとかRAWでただ現像だけしたりすると、かなりシャープネスの弱い、甘い感じになりますね。
 解像してないってほどじゃなく、OM Workspaceだとアンシャープマスクを設定できるので、半径0.5で400%とかかけたらシャキっとしてきます。

14mm F8 1/125s ISO100

 広角側はけっこう歪曲収差が樽型に出ますね。補正前後で。

14mm F8 1/125s ISO100

 それにしてもこの銭湯、すごい良い建物してるなあ。十三から東の方に散策してたら遭遇したんですけど。

45mm F8 1/180s ISO100

 もうひとつ気になるのは、テレ端での四隅の周辺光量落ち。なだらかじゃなくて急に落ちてる、イメージサークルがギリギリなせいに見えちゃうような? ボディ内手ぶれ補正ついてる機種でどうなるかなあ。

14mm F4 1/30s ISO400 -1.5EV

 夜でも、感度と露出補正を適切に設定してやれば、十分見れる画がとれますね。手ぶれ補正ないからしんどいのはそうですが。

32mm F4.7 1/60s ISO1600

 ISO1600で思い切ってやってみましたが、まあこの被写体だと案外大丈夫でした。原理的に緑は感度高いはずですしね。
 しかしISO1600だと、さすがにレタッチ耐性は壊滅しちゃうので、それ以上暗部を持ち上げたりするともう無理。

45mm F8 1/180s ISO100 (現像時露出補正)

 14-45mmは最短38cm・撮影倍率0.16倍。フォーサーズだから、ライカ判換算で1/3倍くらいあります。まあ普通の標準ズームくらいの近接能力。
 せっかくセンサー小さいんだからもっと寄れればいいのにな。

 プログラムオートだとかなり積極的に絞っていくラインになってるようですが、開放で撮るとちょっと解像力落ちるレンズだなあとも感じられたので、絞っていく方がよさそうではありました。
 それでも、いわゆる梅クラス、普及機のキットレンズにされるレンズとしては、確かに安定した写りはしてますね。
 もうちょっと画質妥協して小型化するほうが、普及用としては適切な落とし所にも思われて、実際、E-400系が出てからの標準ズームは小型化されてますね。

ZUIKO DIGITAL 40-150mm F3.5-4.5

 で、せっかくセンサー小さめのフォーサーズだから、望遠も試してみようと思ってキタムラで取り寄せ。
 まあ、流石に高額投資する気はなかったんで、3000円の安いやつ……で、ちゃんとフードがあるやつを選んでました。

 はい、よく検討して選ぶべきだったんですけど、今回買ったのはE-300の頃に出た初期のやつ。よく見ると開放F値が半段ほど明るい。
 届いたら「でっか」って思っちゃった。
 後に小型化されたED 40-150mm F4.0-5.6があり、こっちだとサイズも小さめかつ重量半分になってる。

150mm F4.5 1/180s ISO100

 もしかしてだけど、E-300のISOオートって、感度上げていく閾値めっちゃ高くない? 換算300mmで1/180sでISO100のままかー……。

 で、40-150mm、これ、寄れないな。
 PENTAXで換算300mmになるテレ端200mmのレンズだと、大体最短1mで撮影倍率も1/2倍近くになるのばかり。
 それがZD40-150mmだと、最短1.5m・倍率0.12倍(換算1/4倍くらい)。これだと90年代のフィルム用70-300mmとかと同じような使用感になっちゃうな。

150mm F5.6 1/250s ISO100

 アジサイとかアヤメみたいなでっかい花でなんとか、というくらい。うーん。

40mm F6.7 1/250s ISO100

 寄れないので花が撮りづらい、つまり私にとってはかなり使いづらく感じてしまうレンズではありますが、写りはいい感じかな。
 これはまだ入手してすぐに30分ほど撮っただけなんで、まだわからんところが多いですが。

E-300インプレッションまとめ

 上で書いてない諸々。

 コダック製センサーの独特の色が……という話もありますが、なんかこのカメラに関してはホワイトバランスが転んで妙な色になったのをセンサーの色だと勘違いされてないかとちょっと心配したりして。

 RAW現像はネットで配布されてるOM Workspaceでできます(カメラのシリアルナンバーを入力する必要あり)。
 ただ、デジタルフィルターとかの一部の機能は、古いE-300のRAWだと使用不能。わりと真っ当な現像しかできない。
 なぜか撮影時に5EVも露出補正できるのに、OM Workspaseでは2EVしかシフトできないのは不思議。

 センサーが小さいので、ファインダー像が小さいのが気になるかと思ったんですが、倍率1.0倍もあるから案外悪くない。ここは頑張ってる感じ。
 そのかわり液晶モニターが、時代もあるけどしょぼいな。ライブビューないから、設定が見れればいいんですけど。

 電源スイッチがボディ上面の、モードダイヤルの右に出てるレバーなんですけど、こんな場所にあったらストラップが邪魔。
 ストラップがなくても、親指でいっても人差し指でいっても、どうしてもグリップを持ち替えることになる位置。
 これはさすがに作ってる間に気付いてほしかったな。オリンパスは、コンパクトデジカメでこんなヘマしてる印象ないんだけど。

 オリンパスは、「メニューの項目が多すぎるし意味がわかりにくい」といわれまくってるイメージがありますけど、この頃から傾向ありますね。
 あって嬉しいのは、AELボタンでAEロックするときの測光方式を選べて、スポット測光使いたい時にいちいち切り替えなくてもAELで済む。
 それから、RAW+JPEGのJPEGを、記録画素数・JPEG圧縮率ともに選べる。SNS用に1600x1200の圧縮率1/4に設定してます。

 意味の分からない項目もあり、「低振動モード」。内容は秒数。
 何かと思えば、レリーズしてから指定秒数だけシャッター作動を遅延させることで、手ブレを抑制するものとか。そんなんメニューの奥底に独自用語で設定しなくても、2秒セルフタイマーでいい気がするけど。
 「レンズリセット」は、電源切った時にピント位置を無限遠に戻すかどうか。オフだと近接撮影した後に伸びたままになっちゃう。
 それから、魚のマークと、魚のマーク3つのアイコンが横並びになった、本当に謎の項目がファームアップで追加されたけど、これは防水プロテクターつけて使うときの水中マクロモード・ワイドモードらしい。理解させる気ある……?

 ズームリングはPENTAXの逆。ううん。
 レンズロックボタンは、レンズ側から見て右側。PENTAXの逆、ミノルタαマウントと同じ。これもPENTAXの方が使いやすいと思うんだけどな。


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